2007/08/26

~むかか 無花果 むかか~


音楽ネタからはなれた話を少々。

お昼に「むかか」を食べてみた。
むかかというのは書いて字のごとく無花果。
そう、イチジクのことです。
イチジク、ドライフルーツやタルトとしては食べたことがあったんだけれども、生で食べたことがなかったのよ~~。
朝買い物に行ったら、たまたま安売りしていたので
よっしゃあ食べてみようと思い、買ってみました。
しかし、買ったはいいものの、生で食べるのは初めてなので、どうやって皮をむいたらいいのか分からなくて・・・ (^^;)
へたの部分を折って皮をむいて食べなきゃならんのに、反対側から皮をむいて最初食べていたのよ。
そうしたらぜんぜん皮がむけなくて・・・(汗)。
一生懸命フルーツナイフで皮をむきながら食べていたら、
母が、それはそうやって食べるものじゃないでしょうと皮のむき方を教えてもらい、ようやくちゃんと食べることができました(笑)。
生で食べたイチジクは、クリーミーな桃といったテイスト。
外側は白くて、なかはピンク色になっているんです。
そのピンク色の部分が果肉部分というか、いちばんおいしいところみたいです。

このイチジク、非常に聖書と関連のある食べ物として知られていて
創世記にも「知恵の実」として登場します。
なんでもあの例のりんごの木は、実はイチジクの木だったらしい。
なぜかというと、当時の中東にはりんごの木はまだなかったそうで、
入ってきたのは聖書ができてからずっと後なんだとか。
聖書学者たちの間で論争になっているそうです。
またアダムとイブはその葉で局部を隠したことから、貞操を象徴する植物として知られています。

でも、食べてくとどんどん舌がぴりぴりしてくるんですよ。何でだろう?

2007/08/25

フジロックフェス'07 反省会

再びフジロックを振り返って反省会を少し。

もっとフェスを楽しみたかった。これにつきます。
暑さにやられっぱなしでそんなところではなかったんですよ。
ボードウォークにも行きたかったし、いろんなイベント見たかったし、
ゴンドラ乗りたかったし、いろんな人と交流したかったし。
それにもっとたくさんのアーティストを見たかった!!!!
もしcureとかぶってなかったら、yo la tengoとかfauntains of wayneを見てたろうし、
レッドにもホワイトにも行きたかったのよ(涙)。
あとは、食事。
おいしそうなもの、たくさん売っていたのに、
食欲がなくてまったく食べれなかった(涙)。
あそこのカレー、おいしそうだったなとか、
オアシス食堂のピザのチーズのとろけ具合がよかったとか
帰ってきて、そんなことばかりを思う毎日(結局それかい!!!)
でも、フェスの雰囲気というものは十分味わえたし、
次回行くときはもっとフェス自体を楽しみたいです。

2007/08/24

ロバスミ御大!!!


私がもっとも敬愛する天才の一人、ロバスミ御大のフジロックでの雄姿を。
すごいです。背後から妖気が漂っております!!!
人の領域をとっくに踏み越えて、魑魅魍魎の世界へと足を踏み入れております。
三輪○宏サンの一族の一人です。でも、マリマンの一族ではありません。
マリマンは彼の弟です(爆)。
ねね、すごいでしょ? museなんか比べものにならんでしょう(笑)?
もうヴィジュアルだけで十分勝ってます!!! 
フジで彼の姿を初めて見たひよっこどもはみなドン引き!!! しておりました。

《フジロック初参戦記'07 その6》その時僕らは伝説を見た。

これで最後です。

次のThe end of the worldが終わり、聞き覚えのないイントロが聞こえてくる。
この曲、何だっけ?と考えているうちに、いきなりの歓声と熱狂が。
ああ、「lovesong」かあ。
キーボードがいないから、なんの曲かと思ったよ。別にキーボードがいなくても、わたしはそれほど気にならないのだが、こういうときはやっぱりキーボードがいたほうがすぐになんの曲か分かっていいかもと思ったりする。
でも、キーボードがなくても名曲には間違いない。
ロバートは「however game I play~」と多少歌詞を変えて歌う。ロバってgameって言葉、好きだよねえ。
もうこの辺りからは怒涛の「disintegration」セット。
「pictures of you」に「lullaby」。もうオーディエンスは喜びまくり。やっぱ彼らが最盛期の曲だからね。でも、「disintegration」期の曲を歌うんだったら、わたし的には「disintegration」とか「prayers for rain」とか歌って欲しかった。
あの「prayers for rain」の絶叫、
prayers for rain~~~~~、お~おおお~お~おおお~お~お~~~
というのが聞きたかったしね。あそこがいちばんのハイライトだと思ってる。
でも、今日は「greatest hits」で行くって決めてるから仕方がないよね。
「lullaby」を終えて、ロバはギターを12弦ギターにもちかえる。
もしかして、just like heavenいくかあ~~~????
と思いきや、いきなり予想が外れて「inbetween days」。「the head on door」からのシングル曲。ロバの12弦ギターのカッティングが素晴らしい曲。最近、「ultraCURE」ギター一本で、すべての曲をやっちゃうから、なかなかアコギでは聞けないんだよねえ。やっぱりこの曲はアコギでなければと確信する。
そして、本日のハイライトにして、ファンの興奮が最高潮に達した「friday I'm in love」。
ロバはその前に「今日は金曜日だから特別に」みたいなことを言ったんだけれども、よく聞き取れなかった。
でも、狙い済ましてこの曲をやることに決めていたんだなと思う。
日本でとても人気のある曲だって知っていたんじゃないかな。
もう大盛り上がり。
わたしもつられて歌う、歌う。でも、実は自分、この曲あんまり好きじゃないんだよね(笑)。なんていうか、あまりポップすぎてCUREらしくなくて逆に好きになれない。
で、わたし的ハイライトは、次の「just like heaven」!!!!!
やっぱ、この曲ですよ~~~。12弦ギターのカッティングがひどく繊細で美しい曲。そして、12弦じゃなければ絶対でないメランコリックなロマンティシズム。最近は「ultraCURE」モデル・ギターでかなりハードロックな感じになっていたけれども、やっぱりアコギのほうがずっと美しい。
本当はじっくりと聞いていたいんだが、ファンの熱狂がすごすぎてじっくり聞けない。
この怒涛の三連発は本当にファンはみなやられてしまったというか、ほとんど狂喜の坩堝と化している。
そして、いきなり不穏なギターリフが鳴り響く。
待ってましたああーーー!!!!
やっぱコアなファンならこのセットだよねえの、「if only tonight we could sleep」。
ロバートとSIMONがお互いにギターとベースを突き出しながら、互いの旋律を確認しあうように弾いている。
そのあとはもう涙もんの「the kiss」。
めっちゃギターリフがかっこいいのなんのって。やっぱ、POAL加入のおかげなのか、TRIOGYのときよりもずっとタイトで、重厚で、早くて、かっこいい。ロバートのボーカルも冴えていて、声も伸びやか。
なかでも圧巻だったのは、最後のギター・ソロ。ロバートのギターが生き物のように、うねる、うねる。そして、伸びる、伸びる。それに、永遠に続くのではないかと思われるほど長い、長い。
ロバートは何度もSIMONに指示を出しながらも、ギターから眼をそらさない。
わたしはこのギター・ソロを聞いて、ロバートが非常にノッていることに気づいた。
そのあとの「shake dog shake」で見せた恐ろしいぐらい伸びやかなボーカルを聞いても、信じられないほどロバートがノッていることが分かる。
今日見せたギター・ソロは明らかに今まで聞いた「the kiss」のなかでも、ベストに近いんじゃないかな。そう思えるぐらいの素晴らしい演奏だった。
ロバートは今日のわたしたちの熱狂的な反応を見て素直に感動したんだと思う。
23年前日本でやったときは、日本人の反応のなさにかなり驚いたようだったから、23年前の日本と比べて、欧米のファンと変わらぬ、またはそれ以上の熱狂を見て、ロバートはすごく気をよくしたんだと感じた。
神のような天才的な才能を持つロバートだって、オーディエンスの反応は気になるに違いない。特に、前座のMUSEのあの熱狂ぶりを見て、自分たちがあそこまで受け入れられるかひどく気にしていたと思う。それにロバートは、日本ではまったく人気がないことも知っていたから、自分たちが演奏しても何の反応もしてくれないんじゃないかと密かに気をもんでいたのでは?
しかし、実際多くの若いファンの熱狂ぶりを見て、ロバートのなかで安心したんだと思う。それがあのすごいプレイになって表れていたんだと思う。それに出血大サービスっていうぐらいの「アリガト」連発と、いつもよりも饒舌なMCにもね。
この怒涛のマイナー・コードはまだ続く。
「shake dog shake」。この曲、23年前も日本でやったんだろうな。
たぶん、ちょうどこの曲が収録された「the top」が出たときに来日してたから、きっとその時の来日公演を見ているオールドファンには感慨もひとしおだったろう。
わたしもこの曲、大好き。すごくヘヴィーでかっこいい。ロバートは止められないほどノりまくっている。ボーカルも伸びる、伸びる。
Shaaaaaaa―――――――――――――――ke!!!!
って、すごいよ、ロバ。
ホント、ロバートって声がいいんだよなあ。
ふつう年をとってくると声が出なくなるもの。
でも、ロバートは全然そんなことはなくて、特にボイトレをしているわけでもないのに、恐ろしく声が出る。
この人、声の出し方というか、自分の声域というものをすごく知っているんだなという気がする。絶対無理な歌い方はしないし、それにそれほど難しいボーカルでもない(ロバートにとってはだよ)。
ロバートはきちんと自分がどの音域ならちゃんと声が出せるのかを計算して、作っているような気がする。ライブって本当にそのアーティストの技量がリアルに出てしまうというか、アルバムの出来がよくてもライブがしょぼいというバンドはすごく多い。特にヘヴィロックはそういう傾向が強い。いつもパワフルなボーカルを聞かせる、あのKORNのジョナサン・デイヴィスですら、だんだん最後のほうになってくると声量が落ちてくる。まあ、KORNの曲って転調が多くて、歌うことさえもかなり難しい曲が多いせいもあるんだが。
感動しながら聞き入っていると、前列の背の高い外人さんが動き出した。
いったいなに?
どうやら怒涛のマイナー・コードに飽きてしまい、帰るつもりらしい。
途中でうまい具合に、入れ替わった。
うっそーーーー。超最前列じゃん。しかも、やや右側の真ん中。SIMONとロバの中間あたり。
もう生ロバート見まくり。
「wrong number」にはびっくり。ていうか、ここまで徹底してやるかあ。どこまで行っても「greatest hits」セットなんだね。
この曲、欧米でもあまりやらないんじゃないかなあ。あんまりライブで聴いたことがないような気がする。
そういう意味ではすごくラッキーかも。
軽快なギターリフが、いなくなってしまったシンセをうまく表現している。後ろのPOALが直立不動のまま、黙々と弾いているんだけれども、彼の安定した、そして、確かなギター・プレーがロバートのソロ・プレイをよりいっそう伸びやかに、自由にさせている。
初めシンセ担当だったROGERが抜けたとき、シンセのないCUREなんてって思ったけれども、今日の演奏を聞いているかぎりではシンセ不在はまったく気にならない。
それどころか、シンセがないほうがずっと演奏が引き締まってかっこいい。
すごく残酷な言い方かもしれないけれども、やはりPERRYのギターはロバートにとって負担だったんだなということが、今日ライブを実際に見て、すごく分かってしまった。だって、ロバート、PERRYが弾けないところを代わりに弾いてあげていて、特に「open」なんか自分のパートも弾いて、かつ、PERRYのパートも弾いてってめちゃ大変そうだったもの。自分がソロで思う存分プレイできるところはなかったって感じだった。
それが今日のフジロックでは、信じられないほどギター・ソロを連発していて、彼の機嫌がいいこともあって、プレイが驚くほど生き生きとしている。POALという存在がいかにこのバンドでは(つまりはロバートにとって)大きいかということがよく分かる。もちろんPERRYはギターの弾けない分、人柄の良さでカバーしてたんだけれども。
でも、やっぱりロバートとしては、もっとギターをうならせたかったというのがずっと根底にあって、でもPERRYの腕前じゃだめだからとあきらめて、そして、自分に対してもどこか妥協していた部分があって、緩やかな衰退を選ぶっていうのかな。そういう部分が確かにある時期はあったんだと思う(それが最近「bloodflowers」からの曲をやらなくなった理由になっているのかも)。
だけれども、2000年に入ってニューウェイヴ・リバイバルがあって自分たちの音楽が再評価されるようになって、多くの若いアーティストたちがフェイバリットアーティストとしてCUREの名前を上げるようになって、ロバートの中でもう一度やってみようという自信を取り戻したというか。それがアルバム「the cure」であり、あの二人の解雇だったんじゃないのかな。
これはもしかしたら、再び「disintegration」のような第二期CURE全盛期が来るかもしれませんよ。
そんな期待をよそに、「100years」の選曲に超悶絶。
後ろの女の子のファンが「この曲、大好き!!」と飛び跳ねる。
わたしはこの曲はじっくりと聞きたいから、一生懸命柵につかまりながら、倒されないようにロバを見ていた。
照明が激しく明滅し、黒と赤のコントラストがめまぐるしく入れ替わるなか、ロバートの息が白いことに気づく。
ああ、ここ、すごく寒いんだ。でも、不思議と寒さは感じない。もうモッシュピット内は熱狂の嵐で、寒さなんてぜんぜん感じない。
ロバートはどうなんだろう? おそらくロバートも寒さは感じていないに違いない。
大画面に現れるロバートの顔には汗が滴っている。
 いやーー、この曲で盛り上がれるなんて・・・。若い子たち(てか自分もロバの初来日公演の年に生まれた若造なんですけど(汗))はロバートがなんて歌っているか知ってるのかな? 
 もう、すごい迫力で、圧巻。
前のMUSEのパフォーマンスが吹き飛んでしまった。こういう重厚さって、まだMUSEには出せないんだよね~。確かに、ギターを振り回すパフォーマンスはかっこいいし、クールなんだけれどもさ。その分深さや重厚さに欠けるというか・・・。なんか、世界の果てを垣間見てしまったような、そういう凄みはまだ彼らには出せないんだな。
遂にラストの「end」。とても自然な流れ。
ここでいったん終わって、彼らはステージを下がる。
もちろん長年待ち続けたファンは、これでは引き下がらないだろう。
何度も手をたたいて彼らが再び登場してくるのを待つ。
彼らは、わたしたちの期待通り、アンコールに現れてきた。
ロバートはスタンドマイクのほうに近づくと、マイクを取り上げ、またしてもわたしのいるほうに近づいてくるではないか。

Σ(゚Д゚ノ)ノ おおぉぉぉぉ――――――・・・・・・!!!!!

ステージのいちばん左端に向かい、なにやらファンの一人と話しているよう。
おそらくここで「I have no idea」といったのかな。ちょっと聞き取れなかった。でも、わたしにはファンの子と、次の曲、何をやったらいいのか尋ねているように見えた。
すっげー、なにそれ? 超うらやましい。わたしもロバと話してぇぇーーー。とか思ってると、ギターイントロがはいる。
「let's got to bed」!!!!
ロバート、奇妙なダンス(?)を再び披露。
このときのロバはすごくリラックスしているようで、とても楽しそうに見えた。
ロバートがステージの中央へと戻ろうとしたとき、偶然彼と眼があった。

ウヒャ━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━ !!!!!

わたしは馬鹿みたいにロバに手を振ったものの、ロバ、どうやら、わたしを見ていたわけではなく、前列のオーディエンスを見ていたよう。なんつうか、このヒトって、眼の焦点があっていないんだよなあ。誰かを見ているようで見ていないっていうか。
そういえば、「10:15 Saturday night」のPVでも同じように、眼がうつろだったなあ。
このヒトは、わたしたちと違う世界を見ているのだろうか?
ここからはまたしても、シングル連発、「close to me」「why can't I be you」。隣の外人さんも「close to me」には大喜び。激しくからだを動かしながら、踊っている。
そして、再び退場。
もちろん、わたしを含めファンはここでは引き下がりません。
ぜんぜんまだ曲やってねえじゃん。
わたしは大声で「Robert~, I wanna listen to a forest!!!!」と叫ぶ。
だってこの曲を聴くために、今日ここに来たんだよ。
You tubeで彼らの「a forest」を聞いて以来、cureのライブを絶対見たいと思っていたんだから。
まだa forestやってないよ~~~~!!!!!
そんなわたしの心からの叫びに隣の外人さん、大爆笑(笑)。
わかるけど、わたしたち日本人は、次、いつ彼らを見れるか分からないんだよぉぉぉ~~~。a forest歌ってくれなきゃ、死んでも死にきれん。
本日のアンコール二度目にもかかわらず、彼らは期待を裏切らず現れる。
もちろん欧米のフェスでは最低二回のアンコールは当たり前だから、彼らもそれを想定しているはず。ただ日本でこれほどのアンコールが出るとは思っていなかったかもしれないけれども。
SIMONのうねるようなベースが鳴り響く。

キタ━━━ヽ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ノ ━━━!!!!

そう、やっと、ようやく、ここまで辿り着いた。今日、わたしの夢がまさにかなった瞬間。
これ、やらなきゃはじまらないよ~~~~。
「close and see・・・・」
ロバートは囁くように歌い始める。
この苗場の山々に囲まれた緑溢れる場所で、まさに空気が一変する。更けてゆく夜。怪しく照らされる満月の光。照明は深い緑色。まるで深い森の中から彼らが現れてきたような、幻想的で、神秘的な、光景。
SIMONが例の腰を落とした姿勢で、ぶんぶんとベースをうならせる。POALの正確なカッティングと、JASONの完璧なリズムに、ロバートの深みのあるボーカルがかぶさる。
そして、クライマックス。
again and again and again.....
この曲を聞けたことに感動しつつも、その一方で、最近のあっさりめのヴァージョンにちょっと不満が・・・。
個人的にはロング・ヴァージョンが聞きたかったし、何よりもagain and again and again・・・の部分を「show」のころのように、シャウトし続けて欲しかった。歌が終わったあとの演奏もあっさり終わったし・・・。
まあ、アルバムに最も近いといえば、近いのかもしれないけれども。もしかして、「greatest hits」に合わせて弾いているのかな? 
みな誰もベースのリズムにあわせて手をたたかない。欧米のファンの間では、これまた約束なのに・・・。
しかし、最後の「boys don't cry」では、明らかに興味本位で見に来てた子達も大合唱。
ああ、これだけは予習してきたんだねえと思いながらも、もうこれで最後だと一緒に歌う。
歌が終わって、ロバートは再び「アリガト」、「ドモアリガト」と日本語を連発しながら、ステージの端まで寄ってきてお辞儀をし始める。初めはステージの左側から、はにかんだような顔をして、わたしのいるほうに向かってぎこちなく腰を曲げてお辞儀。次には左端によっていって、これまたお辞儀。

そのあとで、マイクに向かって「I’ll see you “3” years later・・・・」といったように聞こえた。
わたしは思わず、
うそ!! ロバート、また日本にくんの?  
と叫んでしまった。

ロバートを見れた興奮にすっかり頭が吹っ飛んでしまい、ちゃんと彼の英語が聞き取れなかったのだ。
 
ん? でも、まてよ。3年後ってなぜに3年後? 

もしかして3年後じゃなくて23年後か?

ろば~~~と~~~、あんたわ~~~~(怒)!!!!

と憤慨していると、後ろから
ロバートぉぉぉぉーーー!!!!
名残惜しげにロバートに向かって叫ぶ、ファンの声が・・・。
しかし、メンバーは全員ステージから去ってしまい、残ったのは機材だけ。
もうこれで彼らを見るのはおしまいだというのに、不思議と終わったという感じがしないのはなぜだろう。彼らとの時間は夢のようにやってきて、夢のように過ぎていった。そして、彼らは再びおとぎ話の世界へと帰っていった。
計26曲の、約2時間半のステージ。おそらく今までのフジロックフェスでは考えられないほど長い時間だったのだろう。
本日最後のライブが終わって、モッシュピットをあとにすると、そこらかしらにたくさんのペットボトルが落ちている。おそらくファンが無意識のうちに落としたものなんだろう。
各自ごみを捨てて帰ってくださいと係員からのアナウンスが聞こえるものの、まだ覚めやらぬ興奮にとてもそんな気になれない。
ステージからDJと司会が出てきて、本日一日目のステージが終了したことを告げる。
みなぞろぞろと帰ってゆく。
お祭りが終わったとでも言うように、さきほど会場に漲っていた熱気がうそのように引いてゆき、喧騒は苗場を取り囲む深い森へと掻き消えてゆく。
わたしはグリーン・ステージから吐き出される多くの観客とともにオアシスエリアへと向かって歩いていった。途中、大きな影のように木立がいくつも立ちふさぎ、わたしはまさしくa forestのように、その小さな森の中をさまよっていた。
まだ夢のなかに漂っていた。この余韻は当分冷めることはないだろう。
いや、もしかしたら、今度彼らを見るときまで永遠にその余韻のなかに沈んでいるかもしれない。
深い闇のなか、突然蛍のようにおぼろげな光の束が現れる。そこには色とりどりのキャンドルがたくさん並べられていた。
 わたしは記念にとすかさずカメラを構えた。
そういえば、ロバの写真撮ろうと思っていたのに、撮らなかったなあ。
ロバを見れた興奮でそんなこともすっかり忘れていた自分に気づく。
 2時間半という長い時間を共有したにもかかわらず、まだ足りない。もっと彼らを見ていたいという思いが胸に湧き起こっては消えてゆく。
 あまりの興奮状態にいたせいか、2時間半という時間の長さを感じなかったせいかもしれない。
 急におなかがすいていることに気づく。
 オアシスエリアで食事を購入するも、その場で食べることはできなかった。
 おなかがすいているにもかかわらず、なぜか食べる気力が起きないというか、夢のなかに漂っているようで、その夢から冷め切れなくて、ご飯を食べるどころではなかった。
 ふと周りを見やると多くの人々がやぐらに集まって、いろいろと談笑している。
 ついさっきグリーンステージではCUREのライブがあったにもかかわらず、このエリアでは、まるで初めからそんなライブはなかったかのような、別の喧騒に満ちていた。
時計を見る。
 もう既に一時を回っている。
 そろそろ帰らねばと思い、購入した夕食を持って出口へと向かう。
 足元がおぼつかない。
 歩いていることさえも分からない。
 興奮がさめやらない。
 たくさんの人が往来する。色とりどりの看板が並ぶ出店。さまざまなアトラクションやアート。
 昼間見たとき、こんなものがあったかと驚く。
 すべてが鮮明で、それでいて、現実とは思えない。
 昼間やってきたときに非常に長いと思われた出口までの道のりが、非常に短く感じられる。
 ふらふらと歩いていると、大きな駐車場が見え、たくさんの車が停車している。
 その向こうにはオレンジ色の明かりがいくつもともる大きな建物が見える。
 苗場プリンスホテルだ。
 おそらく今夜、彼らはここに泊まるのだろう。もしかしたら、もう帰っているのかもしれない。
 最上階の、おそらく彼らがいるであろう場所へと視線を向ける。
 ――また見に行くからね。
 そうだよ。全然見たりなかったよ。結局「play for today」もやってくれなかったし、「faith」や「in your house」や「at night」だって。もっとダークなセットで見たかったし、これじゃぜんぜんまだ足りない。
 やっぱり単独公演してくれなきゃ。
 それは無理なのかもしれないけれども、でも、彼らの素晴らしさは、あのポップチューン全開の「greatest hits」だけじゃないんだから。
 また会えるよね。
 いや、必ず来てよね、また日本に。23年後なんかじゃなくて、冗談じゃなく、ニューアルバムを出したらすぐに。
 その時は必ず飛んでゆくから、東京に見に行くから。東京でなくても、どこへでも必ずもう一度見に行くから。
 送迎バス乗り場まで長蛇の列ができている。わたしはその最後尾へと並び、バスを待つことにした。
 列に並ぶ多くの人たちは、それぞれの興奮を胸に、まだ覚めやらぬ熱狂を引きずっているようだった。
 ライブ会場にいるかのような熱狂がまだそこに漲っていた。
 列にしたがって歩いていると、黒髪長髪のゴスなルックスをしている女の子二人とすれ違った。
 後ろからさっき話していたCUREファンの子といっているのが聞こえた。
 そうか、この人たちもCURE見に来ていたんだ。
 そういえば、不思議とゴスな人たちはいなかったなあ。隣の外人さんもフツーの人だったし・・・。
 そのひとたちを見て初めてゴスな人たちも来ていたことを知った。
 きっとこの人たちもライブ、楽しんだろうな。
 やっぱもっと日本に来るべきだよ。あなたたちを待っている人は日本にはもっとたくさんいるんだから。
 と苗場プリンスホテルに向かって心の中でつぶやく。
 バスが次々と発車する。
 ようやく自分が乗る番となった。
 わたしは再び苗場プリンスホテルのほうへと眼をやった。
 また来てね。まっているから・・・。
 わたしはそう呟いて、バスへと乗り込んだ。
 こうして、フジロック初参戦の長い一日は終わった。

おわり

2007/08/23

《フジロック初参戦記'07 その5》

cureファンのみなさん、お待たせしました(誰も待ってないって)。
ここからがcureのレヴューです(でも、まだその1です)。

ステージの照明が少し暗くなる。赤の混じった深い紫色の照明に切り替わる。
なんだかいかにも彼ららしい、ダークで、ミステリアスな雰囲気。
スモークがステージの際から漂いはじめ、ステージを覆い始める。
もしかして・・・。
時計を見ると午後9時49分。
30分遅れの開演だ。
スモークの中からJASONが現れる。
うそ、JASONだ。彼はドラムセットの前に座ると、次に現れたのはSIMON。
おおー! SIMONだあああぁぁぁ! ホンモノだぁぁぁーーー!!!と心の中で絶叫していると、ステージに漂う煙幕の中から真っ黒な鳥の巣のような頭が・・・・

もしかして、もしかしてぇぇぇ????
  

キャーーーーーーーっっっ!!!!

いきなり後ろからものすごい声援が上がる。それと同時にMUSEの時と負けないぐらいのモッシュの波が!!!!

ロバートぉぉぉぉーーーーーっっっっ!!!!

 もう大熱狂! 自分も我を忘れて叫びまくりましたよ!!!
「ぎゃーーーっっっ!!!! ロバートぉぉぉぉーーー!!!!」
 ロバートはファンの声援にはこたえず、後ろを向いてギターを肩にかけると、いつの間にかステージに現れていたスキンヘッドのPOALがジャーンとギターを鳴らす。
 一瞬なんの曲だろ? と思ったら、後ろにいたファンがいきなり飛び跳ねるように踊りだす。
 わたしはいきなり背中を押され、前にいたファンに勢いよくぶつかる。前のファンと後ろのファンにはさまれ、まさにサンドイッチ状態。周りのファンはいきなりの狂乱状態。
「open」だ! やっぱり順当なオープニング。ここ最近のフェスでは最初の曲はこの「open」か「plainsong」で決まっていたから、やっぱりなと思いつつも生ロバートを見れた興奮と感動で、絶叫。
やや長いギターイントロのあと、ロバートのボーカルが入る。
・・・I really don’t know I’m doing here・・・・
マジで? マジ? 本当にロバートが歌っているの??

ゴシゴシ(-дゞ≡ ゚Д゚)スッスゲ―――――!!!!!!!

もちろんわたしもファンと、ロバートと一緒に歌う。
さきほどのからだの疲れはどこへやら、あんなに咽喉が渇いていたのに、その咽喉の渇きもどこかに吹き飛んでしまうぐらいの興奮状態で、もう歌う、歌う。
ロバートを始めメンバーもいきなりのイケイケ状態。
プレイは、やはりベテランのバンドらしく安定していて、ブレがない。しかも、POALの再加入のおかげで、ずっと曲が引き締まっている。ロバートの声もよく伸びている。
本当にかっこいいことのひとこと。
一曲めが終わり、MCすらなく間髪入れずに次の曲へ。
「fascination street」!!!!
 オーディエンスは大喜び。最前列の背の高い外人さんも喜びまくり。タテのりで踊っている。ふと左のほうに目をやると大きな水色の旗がはためいている。
 スゴイ!! きっとファンの人が持ってきたんだろう。
やっぱりCUREのファンは違うよね。本当に彼らのことを愛している人たちがいるんだ!
もうギターがぶんぶんうなってかっこいい。キーボード不在なんてぜんぜん感じさせないほど、タイトで、クールな演奏。もうのっけから、ヘヴィーポップチューンを展開するんだもの。これからどうなるんだろうと思いつつ二曲目終了。
次は・・・うそ!? いきなりしょっぱなからこの曲やるの~~~~?????
っていう「from the edge of deep green sea」。
ふつう欧米のフェスじゃ後半にやる、ハイライトの曲。
もう、ロバったら。いきなりこの曲やってどうすんの??? 
と思いつつも大興奮。もちろん周りのファンもこの曲に大喜びの大合唱。だが、例のput your hands in the sky~のくだりでは誰も手を上げず・・・(汗)。
うそ、CUREファンならお約束のはずでしょ!?
と、めげずに一人だけ手を上げましたよ。
ここでロバートが「thank you」といってギターを下ろす。その時初めて、本日のロバートのいでたちを見ることができた。
????
今日のロバ、スカートはいてない? スカートだよね?
スモークから現れてきたロバは明らかにスカート姿。

  (;゜ロ゜)エェ??

ジョナサン・デイヴィスか???(タカトシのトシ風で(笑))
と思わず笑ってしまった。
去年のKORNとの共演で、ジョナサンのステージ衣装に感化されたのか、それともその太った体型を隠すために着たのか知らないけれども、わたしは即座にジョナサン・デイヴィスを連想してしまった。
ロバ、なんだかジョナサンに似てるなあ。
そう思っていると、ロバートはスタンドからマイクをはずし、ステージの端へと歩き出した。
ええええ???
こっちに近づいてくる。そうなんです。自分のいるほうのステージの際へと歩いてきたんですよ!!!

ギャ━━━━━━Σヾ(゚Д゚)ノ━━━━━━ !!!!

心の中で大絶叫!!
そして、POALのギターがじゃらーんと!!!
やっぱり!!!
ファンの歓声が一際高くなる。
おそらく日本のファンのために特別に歌うことにしたのだろう「kyoto song」。
みんなはこの意外な選曲に驚いていたけれども、わたしは日本に来るからには絶対歌うだろうなと予測していたのでそれほど驚かなかった。
それよりも、もっと驚いたのは至近距離でロバートを見たこと。柵とカメラをはさんで約4メートルほどの距離しかない、超至近距離。手を伸ばせば彼に届くんじゃないかと思うほど。
ロバートはじっと佇んでオーディエンスを一人一人確かめるように眺めている。

w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w オォォーーー!!

実際間近で見たロバートは、それほど背の高い人ではなかった。最前列にいた外人さんのほうがぜんぜん高い。身長はたぶん170センチ強。180はないんじゃないかな。自分の兄と同じぐらいの背丈。もっと大きい人かと思っていたけれども。もしかしてあまりにも大きいその存在感に、彼の背丈すらも非常に高く見せていたのかもしれない。ごくごく普通の標準身長に、オーラとか存在感というよりも親近感を感じる。
それに写真で見たよりもずっと太っていない。確かに以前よりも膨張しているものの、自分が想像していたよりも太ってはいなかった。
なんだかへんな安心感が沸いてくる。
よかった~~~~。思ったよりも太ってなくて。だって最近のロバの写真、マジ、ヤバイぐらいに太っていたもんなあ。逆にもとからこの体型だったのではないかと思わせるほどに、いまの体型が合っているような感じ。
まろみというか、柔らかさというか。ロバートって想像していたよりもずっと穏やかな人なんだと、ロバートの姿を眼に焼き付けようと必死に視線でロバートを追いかける。
ロバートは時々屈むようにして歌いながら、奇妙なダンスらしき動きをしている。でも、ロバート、歌に集中している一方で、しっかり観客を見ているんだよなあ。すごく冷静な人なんだとびっくり。
てか、それ以上にびっくりなのは、このヒト、確か今48歳なんだよね?
ぜんぜん48歳に見えない!!!っていうぐらいに年齢未詳。
確かにヴィジュアル的に全盛期だった「disintegration」のころよりはずっと老けてはいますよ。でも、ジジイとかおっさんとかそういう風には見えないんだよなあ。なんつうか、年齢未詳の不思議な人種って感じ。ひどくピュアというか、少年のような若々しい佇まいを残している。だから、あの奇妙な動きがひどく可愛いというか、とにかく不思議な魅力があるんだよなあ。
と興奮しつつも、ロバを冷静に観察し、「kyoto song」は終了。
ロバートは再びギターを持ち、マイクをスタンドに戻したあとなにやら話し始める。
その時悲鳴にも似た喚声が!!!
???? 
わたしは一瞬耳を疑った。
うそ? いまロバート、なんていった?
確か・・・「アリガト」って聞こえたような????

(゚Д゚)

うそぉぉぉぉ――――――・・・・・・!!!!!!

わたしは死ぬほどびっくりしましたよ。
あれほど日本嫌いで通っているロバが日本語しゃべるなんて!? いったいどうしちゃったの?
絶対そんなファンサービスをするヒトじゃないと思っていたのに。今日のロバは恐ろしいほど気前がよくて、機嫌がいい。
もちろんファンもびっくりの大喜びで、「ロバートぉぉぉぉーー!!!」と叫びまくっている。
わたしはロバの信じられない言動にただただ驚くばっかり。そして、次の選曲にも驚くばっかり。
hot hot hot!!!!
うゎぉう!というロバートの、得意の猫泣き声とともに始まったこの曲に、もう周りはノリノリの状態。この曲をやるかあとか思いながらも必死に「hey hey hey!!!」と一緒に飛び跳ね、歌う。
この曲を聴いて、今日は「greatest hits」で行くんだということをはっきりと悟って、心の中で分かっていながらも、ちょっぴり残念。やっぱりコアなファンはダーク・セットで見たいものだから。
次の曲は、最新アルバムからの「alt end.」。
正直この曲、初めはあまり好きじゃなかったんだけれども、「festival 2005」のライブバージョンを聞いてから、この曲を見直すようになり、それほど悪い曲ではないなと思うようになった。
やっぱCUREってライブバンドなんだな。彼らの本当の曲のよさはライブじゃないとわからないんだ。もしかしたらロバートもそういうことを計算して、曲を作ってるのかもしれない。だとしたら、本当に天才だよなあ。
この曲が終わったあと、少し長めのMCがはいる。残念だがうまく聞き取れない。「・・・23years・・・」とかいっていたから、23年間も日本に来ないでごめんみたいなことを言ったと思う。
その言葉に、後ろの外人さんがなぜか日本語で
「ホントだよ・・・。ホントにもう・・・ずっと待ってたよ・・・」と感極まる。
周囲からどっと笑いが起こる。
ロバートの声援に混じって、サイモーンと叫ぶ声もあり。
SIMONは声援にこたえることなく、黙々と次の曲の準備に取り掛かっている。
うーん、SIMON。なんか職人って感じでいいなあ。
今日のいでたちも、黒のランニングに、スキニージーンズと、まるでとび職人のようないでたち。
腰をややかがめて、ぶんぶんと豪快にベースを鳴らす姿がこれまたかっこいいんだよ~~~~。
ひそかにSIMONファンは多いと見た。
ここら辺は興奮していてよく覚えてないんだけれども、たぶんここでも「ドモアリガト」を言ったような気がする。
どうしちゃったんだろう? いつもよりも饒舌じゃないか? 欧米のフェスではMCもほとんどなくて、淡々とプレイしてゆくのに。
と思いつつも、いきなりの「the walk」。
この選曲もわたし的にはありだと思っていた。なんたってI saw you look like a japanese babyだもんねえ。これも日本のファンへのロバートなりのサービスなんだろう。
それより、少し気になったんだけれども、なんだかロバ、この曲を歌ってる最中、ずっと下を見てるんだよな。もしかして歌詞をモニターで見ているとか??
CUREに限ってそんなことは絶対ないが、他のバンドはけっこう歌詞をモニターで見ながら歌っていたりすることが多い。NEW ORDERなんて完璧そうだったしねえ。バーニーは明らかにモニター見て歌ってましたよ(DVDでライブ見たんですが)。
もしかして、ロバ、この曲の歌詞を忘れてしまったのかな? この曲、歌うの久しぶりなの???
とか思いながらも、しきりに下を見て歌うロバが気になってしまった。

2007/08/22

《フジロック初参戦記'07 その4》

その3の続き。

MUSE。そういえば最近あまり聞いてないな。
ファーストはすごく好きだったんだが、最高傑作と名高い「absolution」は思ったよりも好きにはなれなかったんだよな。
なんというのかな。感情過多というのか、とにかく評判だといわれるオペラティックな曲の展開が好きになれないのだ。あまりにも大げさすぎて、かえってしらけてしまうというか・・・。CUREやRADIOHEADが素晴らしいのは、単に感情を曲にこめるだけではなく、決して自己陶酔に陥ることのない、一歩手前のぎりぎりのところで踏みとどまっているクールさがあるからだ。MUSEにはそれがない。自己陶酔に終始している。これでは聞き手は疲れてしまう。日本人のように大仰な演出を好む人ならいいが、そうじゃない人は疲れる。QUEENとか好きな人なら大丈夫だろうな。あ、だから日本で人気があるのか。すごく納得。
前にはMUSETシャツを着た男の子が立ちはだかっている。
ああ、この子相当好きなんだなと実感する。自分もね、CURE死ぬほど好きだから、前で見たいという気持ち分かるよ。
年齢層は相当低め。20代の子達が中心。なかにはちらほらとCURETシャツを着ている子が・・・。うそ、この人たちも私と同じくCUREを待っているんだ・・・・。と変な親近感。年齢は20代か30代の人たちがほとんど。20代の子もいるというのは、彼らの人気の幅広さを物語っている。すごいね。
ミーハーな女の子が多いのかなと思ったけれども、けっこう男の子が多いことにびっくり。へええ、こういうUK憂鬱ギターバンドって女の子のファン率高いもんじゃない? なんかさ、ヴィジュアル系にはまれない文学系女の子が行き着くところがレディへとかMUSEとかのギターバンドだと思っていたけれども、男の子にも人気があるんだね。歌詞もいいって評判だけれども、どんな歌詞を書くんだろう?
家に帰ったらもっとちゃんと聞いてみようと思いつつ、MUSEの登場を待つ。
もうそろそろ予定の7時20分。おそらくライブは1時間ちょいで終了だから、その後は待ちに待ったCUREだと思いつつ、辛抱強く待ち続ける。
7時20分きっかり。まだライブははじまらない。サウンドチェックに時間がかかり、なかなかはじまらない。どうやら機材トラブルのようだ。何度もドラムのサウンドチェックをしている。
5分ぐらい押すかな、と思いつつも、不安な気持ちで待つ。だってロバはすごく気難しい人。こんなところでもたもたしてたら帰ってしまうかもしれない。MUSEは何度も来日してるからいいけど、CUREは23年ぶりの来日だからね・・・。
そんな不安をよそに、時間は刻一刻と過ぎてゆく。
5分、10分・・・ファンの子達も早く出てきて欲しいと何度も喚声を上げている。
その間わたしは別の不安に駆られて、思わず苛立ちの言葉を呟いてしまう。
隣の若い子が自分のほうを見る。
ごめんね、別にMUSEに恨みはないんだけれども、やっぱメインのCURE見たいから、MUSEには早く出てきて欲しいのよ・・・。
ロバ、機嫌損ねて帰っちゃう・・・。
いったいなにやってんのよ・・・。サウンドチェックはまだ続く・・・・。
もう既に時間は30分近く経過している。このままいったらアンコールもしてもらえない。やばい、早く出てきてくれ・・・!
そう思った瞬間、いきなりモッシュの波が!
とうとうMUSEの登場だ!
はっきりいって熱い、すごいステージ。観客がもうすごい。いっちゃってる子がほとんど。モッシュの嵐。すっげーな。こんなに盛り上がるんだ。でも、前列でCUREを見ようと待ち構えているCURE同世代の人たちは引いてるだろうな。
わたしももっとじっくり彼らを見たかったのに、これじゃあ見れないよともみくちゃにされながら、あれよあれよという間に前列へと押し出される。いつの間にか4列目に来ている。うそ、ラッキー。このままいったら最前列でCURE見れるかもしれない。
このつらい状況を幸運と思うことにし、ライブを楽しむことにする。
やばい。あんまり曲を知らない。
でも、すごくいいステージ。なんていうのかな、ホント観客を楽しませるコツを知っている。単に演奏能力が高いだけではなく、映像やら派手なパフォーマンスやらを駆使しながら、どこまでも観客を喜ばせるステージ。なんかすごいプロ意識を感じる。
マットは機材トラブルのせいで本気でキレていたっていうけれども、事実本当にキレていたのかもしれないけれども、彼はそれを逆手にとってきちんとパフォーマンスとして昇華している。その辺はすごくえらいと思う。
でも、前のKINGS OF LEONの時もそうだったけれども、似たような展開の曲ばかりなんだな。これじゃあファンじゃない子は飽きてしまうよ・・・。確かにたてノリのテンポのいい曲ばかりなんだが、時にはじっくりと聞かせる曲も入れて緩急をしっかりつけたほうがいい。
素晴らしいけれども、若い、青臭い感じのするステージ。
うーん、悪いけれどもCUREと格が違う。
彼らはMUSEと同じ年頃でもこういうステージはしなかった。確かにいいステージなんだけれども、ある意味典型的というか、ロックバンドにありがちなパフォーマンスなんだな。
確かに見た目が派手なほうが、若い子たちには分かりやすいし、かっこいいと思われやすい。逆にCUREのようにまったく動かないパフォーマンスは、ロックに破壊衝動を求めている子達からすればつまらなく映る。
だけれども、音楽の本質って本当にそういうところにあるのだろうか。
音楽というのは見た目の派手さだけではなく、耳で聞いて感動するものではないだろうか。
そういう点ではマットのボーカルにはまだまだ未熟さが残るし、彼らのプレイの荒っぽさにもまだ改善点はある。MUSEはロックの本質を突いているかもしれないけれども、CUREは音楽の本質を突いているような気がする。この違いがさまざまなアーティストを惹きつける原因になっているんじゃないかな。
いや、まだまだ発展途上のバンドってことです。
でも、その一方で信じられないほど素晴らしいパフォーマンスをしたことは事実。正直MUSEが終わり、ぞろぞろと若い子たちが帰ってゆくなかで、CUREが果たして彼らを上回るプレイができるのかと不安に思いましたよ。おそらくあの現場にいた子達たちのなかにも、MUSEが実質のトリだと感じていた子も多いはず。
ねえ、あんなプレイをされて、ロバ、大丈夫~? 
と、かなりの不安に陥る。
ようやくMUSEが終わって、ようやくオオトリ(わたしにとっては)CUREの出番。
モッシュの洗礼から解放されて、からだはびっしょり。すでに体力の3分の2を消耗。
やばい、CURE開演までまだ一時間もある。からだもつだろうかと心配になる。
ぞろぞろとMUSEファンが去ってゆくなかで、前列を確保しなければといそいそと前方へと移動する。
最前列から二列目。
よっしゃあ、超いい位置だ。だが、前にアメリカ人らしき白人男性が・・・。異常に背が高い。視界をさえぎりまくり。これじゃあロバが見えんと焦る。
と同時に、海外での人気の高さを思い知らされる。周りを見渡してみると、外人率高し。すげえな。CUREってやっぱり海外じゃビッグアーティストなんだな。アルゼンチン人らしき人が旗を持って待機している。
うーん、MUSEでもなかった展開。すごいね。
前列にいたCURE待ちの子と話をする。MUSEきつかったねえと会話。
汗びっしょりだよ・・・。
確かにメイクもほどこして準備万全だったのに。メイクはすっかり落ちてほぼすっぴんになってしまってる。これじゃあロバに顔見せらんないよとわけのわからんことで焦る。
いったい何を考えているんだか・・・。
バックになぜかNEW ORDERの音楽がかかっている。MUSEのときもそうだったが。主催者の趣味なのか? それともロバの趣味? いや、ロバとNEW ORDERは犬猿の仲でしょう。近親憎悪ともいうが・・・。しかし、「regret」や「spooky」は名曲なのでいいこととしよう。NEW ORDERの曲を口ずさみながら、開演を待つこととする。
その間にも、ツアー・スタッフがやってきていそいそと準備をしてゆく。まずJASONのドラムセットが運ばれ、そのあと、SIMONのベースが並べられる。前方では一人のスタッフが12弦ギターをチューニングしてる。
うそ、ロバ、アコギ弾くの? 
思わぬ発見に喜ぶ自分。最近「ultraCURE」ギターが発売されたせいで、他のギターをめっきり演奏しなくなってしまったロバ。
ロバの6弦ベースを愛するわたしとしては少々つらいのだが・・・。
やっぱ「pictures of you」は6弦ベースでしょ。あのチェロに近い深みのある、重厚な旋律があってこそ、あの曲の美しさが引き立つというもの。それをロバスミ・モデルのギターで弾かれてもねえ。
だから12弦ギターを見たとき、もしかしたら「just like heaven」はこのギターでやってくれるのかもしれないと思わぬ期待に胸が膨らむ。
すげー、やっぱ「just like heaven」はアコギだよね。
最前列を占める観客のわきをぬって、セットの写真をデジカメで撮る。
うううっ。撮れない。
撮れないよーとか呟いてると、前の白人の男性がスペースを空けてくれた。
ありがとうといって写真を撮る。うん、記念にとっておこう。
時間はまだ9時10分ほど。
振り向いてモッシュピットの外側を見る。
思ったよりも人の入りが多い。
MUSEが終わったころの閑散ぶりを考えたら、考えられないほどの人数。
隣にいたCUREファンが、モッシュピット内に残っているオーディエンスの数の少なさに、「ロバート、もう日本に来ないかもしれない」と嘆いていたけれども、わたしはもとから日本のCURE人気の低さは知っていたから、客の入りは少ないだろうなと別に気にもしていなかった。
だが、この人の多さはなんだろう。しかも、周りの子達はみな20代の、きっと初来日したときは生まれていなかったか、まだ子供だったかぐらいの若い子達ばっかり。逆にリアルタイマーのオールドファンがいないことに驚く。おそらくモッシュピットのなかに入って若い子達と一緒に騒ぐだけの気力がないせいなのかもしれないけれども、客層の若さにはびっくり。
この子たち、本当にCUREのこと知ってんのかな~?
そう思ってしまう。きっと、さんざんメディアで伝説のバンドの23年ぶりの来日を宣伝してたから、興味本位で見に来た観客が多いんだろうな。
でも、なかには本当に熱心なファンもいて、すでにCUREのTシャツを着ている。
今年のアジア・オーストラリアツアーのTシャツだ。
きっとネットとかで買ったんだろうな。
わたしも熱心なファンのひとりだけれども、残念ながら彼らのTシャツを着てまでライブを見ようとは思わない。
なぜかは分からないけれども。
空を見ると、少し雲が出て空が翳っている。月が雲に隠れかかっている。
もしかしたら雨が降るかもと思いつつも、それほど雲に覆われているわけではないので、おそらくライブの途中で降りはしないだろう。というか、降らないで欲しい。
ステージではツアースタッフが機材を一生懸命は混んだり、サウンドチェックをしたりしている。スタッフの一人がうえの照明によじ登ってなにやらしている。
おいおい、怖いって。その光景に焦りながらも、いよいよ彼らが登場するんだと胸を躍らせる。
赤やみどり、紫などの色とりどりの照明が明滅する。
MUSEとはちがい、非常にシンプルなステージだ。すごくCUREらしくていい。てか、you tubeやDVDでさんざん見てきたステージと一緒。
本当に彼らがここでステージをやるんだという思いで胸が熱くなる。
隣のファンの子と少しだけ話をする。
「本当に生ロバスミを見れるんだね~」
帽子の可愛い、ちょっとゴスっぽいいでたちの子がそういった。
そうなんだ、本当にここにロバが現れるんだ~。すげー、すげーよ。
大画面に、フジロックのロゴに続いて、「THE CURE」のロゴが現れる。
狂喜乱舞して、デジカメに映像を納めようとするも、なかなかうまくいかない。
最初は失敗してしまった。
もう一度とろうとするも、なかなか画面にロゴが出てこない。
再び画面に出てくるのを待つことにする。
おそらく画面にロゴが出るということは、開演時間がせまっているんだろう。
携帯の時計を見る9時30分。
うううっ。MUSEのことがなければいまごろ開演しているのにぃぃぃぃ。
こんなに時間が押してしまって大丈夫だろうか。と不安になる。
CUREは基本的に演奏時間が長い。最低でも2時間半は演奏する。しかし、主催者が彼らに与えた時間はたったの90分だけ。
ロバートはそれを不満に思ったのか、わざわざ自分のサイトに90分しか持ち時間がもらえなかったと書いていたが、個人的には2時間半のステージをやると思っている。
2ちゃんとかでもやらないんじゃないかと書き込みされていたにもかかわらず、わたしは必ずやると確信している。
なぜってそれがCUREだから。それがロバートだと思うから。
でも、こんなに遅い開演時間じゃやらないかもしれない。だってどう考えたって10時からでしょ? 2時間半やったら12時過ぎるよ。大丈夫かなあ~。いくらなんでもこんな遅い時間までやらないんじゃないか? 彼ら?
わたしとしては絶対に海外のフェスと同じように、2時間半のフルセットで演奏して欲しい。23年間も日本に来ないで、たった90分で終わってしまうのはやだ。あれもこれもとやって欲しい曲は一杯あるのに、その半分もやらないで終わってしまったら、くそー、悶死するぞ! 
画面に再びロゴが現れる。
急いでカメラを構えるが、結局うまく撮れなかった。でも、まあ、いいや。とりあえず、「cure」って文字は撮れたもんね。
からだが少しだけ冷えてくる。やっぱり苗場の夜は寒いのかもしれない。しかし、周りにひしめく人の熱気で不思議と寒さは感じない。
もう少しあともう少し。

2007/08/20

《フジロック初参戦記’07 その3》

その2の続きどす(京風。なぜに?)

 約一時間待って、ようやく自分がバスに乗り込む順番になる。よかった座れて。一時間待たされた挙句、苗場まで40分も立ちっぱだとそれこそ体力が持たないよ。
 今回の旅行の運がいいことに感謝し、苗場まで向かう。
 苗場はかなり遠い。そして、かなり山のほうにある。まあ、スキー場だからね。当たり前なんだが。ニセコみたいな感覚か? でも、ニセコはこんな山奥にはないんだがなあ。とぐるぐるとらせんを描いて山道を上る光景を見て、苗場がいかに田舎であるかを実感する。
 すげえな、ロバ。こんな田舎の山奥にまで来るんだ。あんなに日本嫌いだったのに。
 いったい何があったんだ? そんなにセールスが悪いの? 
 レコード会社の圧力? ロス・ロビンソンのレーベルだもんねえ。
 かつてのイギリスのフィクション・レーベルとは違って、アメリカのレーベルは利益に敏感だし、セールスにはシビア。嫌いもなにも言ってられない、極東でもどこでも行って、せっせと稼がないときっと新しいアルバムも出してもらえないんだろうな。
 ロバの置かれている立場の厳しさを少しかわいそうにも思う。でも、ようやく来日したんだからね。ちゃんと拗ねずにライブをして帰ってもらいたい。次いつ君が日本に来てくれるのか分からないんだから。
 バスは何度も山道を曲がりくねりながら、ほぼ40分かけて、会場に到着。
だけれども、厳密な意味での到着ではない。ここから入口まで、またさらに歩かなければならないのだ!
 てか、いったいなんなんだよ! フジロックは! ライブだろ? これじゃあまるで遠足だよ。こんなに歩いたのなんて、高校卒業して以来だ。
 心の中でぼやきつつも、CUREのためにガマンガマンと歩き続ける。
 だって、ロバもすでに同じところにいるんだぜ。同じ会場のどこかで自分たちの出番を待機してるんだよ。信じられん! もう漲りまくり!
 って、その前に会場につかなきゃ話にならん。ていうわけで、ひたすら我慢して歩く。会場入口まではゆうに500メートルはあろうかという距離。しかも、恐ろしいほど天候がよく、暑い。
 あ”ーーー、あ”づい”。くそーー、ロバ。あたしがこんなつらい思いをすんのも、ぜんぶあんたのせいだぞぉぉぉ。きちんといいライブ見せてくれよなあと懸命に歩く。
 会場横のリストバンド交換所でリストバンドを交換。
 おおおお。これでようやく会場入りかあ。しかし、この時点でかなり体力を消耗。やっぱ北海道人はだめだね。すでに本州の暑さについていけなくなってる。
 時間はまだ1時ちょっとすぎ、これからあと8時間は待たなきゃならんというのに、こんなことでどうすんの! 
 でも、だめなものはだめなんだよぉぉぉとヘロヘロになりながら、どうにか会場入りする。
 ところが、グリーンステージの場所がわからん。間違ってキャンプサイトのほうへと向かってしまい、係員に入口が違いますよといわれる。
 入口が違うって、まだ入口じゃあないの?
 信じられーーーん!
 頭の中でがんがんとリフレインしながらも、グリーンステージ会場まで我慢して歩くことにする。とにかく会場に行かなきゃ話にならん。
 休むとしてもグリーン・ステージまでは行かなきゃ。さらに歩くこと10分。川が見えてくる。すごく水のきれいな、せせらぎ。男の子たちが水遊びをして涼をとっている。
 いいなあ、自分も水につかりたい。
 そう思いつつも、会場へと向かう。ようやくフジロックの看板が見える。
 あーあ、やっとついたよ。10分ほどかかってようやく入口。
 入口ではもちろん持ち物検査あり。かばんを開けて、不審物がはいっていないかをチェック。
 もしかしてカメラや携帯もとられるのかな? などと不安に思ったが杞憂に終わる。携帯とかは持ち込み大丈夫なんだね。普通にいいですよといわれ、通される。
 よかった。
 会場のなかに入るとすでにで店が幾つか並んでいる。ここでご飯でもと思ったが、もっと奥のほうで食事をとることにする。すぐ近くでオフィシャルグッズの販売がおこなわれていて、CURE関連の商品がないかなと思い、出向いたが、公式グッズの販売しかされておらず、失望。隣のアーティスト関連の商品を見たが、CDやDVDの販売ばかりで、これまた失望。
 別にここで無理して買わんでも、ほかでも買えるしな。それに、すでに持っているものばかり(汗)。
 あきらめて目的のグリーン・ステージへと向かう。
 暑い、とにかく暑い。だんだん気分が悪くなってくる。
 湿度が高いわけではないんだが、強烈な陽射しにやられまくり。
 うううっ、腕が痛いよお。太陽湿疹ができるよお。
 もう既に体力の3分の1ほどを消耗。食事を取る気力もなく、苗場食堂のあるオアシスエリアを抜けてグリーン・ステージへと向かう。
 メインのグリーンステージはけっこうでかい。4万人収容できるという話だがすごいじゃん。でも、CURE相手にそんなに人集まるのかあ? せいぜい2000がいとこじゃないの?もしかしたら2000も集まらんかもしれん。
 でも、いいや。あんまり人多くてもいやだし。とにかく自分はなるべく前で見たいからとなるべく人が集まらないことを祈る。
 しかし、その前に体力回復が必要だと、なるべく木陰を探す。
 ものすごい人。いったい何人集まっているんだろう。レジャーシートを強いて座れるエリアにはすでにもうたくさんの人たちが陣取っている。
 しまった。休める場所がないじゃないの。と思いつつも、グリーンから少し離れた斜面の木陰を見つけ、そこでしばし体力回復を待つ。
 もう既にかなりの気力、体力を使い果たしてしまい、結局お昼も食べず、そこで寝込むことに。しかし、サウンドチェックの音がうるさくてよく眠れない。それでも、無理やり寝てやろうとなんとなく寝にかかったとき、爆音が・・・・。
 いったいなんだよ・・・・。と思ったらKEMURIのステージがはじまっていた。
 げげげ、KEMURIかあ。あんまり邦楽アーティストって興味がないからなあ。と再び横になる。だが、眠れん。音がすげーうるさいんだよ。
 特にドラムと、ベースの低音がマジからだに響く。地面を伝ってそのままダイレクトにからだに振動として伝わるんだな・・・。
 うううっ。寝たいのに・・・。
 結局眠れないなりにも必死で眠ろうと努力し、なんとか無理やり横になる。無視が時折腕に這う。軽くよけながらも、強引に横になり続ける。
 いぜん、KEMURIの爆音が響き渡る。きっついなあ。CUREまで体力持つかなあ。
 とにかくひたすら横たわる。一時間後ようやく終了。爆音が消える。よかったあ。これで本当に寝れるぞと思ったとたん。再び爆音が!
 Jarvis Cockerだよ・・・・(涙)。
「common people」、けっこう好きだったのになあ。近くで見たいんだがなあと思いつつも、体力が追いつかず、大画面でのみの観賞になる。
 でも、ソロとしてきてるからPULP時代の曲はやってくれないんだな。
 Jarvisはひょろひょろの身体で、奇妙なパフォーマンスを繰り広げている。
 ホント変な動き・・・。それにMCが多いような気が・・・。もっと曲をやってくれなきゃ。
 しかもJarvis、イギリス人のワーキングクラス出身だから、英語がよく聞き取れない(涙)。
 すごくユーモアのあることを言っているんだろうけれども、よう分からん。
 きっと観客の日本人もわたしと同じだろう。
 どこかしらけた雰囲気で彼を見ていることが遠くからでも容易にうかがえる。
 うううっ、Jarvis・・・。なんだかかわいそうな人だ・・・。
 ようやく一時間が過ぎてJarvisのステージが終わる。
 次はいよいよKINGS OF LEON。ナップスターですでに予習済みだが、楽しみ。
 この人たちけっこういい音出すんだよね。
 でも、今日の目的はあくまでもCUREだから。KINGS OF LEONの途中ぐらいからモッシュピットのなかに入って、MUSEを見て、CUREをなるべく前で見ようと決心する。 
 KINGS OF LEONがはじまり、モニターで彼らのパフォーマンスを見る。
 すげえ、まるでジョイ・ディヴィジョンのリズムにガレージ・パンクのメロディを合わせたような音。すごくクールで、重厚で、かっこいい。まだデヴューしたての若いバンドなのに。落ち着いた演奏ぶりもいい。   
 しかも、イケメンぞろい。なんでもメンバーのうち三人が兄弟で、残る一人はいとこなんだとか。
 すげーな。すごくルックスのいい一族なんだね。
 ボーカルの人、めっちゃかっこよくて、セクシー。デルモみたい。
 全部見たいけれども、グッズも欲しいからとりあえず近くにグッズ売り場に並ぶことにして、ライブの後半を前方で見ることにする。
 丘陵を登り、オフィシャルグッズ売り場へ。なんだアーティストのTシャツを売っていたのか。こりゃCURE買わにゃあならんと列に並ぶ。どこに行っても列ができてるんだな。仕方がない。CUREのTシャツなんてめったに売っていないもんな。
 長い行列の最後尾に並ぶ。
 思ったよりも早くグッズが買えた。パンフと、もちろんCUREのTシャツ。
 CUREの名前なんて知ってるのかなと疑心暗鬼気味に、売り子さんに
 「いちばん左端にCUREってありますよね?」と尋ねる。
 店員さんはすぐに分かってくれ、
 「ああ、CUREですね。わかりますよ」とすぐに応じてくれた。
 Tシャツ代、3000円とパンフ代、1500円、計4500円を支払い、KINGS OF LEONが歌っている会場へ。
 周りはけっこう人が集まって、みな彼らに聞き入っている。自分もモッシュピット手前の芝生に座りながら、彼らのパフォーマンスを見る。
 ホントかっこいい。思わず踊りたくなる。
 もしかしたらすごくいいバンドになるかもしれないと期待も大。おそらく彼らもCURE好きだろうなと推測する。だいたい、ジョイ・ディヴィジョン系が好きなやつはCUREも好きだからね。 
 もう少し予習をしてくればと後悔する。後半になってくるとだんだん飽きてくるんだ、同じ曲調の曲が続くから。もっと予習をすれば曲の違いが分かり、楽しめたんだが・・・。
 ごめん、KINGS OF LEON。次、君たちを見るときはもっと予習してくるから。
 KINGS OF LEONの演奏が終わって、モッシュピットの近くへと向かう。MUSEが終われば次はメインアクトのCUREだ。なんとしても前で見なければとすべての気力をフル動員して、待ち構える。係員の一人が危ないですから、なかの人が出てから入ってくださいと指示する。なるべくじっと構えて前方を狙う。たくさんMUSETシャツを着ている子達もMUSEを前方で見ようと待ち構えている。そうだよね。お気に入りのアーティストは近くで見たいもんね。
 モッシュピット内の人たちがすべてではらって、なかへとはいる。
すごい。熱心なMUSEファンの子達が一斉に前方へと走ってゆく。自分もなるべく前方へと向かう。ちょうど最前列から七列目あたりの位置をキープする。かなりの好位置。MUSEが終われば、MUSEファンの子達は去ってゆくだろうし、うまくゆけば最前列にいけるかもしれない。
 かなりいいぞとMUSEの出番を待つ。

2007/08/18

自分音楽史など。

簡単に自分の音楽体験などをちょこっと。

とにかくませたガキでした。
子供の頃なら絶対聞くようなアニメソングやらアイドルものなどには目もくれませんでした。
ちなみに私が4~5歳ぐらいの頃はWINKが全盛期でした。
幼稚園なんかですごく流行ってた。
でも、当の私はぜんぜんアウト・オブ・眼中。
じゃあ、何を聴いていたのかというと、父親の影響をもろに受け、
井上陽水や安全地帯を聞いてました(汗)。
フツーにがんがん家でかかってましたから。
好きだったんでしょうね。CDもたくさんあったし。
私も当然の事として受け入れてましたから。
すげーガキでしょう?
当然幼稚園のみんなとは合わず、つまはじきですよ。
本当に趣味が大人でした。
そういう環境も災いしてか、年齢に似合わずすごーく老けてました。
老成しているといったほうがいいでしょうか。まあ、冷めているというか。
5歳にして既にサンタさん信じてなかったし・・・(当然か)。
まあ、これは私の誕生日とも関係があるのですが・・・。

まあ、初めの邦楽体験がこんな感じなので、洋楽のほうも早かったです。
母親がビートルズなどの60年代のブリティシュ・ロックが大好きだったんで
7歳ごろにはすでにビートルズを認識してました。
私が生まれて初めて好きになった洋楽はビートルズの「please me」です。
あの「come on come on~」のくだりが大好きで
今もこの曲を聴くと子供の頃を思い出します。ちなみにビートルズはレコードでした。
すごく古いレコードで、相当聞き古していたのでしょう。
ジャケットもかなりぼろぼろで擦り切れてました。
すごく好きだったんでしょうね。そのあと「アビー・ロード」のアルバムを聞いてました。
「something」がすごく好きで、何回も聞いてました。
なぜなのかは分かりません。しかし、子供心に感じるものがあったんでしょうね。今も好きです。

ですが、本格的に洋楽デヴューするのはもう少し後になってから。
小学生の後半はひたすら本に夢中でした。
昔から本が大好きで、というより母がそう仕向けたのでしょうが。
私の母親はとにかく変わった人で、自分が生まれたとき、この子には本が必要だからといって、
大枚をはたいて「ブリタニカ百科事典」を買ったんです。
いったいなぜに? と思いますが、本の好きな子供に育って欲しいと思ったんでしょうね。
私が生まれた後すぐにも、絵本を大量に購入して読ませまてました。
だけれども、当時の私は意に反してあまり興味がなかった。
ただ一冊、昆虫図鑑だけは大のお気に入りで、とにかくぼろぼろになるまで読んでました。
ちなみに私の初めての文学体験は5歳。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』でした。
小学校の6年生に偶然天文学にハマって、
その流れで世界各国の神話にハマって読みたおしました。
当時の私が大好きだった本は岩波書店から出ていた『ギリシア・ローマ神話辞典』。
子供向けではありません。明らかに大人向けな本を図書館から借りてずっと毎日読んでました。
将来は神話学者になるんだとか思ってました。馬鹿です、完全に。
昔からマニアックというか、一度ハマるととことんハマる性格だったんですね。
それは今でも変わってません。

それからすぐ中学生になって、洋楽に戻ってくるのは中3ぐらいから。
本当に恥ずかしいのですが、暴露してしまいますと
中2ぐらいに一時期すごくV系の某バンドにハマりまして・・・(爆)
それでそのバンドが好きなアーティストにスマパンやNINを上げていたので、
その流れで聞きました。そして、スマパンの1979のカッコよさに完全にノックアウトされまして、
私の進むべき道は洋楽じゃあ~ということでその後ひたすら洋楽街道まっしぐら。

特に大きかったのは高1に出会った一つ上の先輩でした。
その人はかなりの洋楽通で色んな音楽を教えてくれました。
ニルバーナやキュアーや、U2など本当にたくさん。
また同時期にブリトニー・スピアーズが日本でも人気が出始めて
その後すぐにリンキンパークなんかも出てきて
その流れでヘヴィ・ロックを自分で開拓しました。今もかなり好きです。
まあ、高校生は本当に発見の時期だったと思います。
こんな面白い音楽が世界にはたくさんあるのかという感じで、色んな音楽を聞きまくりました。
そのなかでも一番のお気に入りは、NINでした。
特に深夜放送でやっていた「the perfect drug」のPVのカッコよさにもうクラクラ来てしまって、
それからトレント一筋ってな感じで、かなりトレントに入れ込んでました。
今はそうでもありません(大好きなことには変わりないですが)。
でも、NINを聞くと高校生の頃の恥ずかしかった自分を思い出します。

その後まあ一浪しまして、
実は現役で大学合格していたのですが、家庭の事情があり、
本州の私大には行かせられないということで、やむを得ず進路変更をしました。
しかし、その一年間は私にとってはラッキーだったというか、
とにかく洋楽をじっくり聞きこむことができたので。
幸い家にはレコード・プレーヤーがあったので、
地元の中古屋に行っては、80'Sのドーナツ盤をあさったり、
90'Sのオルタナなんかを必死に聞いてました。
本当にこの辺りに来ると趣味がマニアックになってしまって、
コレクションも膨大になってしまい、泣く泣く処分することも。
おそらく80年代を青春時代に過ごされた方でも知らないようなバンドを知っていたり。
loutus eatersとか・・・(激汗)。80'sの音楽が好きになったのもこの頃です。
cure、new order、depeche modeなんかがお気に入りでした。
特にcureの『faith』と『disintegration』は毎日のように聞いてました。

とりあえず、一年間そうやって時間を浪費した後、
無事志望の大学に合格しまして、
そこからまたバイトなんかも始めたりしたので、たくさんCD買える!みたいな感じで
いろいろ聞いてました。この時期になると洋楽も結構面白くなってきて、
フランツとかブロック・パーティとかいわゆるブリット・ロックの流れが来て、
ロキノンなんかも必死に取り上げたりして、最近のものを聞くようになって。
今年、フジロック・デヴューと。そんな感じでしょうか。

こうやって改めて自分の音楽史を振り返ってみると平凡ですね。
そんなにライブとかにも行っていないし・・・。まあ、これは北海道在住ということもあって
なかなか外タレが北海道に来ないということもあるのですが。
そうしょっちゅう東京に行けるわけでもないし・・・・。
でも、絶対社会人になったらライブにがんがん行ってやるぅ~という野望は捨てていません。
常に新しい音源を求めて、これからも日々奮闘するんでありましょう。
とりあえずはこの辺で・・・。おそまつでした。

2007/08/17

《フジロック初参戦記'07》その2

その1の続き。
 
 慌てて自動改札機を潜り抜け、13番乗り場へと向かう。
 ホームに着くと、すげーたくさんの人が並んでる。
 もっと早くに並んでいればよかった。もしかしたら、座れないかも。と焦り気味に待つ。
 新幹線のドアが開く。前の乗客が動き、列に従って入口へと移動する。ぞろぞろと新幹線のなかに客が入ってゆく。窓側に座れるかななどと不安に思っていると、実際なかにはいったらたくさん空席があって、焦るまでのことはなかった。すぐに窓側の席を確保する。荷物は・・・、まあ隣の席に置けばいいや。
 座りたい人がいれば、荷物をよけて席をあければすむことだし・・・・。
さっき買った「crossbeat」をさっそく読むことにする。
「夏フェス特集」が組まれている。
ページをめくると、すぐにCUREの写真が! フジロックフェスの目玉はCUREだろう。って当然でしょ! これからすぐに彼らに会えるんだよう、と感慨もひとしお。興奮交じりに貪るように彼らの記事を読む。
 ふんふん、23年ぶりの来日ねえ。
そうだよ! 23年だよ! 自分、まったくリアルタイマーではない若いファンだけれども、23年前に見たファンから見たら本当に待ちに待った来日なんだろうな。自分もよもや日本で見られるとは思ってなかったし・・・。
 日本ではまったく人気も、知名度もないからねえ。いったい、どうしてこんなことになったんだろう? 
 CURE見に行くんですよおっていったら、CUREって誰って言われちゃう始末だし(激汗)・・・。
V系ってほとんど彼らの影響を受けてるのにねえ。
ラルクの「DIVE TO BLUE」は「just like heaven」のパクリだしさあ。
どうして本家を知らない? だからといって、変に日本にこびられてもいやだけれども・・・。
なんかCUREっていうか、ロバには絶対に日本にこびてもらいたくはない。売れなくなってしまって、日本の80’S好きの人しか相手にされなくなって、のこのこ金のために来日してくるのはいやだ。そういう外タレはけっこう多い。まあ、CUREは欧米のフェスでは常にヘッドライナーをつとめる大御所バンドだから、そんなことはないんだけどさ。
でも、ロバにだけはそういう人になってもらいたくはないんだな。ファンの人たちはみんなロバの日本嫌いを嘆くけど、わたしから見たらロバの日本嫌いはすごく納得できる。
いかにも繊細そうな人だし、自分と明らかに異質なものを容易に受け入れられないんだろうな・・・。飛行機、嫌いだっていうし・・・。でも、そういうロバでもいいじゃん。そっちのほうがロバらしいよ。とわたしは思う。そんなわたしはCUREファン失格だろうか。
雑誌を読みながら、CUREの偉業を確かめる。
本当にCUREってアメリカの音楽シーンに影響与えまくりなんだな。もし、彼らがいなかったら、アメリカの現在の音楽シーンは存在さえもしていなかったかもしれない。
もちろんマリマンも、トレントも、スマパンも。KORN、デフトーンズや、TOOLみたいなラウド/ヘヴィロックや、RAPTUREやINTERPORL、HOT HOT HEATのニューウェイヴ・リバイバル組や、FALL OUT BOYやマイケミなどのエモ勢まで。猫も杓子もCUREをフェイバリットアーティストに上げて、しかもあのレディへのトム・ヨークやレッチリのジョン・フルシアンテみたいな大御所までファンだって言うんだからなあ。
本当にすごいバンドなんだね。ロバート・スミスは本当の意味での天才なんだ・・・。そして、そのロバに今夜会えるんだ・・・。また期待が膨らむ・・・。絶対a forestは歌ってもらいたい。
予定の10時36分を3分ほど遅れて発車。
やっぱり、新幹線。速い、速い。
窓の景色を眺める。どこもかしこも田んぼだらけ。やっぱりここは日本一の米どころなんだなと実感する。
デジカメを取り出し、田んぼの風景を写真に収める。本当にすごい。一面みどりの田んぼだらけ。地平線の向こうまで田んぼが続いている。
何枚か写真にとって、再び視線を雑誌に戻す。
サイケアルバムに「Disintegration」ねえ。
しかも、暗黒ってなに? CUREには偏見が多いと自分で言っておきながら、その偏見を作ってるのはあんたたちじゃねえかと憤る。
こういう中途半端な認識しかない輩がいるから、CUREへの偏見は消えず、日本での人気も根付かないんじゃん。と、ため息をつく。
いまにはじまったことじゃないしねえ。
ま、今日、実際に彼らを見たら偏見も消えると思うし。いいや、それに目的はあくまでも今日伝説を眼にすること。まあ、大目に見ようじゃないか。
最近「crossbeat」にはCUREの記事さえ載っていなかったんだから。ニューウェイヴ・リバイバルのおかげで、彼らが再評価されているのはいいことだ。
鷹揚な気持ちで読むことにする。
直前に地震があってどうなることかと思ったけれども、不思議と地震の痕跡を示すものはどこにもない。景色はいたって普通で、新潟駅周辺も地震によって崩壊した建物などはなかった。途中停車した長岡も新潟とほぼ変わらず。ただ長岡から出ている柏崎行きのJRだけはまだ不通のようだ。アナウンスで代替バスを出すと言っている。
いちばん被害が大きいのは、報道されたとおり柏崎周辺のみのようだ。フェス会場では義援金を募っているようだから、寄付してこようと決心する。
長岡を発車して、燕三条駅へとつく。あともう少しで越後湯沢だ。
雑誌で知ったのだが、越後湯沢は川端康成の「雪国」の舞台になった場所だ。ロバって確か「雪国」読んだことがあるらしいけれども、知っているのかなあ。
川端の描写どおり、越後湯沢につくまでの間、恐ろしいほど長いトンネルが続く。
いったいどこまで続くのか。なんか奇妙な感じ。これほど長くトンネルのなかに電車が入っているのを体験するのは初めてのような気がする。一回トンネルを抜けて、外の景色が現れるものの、すぐにまたトンネル。今度のトンネルもかなり長い・・・。
いったいいつまで続くのか・・・。
 ようやく長いトンネルを抜けて、アナウンスが流れる。
「もうすぐ越後湯沢駅の到着です」
新幹線が止まる。おおおっ、到着だ。
荷物を持って駅に降りる。
うーん。同じ地にロバも足を踏んでいるのか・・・。へんな感動が沸いてくる。
本当に信じられんなあ。西の果ての国と極東の島国とまったく対極の場所に住んでいる人間が同じ土地を共有するっていうのは、なかなかすごいことだぞ。
 ホームに下りて、エスカレーターで下へと降りる。コンクリートむき出しの通路が続く。すごく殺風景で変。通路を抜けて自動改札機で改札を済ませ、駅構内へ。
 駅にはいくつもフジロックの旗がかかっている。わたしの前には、明らかにこれから会場に向かうであろう若い男女がたくさん歩いている。
 とうとうここまで来たんだと再び興奮で胸が膨らむ。
 しかし、そのまえに荷物は宿に預けておいたほうがいい。でも、チェックインするのは4時って伝えちゃったからなあ。迎えに来てくれるだろうか?
 不安に思いつつも、宿に電話をかける。
 「本日泊まる予定の者なんですが・・・。迎えに来てくれないでしょうか? もう着いちゃったんですけど・・・・」
 いいですよとの返事。よかった。これで安心して会場入りできるや。指定された場所へと向かい、迎えの車を待つ。
すごい、会場行きのシャトルバスを待つ人で一杯で、列を作って待っている。こりゃ、会場入りするまで最低でも一時間はかかるぞ。
そう思いながら、車を探す。なかなか見つからない。
場所を間違えたかと不安になる。駅を外れて別に駐車場へと向かう。
やっぱりいない。
もう一度駅の駐車場へと戻る。車が止まっている。よかった。
迎えに来てくれた宿の人と合流して、車に乗り込む。
宿は越後湯沢駅よりもかなり離れている。車で15分とはいっていたけれども、けっこう遠いな。石打スキー場付近って書いてたけれども、苗場よりも遠いのだろうか。
などと思いながらも、初めて眼にする越後湯沢の景色を堪能する。
すげえな。土地さえあれば米を作っているって感じ。橋の下の小さな土地から、空き地みたいなところまで、いたるところが田んぼ。信じられないようなところが水田になっている。どんなに小さく、狭い場所でも、とにかく土地が開いていれば、水田。
すごいな。確かこの地域って魚沼だから、おお。魚沼産コシヒカリの産地じゃん。
すっげー、おいしい米が食えるぞと勝手に期待。
本州に来ると必ず実感するのが道路の狭さだが、今回はあまり気にならなかった。どうしてかな。やっぱ田舎だからかな。でも、修学旅行で奈良に行った時の道路の狭さにははっきりいって死ぬほど驚いたけどなあ。タイヤのすぐ横が田んぼなんだもん。しかし、今回はそういうことはなかった。
けっこう道路、幅があるんだな。
宿までの道のりはけっこう複雑で、はっきりいって自力では辿り着けない(汗)。
おそらく地図を携帯しても。うん、やっぱり複雑なんだね。
いろいろ道を曲がりくねったりして、宿に到着。すぐ近くにスキー場がある。
やっぱりここは日本でも有数のスキー場なんだ。
宿はホント「ロッジ」という名前のとおり、普通の家。つまりロッジだね。
あんまりきれいじゃないし。まあ、いいや。6500円だし。素泊まりするだけだから。
でも、夕食込みにしてあるんだよな。たぶん夕食食べれない。どうしよう。
ロビーにてチェックインをする。
今日はどういう予定で?
と尋ねられたので、フジロックに行くんですというと、
「あー、そういうことねえ」と納得される。
女の子一人で、しかも夕食込みの泊まりだから、失恋旅行かなって思っていたんですよみたいなことを言われる。思わず苦笑。ぜんぜん違うんだけれどもね。
すべて納得した宿主さんは、夕食どうします?と尋ねられる。向こうで済ませますよね?
「ええ」と答える。
じゃあ夕食抜きにしますね。ありがたい。これで夕食の問題はクリアだ。
すぐに会場に行きますかといわれたので、そうすることにする。部屋に案内してもらって、持ってゆく荷物をもう一度確認する。薬と虫除けスプレー。手ぬぐいはどうしよう? 
ハンドタオルを持ってゆくからいいかと持っていかないことにする。
用意を完全に整えて、ロビーへ。車はすでに用意されていてすぐに乗り込む。
他の人はもうすでに会場入りしたんですよと宿の人の話を聞きながら、再び越後湯沢へと向かう。
天気がすごくいい。毎年必ず雨が降るというのに、今日はまったく雨の降る気配はない。
これもわたしのCUREへの思いが通じたのか。晴天で彼らを見れるのは、まったく幸運なことだ。わたしの神通力と、ロバの運が重なったんだろうということにしよう。
去年のフェスはけっこうさんざんだったらしい。
車中、宿の人からの話を聞く。雨に降られてバスに乗れずに歩いて帰ったらしい。
ひええぇぇぇ―――。今日はそういうことはありませんように。
そう祈りつつ、再び越後湯沢駅に到着。
フェスが終わったら電話をください。また迎えに来ますからと宿の人の優しい気遣いに感謝する。いい人だな。フェスのこともよく知ってるみたいだし。遠慮なくご好意に甘えることにする。
いざ、出陣だ! と気持ちを新たにシャトルバスを待つ列の最後尾へと向かう。
うええ、駅の中だよ。
ここから待つのお? とまだ会場入りさえもしていないのに、少々うんざり気味のまま、指示に従い待つことにする。
けっこう若い子が多い。当たり前か。学生か、フリーターか時間に余裕のあるやつしか来れんよなあ、こんなとこ。しかも、意外なことに外人が多い。へええ、外人もフジロックに来るんだあ。変な感動を覚えつつも、洋楽アーティスト中心のフェスだもんねえ、彼らから見たら洋楽アーティストのほうが邦楽アーティストよりも身近な存在だしね。
しかも、フェス文化も向こうが発祥。気軽な気持ちで来るんだろうな。
でも、今日の服装はちょっとやばいかなあ。一応おしゃれしてきたつもりだが、もっとおしゃれしてもよかったかなあと激しく後悔。それに、みんな長靴はいてる。やっぱ長靴はいてくればよかったかなあと、隣の子のカラフルで、可愛い長靴に思わず見入る。
しかし、よく注意してみるとみんなけっこう重装備。フジロック慣れしてる人は決して軽装ではない。ゴアテックスのトレッキングシューズに、リュック。うえはTシャツにジーパンまたは、カーゴパンツ。半ズボンの子もいる。さすがにスカートはいてる女の子はいないわな。驚くほど軽装な子もいるけれども。キャミに、ミニスカ、サンダルっていったい何しに行くんだあ。と思わず突っ込みをいれたくなる。
それにしても、なぜだか知らないが、MUSEのTシャツ着てる人率高し。
すっげー、MUSEってそんなに日本で人気があるんだ。
イギリスで人気あるのは知ってるけど。でも、アメリカではあんま人気ないんだよね(笑)。アメリカ行けば、CUREのサポートに回っちゃうし。欧州ではヘッドライナーやったりしてるみたいだけれども・・・。
だけれどもMUSE目当ての子からみれば、CUREってなにそれ? みたいな感じなんだろうなあ・・・(遠い眼)。2004年のCURIOSA・TOURでは一緒に回ってるのにね。
自分の後ろに並んでいる妙齢の女子三人組は明らかにMUSE目当て。うしろでいろいろとマットのことやら、MUSEの今年のフェスのことやら話してる。
うーん、マットってけっこう可愛い顔してるから、日本ではアイドル的な人気があるのかも。
自分もけっこう好みの顔だし(笑)。自分もMUSEのステージ初めてなんで興味あるしね。
などと思いつつも、太陽は容赦なく照り付けてくる。やっぱ、想像してたけど、本州の気候は厳しいぐらいに暑い。はっきりいって肌が痛いよ・・・。
このままだと日焼けすることは必須なので、リュックからパーカーを取り出し頭から被ることにする。でも、リュックをしょっているせいかなかなかうまく被れない。
格闘すること数十分。何とか被ることに成功し、さらに帽子をかぶることにする。これで日焼け対策は万全だろう。
暑いが、湿度はそれほど高くはないから、厚手のパーカーを着てもそれほど暑さは感じない。それでも、じりじりと肌を焦がす音が聞こえてきそうなほど太陽の光がまぶしい。
うーん、いったい何分待つんだろう。まだ自分の前には何列もあって、バスに乗るのはあと数十分後になるのは必須。けっこう一人で待つのは厳しいな。誰かと一緒に来ればよかったと少し後悔。ひとりでフェス行くのはぜんぜん大丈夫だけれども、でも、こういう待ち時間とか、無駄な時間を一人で過ごすってのは退屈だよな。話し相手がいれば、退屈さも紛れるんだが・・・。
でも、CURE見れるんならこれも試練と耐えられる。そう思い、じっと待つ。
10分、20分と辛抱強く待つ。時計を見るともう12時40分。うええ。約一時間待ってるのか。
ネットでシャトルバスに乗るのに一時間はかかるって書いてたけど、やっぱり本当だった。ネット見ててよかったかも。もし見てなかったら、いったい何分待つんだよおってキレてたかもなあ。

つづく。

musicians!!!

ミュージシャン・・・。洋楽・邦楽にかぎらず、音楽ファンなら誰しも憧れを抱く存在。
そのカリスマ性ゆえに、またそのスター性ゆえに、私たちは彼らを時には神のように崇めたり、
擬似恋愛の対称にしたりする。
しかし。
しかし!!! である。
ミュージシャン達の寿命は短い。
特に洋楽ミュージシャン達は恐ろしいまでのスピードで老化する。
まだ30代にもかかわらず、すでに40代に域に達しているミュージシャンはざらだ。
それでも、まだ体型を維持できているミュージシャンはましなほうだといえる。
老いとともに体系もまた驚くほど変化するミュージシャンは多い。
特に危ないのは40代。男性ミュージシャンは一気にメタボオヤジ化する。
一体なぜ?
逆にどうしたらこんなに劣化できるのか不思議なくらい。
やっぱ肉ばっか食ってるせいかなあ。
それとも特に見た目を気にしていないせいなのか。
いい音楽を作りさえすれば見た目などどうでもいいと思っているんだろうか。
昔「芸能人は歯が命」というCMが流行ったらしいが、
ミュージシャンだって「見た目は大事」だと思うのは私だけだろうか・・・。
少なくともkidsたちに夢を与える職業なんだから、少しぐらい見た目に気をつければいいのに・・・。
私の愛すべきミュージシャン達が、
見るも無残な姿に変わり果ててゆくのはちょっと悲しい気がするのだが・・・
(いや、めちゃくちゃ悲しいです・・・)。
ここでは、そんなミュージシャン達の今と昔(またはビフォア・アフター)を見て、
突っ込んでいこうというカテゴリです。コワいですよ、恐ろしいですよ、最近のホラー映画よりもコワいです(笑)。

2007/08/16

フジロック’07の感想入れちゃいます。その1

お待たせしましたぁ~~~(って誰も待っていないんですが)。
フジロック初参戦記、公開します。
はっきしいってすごーーーーく長いです。
なので、少しずつ公開する予定です。
あくまでもthe cure目的で行っておりますので、感想もかなり偏っています。
他のバンドの批判ではないので、気にしないでください。
27日のみの参戦でしたが、見たすべてのバンドは素晴らしかったです。
まあ、22歳の若い、馬鹿なファンの勝手な、思い込みの強い感想だと思ってください。
それと、これから一人でフジロック参戦をしようと考えているヒト、北海道から参戦しようと考えているヒトなどの参考になればとも思ってます。

名づけて
《フジロック初参戦記2007~a forest聞かずに死ねるかぁぁぁぁぁ!(笑)~》
の始まりです。

7月27日
朝5時45分、新潟港到着。天候の乱れもなく、順調な航路だったのか、予定よりも15分早くに到着。
てか、朝6時って・・・・信じられんほどの早起き(汗)。
でも、CUREを見るためなら仕方がない。
朝早起きすることぐらいなんでもないさ・・・。と思い、下船のための支度をいろいろとする。
 急いでトイレの洗面所で顔を洗い、部屋に戻って素早く着替える。
宿に置いてゆく荷物と、会場にもってゆくものとの仕分け。
天候の移り変わりが激しいというので雨合羽は必須。それに寒さ対策としてパーカーにカーディガン。制汗スプレーに、汗取りシート。そうそう、日焼け止めは必須。虫除けスプレーは駅で買うことにして。後はタオル数枚と、デジカメ。絶対必須。カメラで絶対ロバを取るんだ!と気合い入れまくりで、持って行くことにする。それに、休憩中は勉強をしたいので参考書とノート数冊も入れる。
リュックをしょってみると結構重い。まあ、しょうがないや。デジカメはいっているしね。でも、移動するにはそれほど苦にはならない重さでしょう。そう思い、この装備で会場入りすることに決める。
 その間にも船内アナウンスでしきりと下船に向けての準備をするよう促される。もう新潟港に到着しているようだ。完全に下船できないのは、乗客を下ろすための準備を整えているからなのだろう。
 すっかり下船のための準備を整えて、ロビーに向かうと多くの乗客が下船入口付近で待機をしている。いよいよ下船が近づいているらしい。とうとう新潟入りだ。これから新幹線に乗って越後湯沢へ向かい、苗場スキー場へ向かう。現地まだはまだまだ遠い。本当にこれからなのだ。
 朝5時45分。下船のゲートが開く。ぞろぞろと乗客が降りてゆく。自分もゲートくぐって下船する。建物へと足を踏み入れる。
ああ、とうとう新潟だ。
興奮と期待で胸が膨らむ。窓を見ると晴れてはいないが、天気はそう悪くはない。あまり天気が良くても困るし・・・。本州の夏の気候に慣れていないからだでは、9時30分まで待つにはあまりにもつらすぎる。このぐらいの気温がちょうどいいのだと思い、天候に感謝する。ぞろぞろと前を歩いている乗客のあとをついて、建物を出る。
小樽港と違って建物の目の前にバス停があるわけではない。でも、船で確認したとき近くにバス停はあるはずだから、新潟駅行きのバス停を見つけなければならない。
でも、どうやって行くんだよお・・・・!
道は大きく二つに分かれていて、どっちに向かえばいいのか分からない。近くに駅行きのバス停を示す標識もない。人に聞くこともできないし・・・
と、少々戸惑っていると同じようないでたちの男性が一人、ずんずん前のほうに歩いてゆくではないか。
おそらくこの人も私と同じ新潟駅に向かうに違いない。
とついてゆくことにする。
この男性、けっこう道になれているようで標識を確認しながら、ずんずんと歩いてゆく。
もしかしたら私と同じ苗場行きかあ、などと思いながら、彼を見失わないようついてゆく。結構複雑な道のり。紆余曲折も幾つかある。新潟駅行きを示す標識が幾つかあるのだが、結構分かりづらい。前の人がいなければ自力でバス停にはいけなかったかもしれない。
この人がいてくれてよかったあと安堵し、ストーカーのようにあとを追う。
歩くこと数分。ようやく新潟駅行きのバス停に辿り着く。バスに載ってしまえば、バスが私を新潟駅に運んでくれるだろう。これでやっと一安心。一つ何間を越えたと思った。
しかし、時間は早い。始発なのだ。バスが来るまであと数十分は待たなければならなかった。待っている間にも結構バックパッカーらしき若者が集まってくる。
みんな同じくフェリーから降りてきたところなんだなと思い、バスを待つ。もしかしたらこの人たちも苗場に行くのかしらと思いつつ。
朝6時3分。始発の新潟駅行きバスの到着。
整理券をもらってバスに乗る。
船で確認したところ、駅までは約20分かかるとのこと。駅に向かう間、窓から新潟の市内を眺めることにする。まだ朝だから店は開いていない。けっこう田舎。ていうか、微妙・・・。当然札幌よりも大きくはないし、かといって小樽よりも小さいわけではない。強いて比較すれば旭川か函館に近い感じか・・・・。典型的な地方都市なのだろう。
本州っていつも思うんだけれども、建物がどれも古く感じられる。高層ビルにしてもそう。新しくない。ひと昔前の建物って感じ。道路も老朽化している。アスファルトが擦り切れて、ところどころ崩れかけている。
こういう光景を見て、北海道って本当に新しい街なんだなあということが実感させられる。
本州みたいに歴史の重みも、古さもまったく感じられないもの。すべてが新しく、きちんと整備されていて、道も広くて、家もきれいで、近代的。
そして、何よりも町全体を覆うどんよりとした陰鬱な空気が感じられない。修学旅行で京都に行ったときも感じたのだが、どうも本州の街ってどんよりしていて暗い空気が漂っているんだよねえ。これもやっぱり歴史の重みがそうさせるのか、それとも単に光化学スモッグのせいなのか、分からないんだけれども。北海道みたいに空気がクリアじゃないんだな。これはいったいなんなんだろ?
いかにも古びた工場。それに、瓦屋根の古い一軒家が何件も続く。ひなびた喫茶店に飲食店。パチンコ屋。
ふ、古いなあと、バスから景色を覗く。
ようやく高層ビルらしき建物が見えるようになる。
どうやら中心部へと近づいてきているらしい。でも、なんとなくひなびた感じは否めない。
うーん、やっぱ札幌とは違うんだねえ。
高層ビルもそれほど多くはないし、中心部なのに、平気で一軒家がたくさん建っている。札幌じゃありえんぞ、この景色。開発が中途半端というか、もしかしたら田中角栄全盛期のころは、都市開発が進んでいたのだけれども、彼が失脚するとすぐに開発が滞り、こんな風に中途半端なままに終わってしまったのだろうか。
なんか変な感じがする。他の本州の都市もこんな感じなのかなあ。
と思いながらも、初めて見る光景に奇異の眼で眺め入っていると、本通りらしきところに入ってゆくのに気づいた。
地方都市って必ず駅を中心に本通りがあって、そこから放射状だったり、碁盤目状だったりして広がってゆくんだよね。だから、もうすぐ新潟駅に到着するはずと思っていると、アナウンスで新潟駅終点と流れる。
よっしゃあ。そこから新幹線だあ。
気合い漲りまくり。
駅に着き、バス停に下りる。
新潟駅を眺める。
あんま、大きくないや。
ホント、旭川駅ぐらいの規模の駅。あんま大きくない。札幌駅のほうが新しいし、大きいし、近代的。新幹線は走っていないけれども、総合商業施設が併設されているから大きいんだね。まあ、新潟駅にもヨドバシカメラとかあるんだけれども・・・。
近くにセブンイレブンがあったので、本日の朝食と昼食を買うことにする。どうせ会場内の食べ物は高いに違いない。今のうちに水分と食い物を買っておいたほうが得策だと、おにぎり一個と、サンドイッチを購入。それとお茶。
セブンを出て、駅構内へと向かう。まだ六時半。
やべえ、いくらなんでも早すぎ。
駅内のロビーで少し時間を潰すことにする。
CUREを見るといっても、彼らの開演は夜9時半。恐ろしいほど時間がある。
ジャービス・コッカーを見るにしたって、この時間は早いでしょう。
時計と自分の見たいアーティストの時間を考えて、お昼近くに現地入りしたほうがいいと判断する。
待合所に入って、少し休憩。でも、寝れないんだよなあ。隣に座っている若い女の子が、i-podで音楽を聴いている。どこかで聞いたことのある音楽。
あれ? CURE? 
やべえ、CUREのこと思いすぎて、何でもCURE に聞こえてしまう。
あせっていると、聞き覚えのある奇声が・・・。
あ、なんだ、ラルクじゃん。
ラルク・・・、やっぱCUREチルドレンなんだねえ。すごくよく似てる。
そのあとすぐにエイミー・リーの声に切り替わる。今度はevanescence。なんつう趣味。まあ、分からんでもないが・・・。
隣の子の音楽が気になって眠れない。
それでも眼を瞑り、なんとかCUREに備えて体力を蓄えておくことにする。
いつの間にか、隣の女の子がいなくなる。別の女の子が座っている。
いったい今何時だろう。駅内放送で6時36分の電車到着の知らせが流れる。
まだ、六時半かあ。もう一時間ぐらいいたほうがいいなあ。
と、再び眼を瞑る。眠れるわけでもないのだが、眼を瞑ったほうが眼を開けてぼおっとしているよりもずっといいらしい。形だけでも眠っておけば、けっこう休めるものなのだと誰かが言っていた。
その教えに従うことにしよう。
と、約一時間目を瞑る。朝7時半ごろの電車到着を告げるアナウンス。
うん、そろそろ起きて、どこかで休むことにしよう。
待合所を出て、駅構内を歩く。マックか何かないかな。歩いていると、「vid france」が開いていたので、そこにはいることにする。
コーヒーを注文する。
冷房が効きすぎて寒い。さっきから気になったのだが、どこも冷房が効きすぎてるよ。外との寒暖の差が激しすぎ。このままじゃ風邪を引く・・・。うえに、パーカーを羽織る。
よかったあ。こんなところでパーカーが役に立つとは思わなかった。やっぱ無理して買ってよかったわあ。と思いつつ、コーヒーを飲む。
観光雑誌を開き、フェスがひけたあとの新潟都市観光の計画を練る。
へぎそば食べたいし、新潟を実感できるところにも行きたいなあ。
観光地をチェックしていると、母から電話。
無事到着したことを告げ、これから越後湯沢駅に乗ることを告げ終話。
その後まったりと数十分時間を過ごしたあと、そろそろ駅構内の店も開店し始めたようなので、買出しに出ることにする。
店を出て地下の本屋へ。入口付近にたくさんの、雑誌が山積みされている。そうだ、地元のお勧めスポットの載っている雑誌を買えばいいんだと即座に思い、購入。
今度観光に行くときは必ず地元の本屋によって地元専門誌を買おうと決心する。
ぶらぶらと本屋内を歩きながら、CUREを待つまでの間、相当の時間がある。それまでの間、本を読んで潰すかと思ったが、勉強せにゃならんので、本を買うのをあきらめることにする。雑誌コーナーに立ち寄り、音楽雑誌に眼をとめる。
あ、「crossbeat」だ。CURE載ってないかなと思い、ページをめくる。
うそ、マジで載ってる。
即購入することにする。
CURE待つまでの間、これ読んで潰そう。本当に今日彼らに会えるんだ、期待は膨らむ一方だ。
レジカウンターで清算を済ませ、地元誌をチェック。近くに「マツモトキヨシ」があることを発見。
よっしゃあ、ここで虫除けスプレーと鎮痛剤を買おう。
雑誌の地図をチェックしながら、「マツモトキヨシ」を見つける。
専門のコーナーにて虫除けスプレーを発見。即座に購入。
化粧品コーナーへ立ち寄り、マニキュアを眺める。
うーん、やっぱ、黒いネイルにしたほうがいいかなあ。
と、いけない欲望が・・・。変にゴススタイルにしてもねえ。それに、荷物になるのはいやだし、重いし、しかも、乾くのに時間がかかる・・・。
泣く泣く断念。
って、なに考えてるんだよ! あくまで健全なスタイルでCURE見ようって思っているのに。
でも、CURE見るんだったら、ロバに敬意を払うという意味合いも含めて「正装」で行ったほうがいいじゃないかとも迷う。
うーん、ここまで来るとただの馬鹿だよなあ。CURE目当てでフジロック行くやつなんて少ないだろうしねえ。同年代の20代はみんなMUSEに流れるだろうしなあ。
まあ、いいや。それより、新幹線。新幹線。
と、みどりの窓口へ。そういえば、新幹線の切符を自力で買うのは初めてだった。
どうやって買うんだろう。とりあえずみどりの窓口へ行けば買えるんじゃないかとの安易な考えのままに、みどりの窓口の入口をくぐる。上のパネルに新幹線の時間表が掲示されている。
越後湯沢に止まるのは・・・。ふん、ふん、けっこうあるじゃん。確かここからは一時間ほどで到着するらしいから、10時半ぐらいの新幹線で行けば間に合うな。
と10時36分の新幹線に乗ることにする。受付で男性が新幹線の満席状況を確認している。
「今の時間ですと、東京行きは満席ですねえ」
 駅員がそういっている。
「じゃあ、何時が開いてる?」
乗客が訊く。
やっぱここで買ったほうがいいかと迷っていると、ふと近くの券売機に新幹線の切符購入の文字が!
なんだ自動券売機で買えるんだ・・・。
みどりの窓口を出て券売機で購入する。
ナニナニ・・・何日の券かって、当日券に決まってるだろ!
と、ためらうことなく27日と表示された画面に指を触れる。
次の画面が現れる。
なんだ往復券も買えるのか。でも、日帰りじゃないから、片道でいいや。と片道券の表示を選択。フムフム・・・。今度はカード支払いにするか、現金支払いにするか。
うそ! カードでも支払いできるんだ! 
さっそくカード支払いを選択。購入終了。カードと券を受け取り、時間を待つ。
 あれ、そういえば今何時だっけ? 
 携帯を取り出し、時間を調べる。
やべえ、もう10時25分だよ。あれこれと買い物をしている間に、時間が過ぎていたのだ。

つづく・・・

2007/08/14

フジロック’07―総括

いやあ、行ってまいりましたよ、フジロック。
今年は、the cureが出るとあって、もう絶対行ってやる!てな感じで、
行きはフェリー、帰りは飛行機の2泊3日の強行スケジュールで行ってまいりました。
29日には大学でテストがあったにもかかわらず・・・(汗)。
感想は後日公開する予定ですが、
ここでは総括を。

the cure、はっきりいって凄まじかったですね。
世界の裏側を垣間見たような凄まじさ。
前座のmuseのグレイトなパフォーマンスが一瞬にして吹き飛んでしまいました。
museの流れで見た人も彼らのすごさに驚いていた人が多かったようですね。
2ちゃんでも話題になってました。
でも、その一方でmuseの派手なパフォーマンスに幻惑されて
cureの一見地味なパフォーマンスに物足りなさを感じた人たちも多いのでは?
あれだけさんざん23年ぶりの来日だと煽り立てておきながら、
「あれ」はないでしょうと感じた方は多いはず。

the cureというバンドはmuseや現在のマイケミに代表されるロックバンドのような
サービス精神旺盛の親切なバンドではありません。
むしろ聞き手を冷酷に突き放す、非常に不親切、不可解なバンドで、
そういう意味では、非常に80年代的なバンドかと思います。
自分のほうから積極的に入っていかないと絶対に分からない。
だから、見た目が派手で、典型的ロックパフォーマンスを繰り広げるmuseは入っていきやすく、
すごいって感じやすいけれども、
観客に対して無頓着なcureは、若い洋楽初心者には厳しかったように思います。
でも、逆にそういう聞き手に媚びることのない、
純粋に自分の音楽性だけを追求しつづけてきたからこそ、
linkin parkやmetallica、ひいてはミッシー・エリオットのような畑違いのミュージシャンを
ひきつけてきた原因にもなっているかと思います。

日本じゃ「は?」みたいなバンドですが
アメリカではすでにロックの殿堂入りをしているほどの大御所。
アメリカだけでもミリオンセラーを連発しているバンドです。
日本での知名度はmuseのほうが上ですが、
アメリカでは(もちろん大陸欧州でも)まったく逆。cureのほうが認知度が高いです。
でも、museはcureのことを尊敬していて、
2004年はcure主催のcuriosa tourで一緒にアメリカでツアーをしています。
マット・ベラミーとロバート・スミスが一緒に談話している写真も撮られています。

cureについては後日、いろいろと書いてみたいと思いますが、
ぜひこの機会に、27日にフジロックに行った方も
cureをじっくり聴いてみては?