2008/01/26

PICK UP:the cure その⑤:the cureのオルタナティヴ・ロックの影響

2004年9月17日、ロンドンにてMTVヨーロッパが主催する
「MTV ICON」というイベントがおこなわれました。
どういうイベントかというと、現代の音楽シーンに多大なな影響を及ぼしたビック・アーティストを
称えるというもので、すでにメタリカ、ジャネット・ジャクソンがそのICON(=アイコン)に選ばれています。
日本では久保田利伸さんがMTV ジャパンの主催によって称えられました。
↑の記事はその時の模様を伝えたもの。
マリリン・マンソンが司会となって
the cureをリスペクトするバンド達がトリビュートとして、
彼らの音楽をそれぞれカバーしました。
AFIが「just like heaven」
blink-182が「a letter to elise」
razorlightが「boy's don't cry」
そして、deftonesは「if only tonight we could sleep」でした。
スゴイ面々です。知名度とかそういう意味ではなくて、
ここにはそれぞれのジャンルを代表するバンドが出演しているからです。
AFIはemo/screamo、
blink-182はpop punk、
razorlightはbrit rock、
そして、deftonesはheavy rockです。
the cureの影響力がいかにすごいかを如実に証明しているといえるでしょう。

the cureは日本において(欧米においても)正当な評価を受けたことはありません。
しかし、多くのバンドたちがその影響を高らかに公言しております。
次回以降the cureが影響を及ぼしたジャンルについて説明したいと思います。

追記
ライターの有島博志さんがthe cureについてまとめたサイトをみつけました。
とても的確に記されていると思います。こちらから見れます。

2008/01/25

雪じゃあ~


小樽、祖母宅にて。
一面銀世界。
昨日から今日にかけて雪が降り続け、今日でおそらく積雪30センチ。
札幌の自宅もスゴイ雪。もちろんガッコーも。
ガッコーの写真をとろうととろうと思っているんですが、なぜか忘れちゃうんですよ。
それに一生懸命写真を撮ってる姿を見られたら観光客に間違えられそうで(笑)。
でも、雪まみれのクラークさんを近いうちにアップしますね。

なんかすっげ恥ずかしいっ~ヾ(≧∇≦)〃

久しぶりにブログの写真を貼り替えたんですが、
ぎゃあ~、なんかすっげ恥ずかしい! まともに自分のブログを見れない。
ぎゃあ~~~(>▽<)、どうしよう。貼るんじゃなかった…(〃▽〃 )
なにをひとりでこんなに動揺しているかというとですね、
まあ、いつかはきちんと話さなければと思っていたんですが、
↑のね、ヒトがですね、洋楽を聞く人なら分かると思いますが、大好きなのですよ。
ホント死ぬほど。で、書こう書こうと思っていたんですが、
でも、なんというか、自分の恥部をさらしてしまうような気がして、
高校生の頃の恥ずかしかった自分とか。そういう自分を思い出してしまうのですよ。
でも、女子高生ならまだバカやっても許される年齢じゃないですか?
例えばアイドルとかにハマったりしても。
部屋中をそのヒトのポスターだらけにしたりとか、そのヒトの出ているものなら何でも買うとか、
なかには追っかけしちゃったり。
ですが、自分もいいかげん、23歳ですからね~。
フツーならとっくに社会人ですよ。
いい歳こいて「キャー、○○!」ってのもないかとは思うんですが。

やっぱり言っちゃいますね。
わたくし、何を隠そう↑の写真の人物、トレント・レズナーの大ファンなんですよ。
ギャー、とうとういっちゃったぁ~。はずかしっ(/▽\)きゃー♪
で、一時期本当にハマったというか、好きで好きでたまらなかった時期があって
トレントの記事とか集めちゃったり…、海外のファンサイトでトレントの画像を集めまくったり、
本当にバカな時期があったんですよね~。
もう今は大人になっちゃって、何でもかんでもトレントということはないんですけれども。
もちろん今も大好きなことに変わりないんですが。

でもね、わたし個人としては複雑なわけですよ。
まあ、そのね。これも書こうかどうか迷ったんですが、
最近のね、トレントがね、うーん、どうも、昔とは違うというか。
そのー、わたし的にはトレントが復活してくれたのはうれしいんですよ。
ただね、こういうトレントを想像してなかったというか。
まあ、デ○になるよりかはましかと思いますよ。42歳にしては頑張ってると思う。
でも、でもね。トレントがマッ○ョになるとは正直思わなかった。
なんかねー、トレントだけはそういう風にはならないって勝手に思い込んでいたんですよ。
だってWASP的マチズモを最も嫌う男だったから。
そんな彼がいきなり肉体改造して、ハルクみたいになっちゃってるのを見て、
すげーショックで、未だに現在の彼をまともに見れないというか、
本当に複雑というか、もう言葉になんない(涙)。


↓の彼をまだちゃんと受け入れられない、わたくし。

悪友どもは「いいかげん、現実を直視したら~」とかいうけれども、
おかげでアルバムもまともに聞けないじゃないか~。
とれんとぉ~、お願いですから昔のスレンダーな暗黒王子だった頃に戻ってください~(´Д`。)グスン

2008/01/24

ヒースが死んだ!

俳優ヒース・レジャーが死亡、薬物過剰摂取の可能性

みなさんもご存知の通り、俳優ヒース・レジャーがなくなったそうです。
なんでも死因は大量の薬物摂取だとか。

ヒースといえば『ブロークバック・マウンテン』で有名ですが、
私は去年DVDで見た『チョコレート』という映画を思い出します。
怪優ビリー・ボブ・ソーントンが出演している映画で、
あのハル・ベリーがオスカーを受賞したことでも有名な映画ですが、
ヒースもビリーの息子役として出演していました。
ヒースとビリーはともに看守で、親子で一緒に仕事をしているのですが、
息子ヒースは父親を超えられない自分に鬱屈し、また父親への抑圧に苦しみながらも
父親の目の前で自殺します。
その演技が素晴らしく良かった。
感情を露にするわけではなく、控えめなのですが、
逆に感情を抑えた演技をすることによって
父親への屈折した感情をうまく捉えていたと思います。

のちに『ブロークバック・マウンテン』に出演し、オスカーにノミネートされましたが、
昔から確かな演技力を持っていた俳優さんだったんです。
そんな彼が28歳という若さで死ぬなんて。
先日、ブラッド・レンフロも25歳の若さでなくなったばかりですが、
立て続けにハリウッドの俳優さんがなくなるというのも…。
しかも、死因もちょっと似てますよね。薬物の大量摂取って…。
やっぱり人知れずプレッシャーに悩むこともあるのかしら?
ハリウッドって保証のない社会ですものね。
そんな中でもヒースのキャリアは順調だったと思うのですが
(ブラッド・レンフロは別として)。
ともかくもご冥福をお祈りします。

2008/01/21

PICK UP:the cure その④ 影響を受けているのは欧米人だけじゃない!!!

では、早速↓のINDEXにしたがってはじめていきたいと思います。

実は、the cure、洋楽だけではなく邦楽の分野でも
けっこう色んなアーティストに引用されています。

で、昨年、ネット上で話題になったことがありました。
実は去年、一度のせていたのですが、
まとめてthe cureのことを紹介したかったと言うことがありまして、消去してしまいました。
ですが、非常に興味深い内容だったので再びUpしたいと思います(改訂してあります)。

実は昨年、このような記事を偶然発見しました。

ただスピッツの『群青』は、イントロが僕の大好きなザ・キュアーの『フライディ・ アイム・イン・ラヴ』に似すぎでした。アルペジオのピッキングパターンは超そっくりだし、 コード進行は1つ違うだけ。たまたまかもしれないけど…。でも、すごくいやしてくれる 曲だったから許します(笑)。

もうびっくりしまくり!!!
あのスピッツが???と思い、さっそく聴いてみました。 →こちらからどうぞ。

うーん、どうなんでしょうね・・・。
確かにギターのアルペジオやコード進行は似ていると思いますが、
「超似すぎ」ってわけでも・・・。
さすがに全部同じだったらヤバイんで、
少しはアレンジをくわえなければとメロディーを変えたのかもしれませんが。

で、スピッツが引用していると思われる元ネタの曲がこちら

マーティも言っているthe cureの『フライディ・ アイム・イン・ラヴ』です。
フジに来たときもやっていました。大盛り上がりでした。
日本人が特に好きな曲みたいですね。

実は、草野マサムネさん、以前あるサイトで、
『フライディ・ アイム・イン・ラヴ』をリクエストしていたんですよ。
きっとこの頃から、この曲をずっと聴いていたんでしょうね。
『群青』を作っているときに、この曲からアイデアを得ようと考えていたに違いありません。
草野さんも、この曲の持つ独特のキラキラ感に特別な魅力を感じていたんだと思います。
日本じゃあthe cureを知ってるやつはほとんどいないし、
少し借用してもいいかなと思ったりして(爆)。
でも、アメリカ人のマーティにはばれちゃった。
この曲、アメリカではたいそうヒットしましたからねえ(笑) 。
草野さんも、思わぬ人から指摘されて驚いてることでしょう。

ねね、すごいでしょう?
スピッツみたいな大物バンドまでもが、cureの曲をひそかに引用しているんですよ。

皆さんはあまりご存じないかもしれませんが、
実は日本のバンドの中にも、cureをリスペクトしているバンドやミュージシャンは多いんです。
いくつか例を挙げると、
まずは浅井健一。
彼は7月28日のフジロックに出演していたのですが、前日のcureのライブに見に来ていたそうです。
たいそう盛り上がっていたとか。
音楽的には、ソロになってからはそれほど感じられないんですが、
以前結成していたブランキー・ジェット・シティというバンドにはけっこう影響を受けた曲がありました。
なかでも『ジョン・レノン』という曲は爆笑。まんまcureの『boy's don't cry』。
『boy's don't cry』は名曲として名高い曲なので、引用したくなる気持ちも分かりますが・・・。

あと有名どころでは、ラルク・アン・シエル。
hydeとtetsuは以前からcureが好きだと公言していました。
『dive to blue』はcureの『just like heaven』のパクリではないかと密かに噂されていたほど。
hydeのボーカルスタイルはcureのロバート・スミスに影響を受けているかと。
曲の中にも、これってcureだよね???と首を傾げたくなるようなものがけっこうあったりします(笑)。

V系はけっこうcureが好きなバンドが多いみたいです。

なんでもcureは日本の初期のヴィジュアル系に多大な影響を及ぼしているそうです。
ヴィジュアル系の元祖のひとつといわれているBUCK-TICKはcureの大ファンだったとかで、
何でも一時期the cureにそっくりのメイクをしていたことがあったんだとか。
音楽的にも近いものがあるんでしょうか。
その辺はよく分からないんですが。
でも、日本のヴィジュアル系がcureの影響を受けたことは確かのようです。
英雑誌にも以前、cureは日本のgothic rock(おそらくヴィジュアル系だと思われる)に
影響を与えたと書いてあったんで、海外でも同じ認識があるのでしょう。

日本人リスナーの知名度は低くても、アーティストにはけっこう評判のいいバンドなんです。
プロのミュージシャンの視点から見て彼らの音楽を素晴らしいと評価しているということは、
音楽的にも非常にレベルが高いということを示しているかと思います。
決してヴィジュアル先行の、よくある日本のV系のバンドではない。
非常に志の高い音楽を作っている。

でも、いちばん驚いたのは、マーティ・フリードマンがcureを大好きだということ。
てか、アメリカ人ってホントcure好きなんだな。
こんないかにもメタルな、cureなんて聞かなそうな人が、
好きだって言うんだからなあ。
しかも、初期の暗黒系の曲じゃなくて、
よりによって最もポップな曲を選ぶところあたりがもう・・・笑っちゃいます。
いやあ、アメリカ人、なかなか奥が深いです(笑)。

ぎゃー((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


また見つけちゃいましたよ。
何でも「キモおいしい第二弾」だそうで。
こちらはチョコレートではなく、あんこ味。
はっきりいってこっちのほうがキモい。つーかグロい( ̄ロ ̄;)
確かにリアリティという点ではカブトムシの幼虫には勝てないけれども、
色彩のグロさはこちらが上。キモいです!

それにしてもいったいどうしてこんなものを作る気になったんだろう。
何でもこの「虫」を作っているお店、秋田の老舗の和菓子屋さんらしいんだけれども、
ここまで細部にこだわって作るってのも…。老舗の意地なのか? 
でも、こんなことに意地を見せても仕方がない気がするんですが…。

2008/01/20

PICK UP:the cure その③~index~

                       (まだ3ピースだった頃のthe cure)

the cureというのは歴史の長いバンドですから、
現代ロックシーンに与えた影響も長く、多方面にわたっています。
なので、以下数回に分けて紹介したいと思います。順番としては、

1.日本におけるthe cureの影響

2.MTV ICONとcureの音楽シーンへの影響力について。
 ①cureとグランジ~アメリカ・オルタナティヴロックについて
 ②cureとヘヴィ・ロックとの関係
 ③cureとemoシーンについて
 ④cureとnew wave revival

3.欧米サブカルチャーへの影響
 ①映画界への影響
 ②コミックへの影響
 ③ゴス・カルチャーへの影響

4.the cureの歴史
 ①the cureとはどんなバンドか?-バンドについての詳細とサイトの紹介など。
 ②the cureの創設者にして、中心人物でもあるrobert smith(ロバート・スミス)氏の生い立ちと音楽的  背景について。

5.アルバム紹介

6.DVDなどの紹介

となるかと思います。若干順番が前後するかもしれません。
ですが、だいたいこんな感じで紹介していきたいと思います。

2008/01/19

PICK UP:the cure その② 早速アルバムを聞いてみよう!

                   (1989年ごろのthe cureのメンバー)

では、早速自分の音楽傾向に合わせて、the cureのアルバムを聞いて見ましょう。
彼らは2004年現在まで計12枚のアルバムを出しています。
まずは古い順から紹介していきましょう。

①『three imaginary boys』(1979)(または『boy's do't cry』)
→bloc partyやフランツ、razor lightなどが好きなヒト向け。
 かなりpost-punkな作り。Fire in cairoは隠れた名曲。
 razorlightがカバーしたがったほど。なぜかエレポップ系(?)にも受けがよい。
 desitalismやmassive attack等がこぞってサンプリングに起用。
 シングル「boy's don't cry」は必聴。
 ちなみにヒラリー・スワンクがオスカーを取った
 映画『boy's do't cry』は同名曲からきている。

②『seventeen seconds』(1980)
→後期スマパン(『adore』以降),interpol,mogwaiが好きなヒトに。
 レディへの『bends』が好きなヒトでもいけるかもしれない。
 たぶんshe wants revengeやthe stillsなどのnew wave revival組は
 このアルバムを大いに参照したと思われる。
 ひどく内向的。a forestは名曲

③『faith』(1981)
→初期の大傑作。
 しかし、欧米の評論家の間では最も誤解されているアルバムでもある。
 joy divisionの『closer』のパクリだと勘違いされている。でも、
 まったく趣旨の異なるアルバム。『closer』が「死」についてのアルバムなら、
 このアルバムはまさに自身の「信仰」について歌ったもの。
 おそらくカトリック圏で最も評価の高いアルバムだと思われる。
 アルバム収録曲「all cats are grey」は
 ソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』でも使用された。
 音楽評論家の小野島大さんが大絶賛しているアルバムでもある。
 post rock系にも通じるかもしれない。トータス辺りが好きなヒトならいけるかも。

④『pornography』(1982)
→NIN好きなヒトは必聴。KORNのfirstにも通じる暗さ。重々しさ。
 ロス・ロビンソンもkornのアルバムを製作するとき
 the cureを参照にしたと述べており、
 おそらくこのアルバムから引用したと思われる。
 このアルバムによって勝手にgoth系と決め付けられた。
 deftones,tool(a perfect circle)が好きなヒト向けかもしれない。
 ヘヴィ・ロック系でも特にダウナーなのが好きなヒトならいける。
 スマパンも「one hundred years」をライブでたびたびカバーしている。
 AFIは「hanging garden」をカバー。

⑤『top』(1984)
→ポップとダークの配分が絶妙。
 この辺りからcureの独自色が展開する。
 傾向はあまりないかも。強いて言えばスマパンとかかな~。
 『mellon collie~』期あたりの。
 文学作品からの引用も多数。
 サリンジャー、ディラン・トーマスを読んだことがある人なら
 ニンマリしてしまうかも。

⑤『the head on the door』(1985)
→初心者向け。the cureを初めて聞く人はこのアルバムから入ると良し。
 interpolのカルロスが絶対的におススメするアルバム。
 ブリット・ロックやnew wave revival系が好きなヒトなら必聴。
 raptureとかVHS or BETAとか好きなヒトならたまらないかも。
 あと、デンマークのバンドmewが好きなあなたなら、絶対好きになれる。
 ちなみにblink-182はpushという曲がお気に入り。

『kiss me,kiss me,kiss me』(1987)
→killersが好きならこれを聞け!的アルバム。
 killersはここから始まった(笑)。
 彼らがこのアルバムから引用したネタは数知れず。
 「the kiss」という曲は、incubusやaudioslaveがお気に入り。  
 audioslaveはライブでカバーしたことがあるらしい。
 museとかのscremo系でもいけるかも。
 ちなみに「just like heaven」は
 アメリカではemoのお手本曲として知られている。

『disintegration』(1989)
→欧米では彼らの最高傑作として知られている。
 特にアメリカではこのアルバムによってスタジアム・バンドとしての地位を確立した。
 当然アメリカのバンドはたいていこのアルバムが好き。
 リンプのフレッドは 「closedown」をitsのセレブリティ・リストに上げていた。
 jimmy eat worldはアルバム『futures』を
 製作したときにこのアルバムを聞いていたと思われる。
 激似な曲が多数(「23」など)。
 「disintegration」 というタイトルの曲があるぐらい(笑)。
 『bends』期のレディへやコールドプレイ、museが好きなヒトにおススメ。
 静かな感じ。
 ただし初心者向けではない。初めて聞く人にはただ眠いだけかも。
 
『wish』(1992)
→日本人ならこれを聞けでしょう。
 おそらく日本で最もウケるだろう音。メタル系が好きな人でもOK。
 むしろcureに対する偏見が消えていいかもしれない。
 音的にも最も聞きやすく、メジャー感が溢れている。
 cure独特のアクがほどよく消えて、苦手と思うヒトでも聞ける音。
 ちなみに「friday i'm in love」はスピッツが「群青」でパクッた。
 ラルクも「neo universe」で「high」より引用。
 邦楽系ロックバンドに多数ネタを引用されている。

『wild mood swings』(1996)
→欧米のファンの間でえらく評判の悪いアルバム。
 でも、決して駄作ではない。
 時代が彼らに追いついていなかっただけのこと。
 emoが好きな人なら絶対このアルバムを好きになれるはず。
 正当なほど、まっとうなemoアルバム。
 the get up kidsの青い感が分かる人なら絶対に分かるはず。
emoの黎明期と時期を同じくしているのが不思議。
 実は先見の明が彼らにはあるという証拠か。
 アルバム収録の「mint car」は名曲です。

『bloodflowers』(2000)
→グラミー賞にノミネートされたアルバム。
 受賞はなりませんでしたが(受賞したのは当然レディへ)。
 でも、いいアルバムだと思います。佳作に仕上がっている。
 長年のファンが非常に好むアルバム。
 音楽的にはどうだろうか。
 どのバンドが好きなヒトでもいけるとは思うけれども。
 けっこうマッタリめなんで、刺激的な音が欲しい人にはだめかも。
 個人的にはアルバム収録の「out of this world」がレディへに、
 「the loudest sound」がスマパンの曲に似ていると思う。
 少なくとも最初聞いたとき、スマパンのパクリバンドかと勘違いした。
 自分が初めてcureを知ったアルバム。

『the cure』(2004)
→あのヘヴィ・ロック界の大御所、
 ロス・ロビンソンをプロデューサーに迎えての満を持したセルフタイトルアルバム。
 これも往年のファンにはえらく嫌われているアルバム。
 cureのnew wave的世界観をぶち壊したと思われている。
 でも、かなりの傑作。
 cureファンとヘヴィ・ロックファンとは
 まったくかち合わないので、拒否反応が起きているだけ。
 個人的には非常に良い出来だと思う。
 ヘヴィ・ロックファンなら絶対におススメ。
 その辺のしょぼいヘヴィ・ロックバンドよりも絶対に刺激的な音。
 ヘヴィ・ロックが衰退しつつある中で、この音を提示できたのは立派。
 ロスにとっても代表的な仕事となったはず。
 やはりcure。ポップさとヘヴィな音との配分が絶妙。
 他のバンドでは出せない唯一無比の音。
 funeral for a friendやrapture,
 cooper temple closeなどの若手のバンドも大絶賛していた。
 80年代後半以降の生まれの人はここから入るといいかも。
 linkin parkにも似たヘヴィさ。ポップさ。


そのほかにもベストアルバム3枚に、
コンピレーションアルバム数枚とたくさんのアルバムを出しています。
まあ、正直なところ無難にベストアルバムから入って、
その音が好きになれたら
オリジナルアルバムを聞くべきかと思いますが、
ベストアルバムもたくさんあるので、
いちおう↓の『the greatest hits』を勧めておきます。
できれば、二枚組みになっているほうがよろしい。
アコースティック・バージョンも同時に収録されていて、こちらも秀逸です。
あわせて聞くのがよろしいかと。
オリジナルアルバムは日本盤で手に入れるのが困難かもしれません。
逆に輸入盤はフツーに手に入るので、
輸入盤でもいいという方は輸入盤を買ったほうがいいかも。
当然ITSでも全部のアルバムが買えます。
海外のITSに行くともっとシングルとかも買えるので
向こうのアカウントを持っている方は海外で買ったほうがいいかも。



もちろんDVDも多数販売されています。
ヴィデオも以前はけっこう販売されていたようなんですが、
ヴィデオは残念ながら廃盤のものが多いです。
ですが、DVDはライブ盤2枚とシングル集1枚が出ているので、
御覧になるのがいいと思います。
もちろんのちほどきちっと紹介したいと思います。

次回以降はthe cureのメンバーや歴史、
アルバム解説、DVD解説などをおこないたいと思います。

そろそろちゃんと紹介しよう~PICK UP:the cure~


ずっと以前から企画していたことなんですが、なかなか忙しくてまとまった時間が作れずにいたのですが、
幸い今日と明日は休日ということですし、この機会に一気に紹介しちゃいましょう。
幅広くUK/US ROCKを聞いているわたくしですが、
実は日本であまり紹介されていないバンドも数多くあり、
特に欧米では絶大な人気を誇っているにもかかわらず、
日本では無名というバンドがけっこうあったりします。
なぜそうなったのかはいろいろと理由があるとは思うのですが、
日本で紹介されていないというだけで、このまま聞かずに終わるのはもったいない!
このブログを読んでくださっている方にぜひ素晴らしい音楽を聴いてもらいたい!
ということで、PICK UPと称しまして、
日本では無名だけど、欧米では大御所なバンド」をいくつか紹介していきたいと思います。
第一回目のお題は「the cure」です。

the cure・・・。
このバンド名を知っているヒトはいったいどれだけいるでしょうか?
UK ROCKマニアの人でさえ、この名前は知らない。
正直、このバンドを知らずしてUK ROCKマニアと自称する資格なしだと思いますが、
洋楽を数多く聞いている人でさえ、彼らの名前を知らない。
逆に彼らの影響を受けたバンドはたくさん聞いているくせに。

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いたずらにバンドの名前を列挙しているわけじゃないですよ。
上に挙げたバンドがthe cureに影響を受けたと公言しているバンドなんです。
スゴイですよね。そうそうたる面々でしょ。殆ど有名バンドばかりです。
NINのトレント・レズナーはクロスビート誌で
僕のオールタイム・フェイヴァリット・アーティストはthe cure」と発言しておりましたし、
レディへのトム・ヨークは2004年のコーチェラ・フェスで彼らと競演したとき
僕はthe cureがいなかったらミュージシャンになっていなかった」とまで言っております。

ほかにどのバンドが彼らのことを評価しているかというと・・・
「暗く謎めいたところが魅力的だ」「音楽もルックスもアイコンにふさわしい」 Metallica
「心の中の孤独な部分に響いてくるんだ」 Good Charlotte
「あれほど注目されるバンドはいない」 Interpol
「伝説とよばれて当然だよ」 Papa Roach
「もじゃもじゃ頭に真っ白な顔 そして口紅」 Limp Bizkit
「時代を超えた音楽だ」 Green Day
「愛 失恋 絶望 幻想がテーマなんだ」 Linkin Park
「25年も第一線にいつづけているバンドは他にいない」 Lostprophets


それほどのバンドであるにもかかわらず、残念なことに日本ではまったく無名。
逆に欧米では大御所バンドとされて、ツアーはいつもスタジアムかアリーナでしかおこなわず、
新譜を出しても各国で必ずtop10入りさせるほどの安定したセールスを上げ(20年間も!)、
特に南米などのカトリック圏では暴動が起きるほどの熱狂で、
最近では東欧圏(特に正教圏)にまで人気が飛び火。
なぜかギリシアではあのレディへをおさえて人気バンドの一位に。
彼らの欧米での人気はとどまることを知りません。

日本でもようやく名前を聞かれるようになったというか、
去年、フジロックフェスティバルに初参戦。もちろんメインステージのトリを飾りました。
だけれども、彼らの知名度がこれで上がったとは思えません。
むしろ多くの偏見と誤解がまかり通っていたように思います。

どうしてこんな80'Sのバンドがフジに? 
40代のオヤジ世代を巻き込むために招聘した昔のバンドじゃない?
もう解散してるバンドなんでしょ? お金のために再結成して日本に来たんじゃないの? などなど

洋楽を聞いている輩の間ですら、そうなのですから、
洋楽を聞き始めた方には余計わけが分からなかったはず。
なかにはmuseを押さえてなぜこのバンドがトリなの? と思った方さえもいるはず。

ですが、このバンドは前述したように欧米では大御所。
あの伝説的フェス、グラストンベリー・フェスに計3回もトリで出演
2004年のコーチェラでも大トリをつとめております(ちなみに初日のトリはレディへ)。
本当ならフジだって欧米の基準でいけば、初日トリなんて絶対的にありえないはずなんです。
ですが、今回彼らのほうが譲歩して、日本に来てくれたんです。
1984年(わたしが生まれた年!)以来23ぶりの来日ということですから、
往年のファンにとっては喜びもまたひとしおだったでしょう。
もちろん、若くしてファンになったわたしも貴重な体験でした。

彼ら、見た目はかなりキツいですが(というかキモい?)、(上の写真参照)
ライブバンドとしても定評がありまして、非常に高い演奏能力と歌唱力を持っております。
こちらで見ることができます。フジでの彼らのライブです。

まあ、80年代から活動し続けているバンドということもあって、
見た目はかなり80'S的です。ある意味GOTHといえるのかもしれない。
しかし、GOTHと思って聞かないほうが身のためです。思わぬ痛手を負います。

で、これから聞く人、聞いてみようと思う人に忠告です。
まず見た目は無視しろ!
 →これが第一です。見た目はキツイです。ヤバいです。時代遅れです。でも、どこぞのV系と思って聞いた  ら罰があたります。あなたの想像を遥かに超える違う音です。ありえない。
とにかくアルバムは全部聞け!
 →基本、全部聞いたほうがいいです。どうしてかというと、実に音楽的に多彩なバンドだから。
  前述したバンドがその影響を公言していますが、見てみても音楽的にもまったく違うバンドばかり。
  多方面の音楽に影響を与えているといっていい。ヘヴィ・ロック、ポスト・ロック、emo。
  彼らのアルバムにはそれらが全て詰まっています。
一回であきらめるな!
 →聞いたら、聞き続けましょう。正直難解です。洋楽を聞き続けているヒトでも、キツいかもしれない。
  でも、あきらめずに忍耐強く、何度も聞きましょう。するめのようにかめばかむほど、味が分かる。
  これだけ多方面に影響を与え続けているということは、時代が彼らに追いついていないこともしばし       ばあるのです。聴けば聞くほど彼らの音のすごさが分かるよになるはずです。
ライブ盤を聞かずして語れない!
 →絶対一枚は聞いてみてください。you tubeで見てもいい。
  ファンの間でもライブ・バンドとして知られているので、たくさんUpされています。
  スタジオ・バージョンとは比べ物にならない凄まじさです。深遠にして重厚。演奏能力も高いです。
  ライブでしかやらない曲も多数。アレンジも多様。ファン泣かせです。

この4か条は守っていただきたい。
でも、このバンド、活動が長いです。来年で30年を迎えます。歴史も長い。
彼らの経てきた音楽的変遷も多種多様です。色んなタイプのバンドが影響を受けたものうなづける。
ですから、自分の好きな音楽傾向に沿って聞くのがベストです。
アルバムとその音楽傾向については次回に(かなり長くなっちゃったんで)。

2008/01/18

秋田の「幼虫チョコ」、連日1時間で完売の人気商品に

秋田の「幼虫チョコ」、連日1時間で完売の人気商品に


スイマセンね~。いきなりキモイ写真を載せて。
でもね、これ。完売してるんらしいんですよ、連日一時間で。
いったい誰がこんなもの買うんだろうか?
バレンタイン用なんなんでしょうか?
わたしが男だったらこんなものもらってもうれしくないぞー。
たとえ「ネタ」だったとしても。

あまりにもリアルすぎて、食べるのが怖い。
チョコの味しなさそう。
虫の味がしたりして(どんな味だ~!)

でも、誰かに上げてもいいかな。
もちろん某氏に(爆)。金輪際顔を見せるなとかいわれそうだけれど。

追記
例のキモ幼虫チョコのサイトを発見しました。
こちらからどうぞ。これ、カブトムシの幼虫だったのね。
実際に食べた人の感想はこちらのブログ。すごーくグロいです(汗)。

2008/01/17

emo、やっぱいいわ~―the best album of 2007―


あんまり好きではないんですが、いちおうUK/US ROCKのブログということで、
2007年の私的ベスト・アルバムを選んでみようかと。

去年は本当にわたしの周りではemo旋風が巻き起こっておりました。
わたしだけではなく、友人達もemo! emo! emo!てな感じで、
まあ、世間的にはけっこう沈静化しているとは思うんですが、なぜかわたしの周りでは異常に熱狂してた。
そのせいで、今までさんざん馬鹿にしてたグッシャーを聞いて、すっげーいいとか思ったり。
自分のあまり聴かない傾向の音楽(ポップ・パンクとか)まで聞いてました。
そういう意味では、新しい音源を開拓する手助けになったのかな。
ある意味、すごく充実した一年だったかと思います。

で、そんなemoなわたしが選んだ2007年ベスト・アルバムは↑
自分で言うのもなんですが、あまりにもまっとうすぎて、ちっとも面白くない。
だけどね、すごーくいいんですよ。これが。
なんていうのかな。すごく「大人になった」って感じ。
emoテイストは残しつつも、すごく独自のカラーを出してきたというか。
昔はもっとハードコアに近い感じ(?:ごめんなさい。うまく表現できない)だったんですが、
今回のアルバムでいきなり黒っぽさをふんだんに盛り込んで、
『大人っぽく』仕上げている。
だからといって、落ち着いてはいないんだよね。
やんちゃさはまだ残っている。その加減が絶妙というか。

また、JEW以降のemoの音を提示した感もある。
単なる「泣き」を入れるのではなく、ビターな感じに仕上げているところがすごくイイ。
パトリック・スタンプのボーカルもすごく味わいがある。
昔は(痩せてたころ?)、線の細い感じもあったように思うんだけれども、
このアルバムではぐっと野太くなって、声も伸びやか。すごく確信的で、自信に満ちてる。
もしかしたらハードコア的絶叫よりも、こういう黒人音楽的なしっとりと、
ソウルフルに歌い上げるほうが彼にはあっているのかもしれない。
そういう新しい才能を自ら発見した(もしくは気づいた)点でも、
成長が見られたアルバムだったのではないかと。

ホントね、こういうフツーのバンドが突如「化ける」のに弱いというか。
むしろそういうバンドがレヴェルアップしたときが、
いいアルバムを作ったということになるんじゃないかと思うんですよ。
前回のロキノン批判のところでも話したことなんですが。

個人的には、こういう「ベスト~」というのは不毛だと思うんですが、
本人の主観もあることですし。しかも、わたくし、あまり新譜を買わない性質というか
よほど好きなアーティストでないかぎり、新譜というのは買わないんですよ。
なぜかはよく分からないんですが。慎重派なんでしょうか。
周囲の評判だったり、気分だったり、いろいろあるとは思うんですが。
自分の中で十分寝かせておいて、機が熟したら買うという立場をとっているという感じですね。
だから、数年前に出た新譜を平気で買ったりする。
だけど、世間的にはもう終わってるってのはしょっちゅうあります。
そういう点からいけば、自分の選択というのは正直最先端を行っているものではない。
また最先端を行けばいいってわけでもないし。
じっくり、しっかりと自分の耳で確かめる。それが自分流のロックの聞き方ではないかと。

そういう点からいって、
↓のAFI『sing the sorrow』(2004年作)は
私的には去年のベスト10の一つに入っているアルバムでした。
めっちゃかっこいいねー、AFI。すっげーハマる。
ホントいいんですよ、マジで。でも、かなりハードコアというか、
emoの中でも特にscreamoの部類に入るので、
絶叫系のボーカルが嫌いなヒトはおススメできないですけれども。
でも、その辺のハードコア・バンドのように、
いたずらに叫んでいるわけじゃないんですよ。
メロディはしっかりしてるし、むしろポップさとハードコアの加減が絶妙というか。
ポップな曲のなかにハードコアな絶叫を織り交ぜて歌うDaveyのボーカルが見事。
オフスプの主催するレーベルからデヴューしてるんですが、
デクスターが好きになるものすごく分かる。
オフスプ好きなヒトなら結構いけるかもしれない。

ちなみにAFIはcureのロバスミ御大が勧めていたバンドでもあったんですよね。
聞いてみて、彼が好きになるのがよく分かる。
すごく激しいんだけれども、ほどよくポップというか。
ロバスミって自分の作る曲は大人しめな曲が多いんだけれども、
好んで聞く曲ってけっこう激しいのが多いんだよね。
kornとか、deftonesとか。NINとか。意外にヘヴィ・ロック好きだったり(笑)。
ロス・ロビンソンをプロデュースに選んだのもなるほどうなずける。
内面的には激しいものを持っているんでしょうね。

いや、でも本当にAFIはめちゃくちゃいいですよ~。
殆ど日本の洋楽雑誌では取り上げてくれないけれども。
アメリカでは人気のあるバンドなんで、ぜひぜひ聞いてみてください。


2008/01/16

カワユス


yahooより転載。パンのなかに入っているネズミさん。カワユスO(≧∇≦)O
今年は子年だそうで。
考えてみれば、わたくし、年女。
年女になるといいことがあるのでせうか?

2008/01/15

レヴィ、レヴィ、レヴィ!


法学部に在籍していながらも哲学マニアのわたくし。
最近読んでいるのが、こちらの本。
数日前、大学生協に立ち寄ったときに衝動的に買ってしまったのですが、
読んでみたらやっぱり面白い。

クロード・レヴィ=ストロースは、わたしが最も敬愛する思想家で、
ずっと以前から紹介したいと思っていたんですが、
なんとなく後回しになってしまってました。
哲学という難解なカテゴリということもあり、
書いてもあまり理解してもらえないんではないかと思って
書くのを思いとどまっていたんですが、
彼の著書を久々に読んで、哲学の面白さをみなさんに知ってもらいたいと思い、
筆をとることにしました。

クロード・レヴィ=ストロースは、1908年生まれの現在99歳(存命中!)のフランスの文化人類学者で、
哲学の世界では知らない者はいない超有名人。『構造主義』というジャンルを確立したヒトです。
よく哲学の入門書なんかを読んでいると、
ポスト構造主義とかポスト・モダニズムという言葉が頻繁に登場すると思うのですが、
レヴィ=ストロースがそのポスト・モダニズムの扉を開けた張本人であり、
彼なくしては今の現代哲学の潮流はなかったと思います。
では、彼の提唱した『構造主義』とは何でしょうか?
その前に近代哲学の流れを少しかいつまんで説明しましょう。
そもそもこの流れを分からないと『構造主義』以降の現代哲学の流れが
まったく分からなくなってしまうので。

近代哲学というのは、18世紀以降登場した流れで、一種の認識論といいましょうか。
かなり荒っぽくいうと、人間ってどうやって物を認識するの? 
そして、それがどうして正しいと分かるの?
ということを考えたと思っていただければいいかと思います。
そして、その認識が正しいということを支えているのが『理性』です。
ですが、時代が新しくなってくると認識をすることよりも
その認識をする主体そのものに関心が向けられます。
それが『存在論』です。ハイデガーやサルトルの登場です。
サルトルは人間をアンガージュマンと捉え、積極的に政治運動に関わることを提唱するんですが、
実は彼、マルクス主義の影響を強く受けており、
マルクスが提唱する資本主義→社会主義→共産主義へと発展してゆくように、
人類の歴史もまた弁証論的に発展すると信じてました。
そして、その発展のために必要なのがアンガージュ(政治運動)なのだと。
しかし、そのアンガージュというのがなかなかの曲者でして、
サルトルはその歴史的発展をになう中心的存在はヨーロッパ人(特にフランス人)と考えていたんですね。
要するにヨーロッパ人がアジア人やアフリカ人を牽引して、
歴史が発展するというヨーロッパ中心主義的な考えが潜んでいたわけです。
ちょっと意外ですよね。サルトルってなんかすごーく進歩的なヒトってイメージがあるんですが、
けっこう保守的というか。まあ、サルトルがフランス人ということもあるんでしょうけれども。
とにかくヨーロッパ中心主義を捨てることができなかった。

ですが、そんなサルトルのヨーロッパ中心主義にはっきりと「否!」と答える人物が登場します。
それがこのレヴィ=ストロースです。
彼のサルトル批判によって、フランス実存主義は終わりを告げ、構造主義の時代へと入ってゆきます。
レヴィは「ヨーロッパ人が牽引して歴史が発展する」なんてありえないとサルトルを批判します。
そもそもヨーロッパが文明的に進歩していて、他の社会が未開なんて誰が言ったんだ
自分達ヨーロッパ人が勝手にそう思ってるだけじゃないかと。
これはヨーロッパの思想界に衝撃を与えました。
当然ですよね。だってヨーロッパが文明的に一番進歩しているということを疑いもしなかったんですから。
逆にそういう優越意識があったからこそ、ヨーロッパ人は世界で大きな顔をしてられたわけで。

ですが、レヴィはその意識そのものに疑問を投げかけます。
ヨーロッパ人が未開だと思っている社会は実は未開でもなんでもない。
未開人はヨーロッパ人と同じレベルの知性を持っており、考え方が違うに過ぎない。
例えば社会を労働者階級、中産階級、上流階級と分類しますが、
実は未開社会にも分類は存在します。ただし方法が若干異なります。
未開社会は自分達の社会を「トナカイ」「犬」「アザラシ」という風に分類します。
自分達の部族の神話からその名前を利用して分類するのです。
方法は違いますが、「分類する」ということでは一緒なんです。
なぜならヒトは「分類せずにはいられない」存在だから。違うのは方法だけで、本質は一緒。

またレヴィはヨーロッパ人が文明的に発展したのは「熱い社会」を選択したからだともいいます。
「熱い社会」とは何かというと「競争のある社会」だと思ってください。
この「競争」があるからこそ、ヨーロッパが発展したのだと。
しかし、この社会は実は多くの欠点が含まれています。
競争はいいもののように見えて実はヒトを無用な争いに駆り立て、疲弊させてしまいます。
未開社会が「熱い社会」へ移行しないのは、
移行できない(つまりそうするだけの知恵・理性がない)のではなく、あえて移行しないだけで
「熱い社会」になることにより生じる「競争」を起こさないように発展を自ら拒絶しているためだ。
未開人は「冷たい社会」をあえて選択したのだと主張します。

つまり欧米人が考えていた自分達には知恵や理性が存在するが、
未開人には知恵や理性が存在しないという考え方に、はっきりと否を突きつけ、
世界はもっと相対的で多様なのだと今でいう「文化相対主義」をヨーロッパで最初に唱えたのが
このレヴィ=ストロースなんです。

スゴイですよね。ヨーロッパ人である彼が自らが自分の文明を絶対的なものではないと唱える勇気。
もちろんレヴィがユダヤ人ということもあるんですが、
それでも、ヨーロッパ中心主義を批判してみせるというのは並大抵なことではない。
もちろん、これを端緒に以降ヨーロッパの思想界ではヨーロッパ自己批判的な思想がたくさん登場します。
それがポスト・モダニズムです。
ヨーロッパの形而上学を内側から解体していこうとするジャック・デリダとか、リオタール等は
すべてレヴィの構造主義から始まっているといっていい。
もちろんポスト・モダニズムの哲学者はレヴィの構造主義を批判することによって始まるのですが
ヨーロッパがもはや世界の中心ではないという考え方は両者は一致していて、
明らかにレヴィの思想が受け継がれている証拠でもあります。

わたしはレヴィの著書を読んだとき、
頭をぶん殴られたような衝撃を受けたというか、とにかくすごかったです。
わたしのなかにあった欧米文化へのコンプレックスみたいなものが粉々に砕け散りましたから。
自分の文化が欧米文化よりも劣っていて、悪いものではないということ。
もっと相対的に世界を見ていかなければならないこと。すごーく認識が変わると思います。

この↑の写真の本は、そんなレヴィの思想が分かりやすく記されています。
レヴィが大学かどこかで講演したものが収録されているんですが、
とても読みやすく、哲学書を読んだことのない人でも読めるかと思います。
この機会に、一読してみては?

追記
レヴィについての思想を分かりやすく記されているサイトを見つけました。
こちらで見ることができます。

2008/01/14

これでいいのか?


ロキノン最新号を読んでみて。
そういえば最近あまりロキノンにツッコミを入れてないなぁと思っていたんですが、
バイトで忙しく(11日連続勤務だったんだよお)、ロキノンどころか本自体読む暇さえなくて、
ツッコミを入れるどころではなかったんですが…。
ようやく昨日から長いお休みをいただきましたので、早速読んでみることにしました。
して、その感想は・・・。

まあ、いつもの通り、『ベストアルバム2007』というのをやっていたんですが…。
どうしてこんな結果になるのかが不思議。
そして、読む前から結果が分かってしまっているのもどうかと…。
ロキノンのことだからレディへマンセー記事を書くんだろうなと思っていたんですが、
こうも露骨に書かれると、正直笑えるものも笑えない。

あのさ、もうそろそろ「レディへのすることなら何でも手放しで褒めなければならない」という態度、止めませんか?
確かに『in rainbouws』は素晴らしかった。とてもいいアルバムだったけれども、
かといって正直ベストアルバムTOP10に入るほどの傑作じゃなかった。
別にレディへが駄作を作ったわけじゃないですよ。
でも、レディへほどの実力とキャリアのあるバンドだったら、
80点以上のアヴェレージの高いアルバムを作るのって当たり前じゃん?
そんなもとから80点のアルバムを『稀代の傑作だ!』と過大評価するのはどうかと思う。
だってどうしたって、今回のアルバムって
レディへが他のバンドに先駆けてDL販売に踏み切ったという部分が
多大に加点されているようにしか思えないもん。
純粋にアルバムだけ見たら、音楽的にはそれほど前進があったわけじゃなく
どちらかというといままでの集大成的なアルバム。
むしろこれからどうなるのかという含みを持たせたアルバムで、
ロキノンの好む『前衛的』な部分はどこにもない。
それなのに、ロキノンの評論家達はレディへがDL販売をおこなったというだけで、
やっぱり彼らこそが『音楽を、世界を変えるバンドだ』と評価する。
あのね、いっとくけど、DL販売はレディへだけじゃなくて、
他のバンドもずっと前から検討していたことなの。
NINのトレントはずっと前から、それこそ2000年ぐらいからネットで販売したいと公言していたし、
もともとレコード会社とのトラブルの耐えないヒトだから、
ファンの間では次は必ずネット販売するだろうなといわれていたんですよ。
でも、たまたまレコード会社との契約がレディへとは一年遅く切れたというだけで、
トレントは勝手に二番手に甘んじてしまったんですよ。
そういうこともまったく考慮に入れないで、なんか勝手にレディへが一番最初って言われても…。
逆にNINがレディへよりも先にDL販売を行っていたらどんな反応をしただろうか?
きっと影響力の薄れつつあるNINにロキノンはそれほどの関心は示さなかったと思う。残念だけれども。

ロキノンって大体決まってるんだよお。
TOP10に入れるバンドが。U2でしょ、リンキンでしょ、レッチリでしょ、グリーン・デイでしょ。
こういう大御所のバンドがアルバムを作れば「なぜ彼らはここまで前進を続けるのか」的ふれこみを入れて
TOP10にする。そういう安直な決め方もどうかと思う。
U2、レッチリ、REM、リンキンに対してはとりあえず出せばtop10に入れろという態度が露骨過ぎる。

リンキンにしたって、本当に今回のアルバムは大変な苦労をして作ったことがうかがえるものだけれども、
だからといってやっぱりTOP10に入るアルバムだったかというとそうではなかったと思う。
ヘヴィ・ロックが衰退してしまった今、彼らが生き残るためにどのような方向性をとるべきかを問われているけれども、今回のアルバムは残念ながらそれを提示できたとは思えない。頑張ってはいるけれどもね。
自分、16歳のときからリンキンの熱狂的なファンだけれども、
それでも手放しでよかったとはいえないよ。

わたし個人としては、いつも60点平均しか作れなかったバンドが努力して80点の作品を仕上げたときに、そのバンドにとってのベストアルバムになると思ってる。
そういう点では、Fall out boyのアルバムはemoを乗り越えたといえるアルバムだったと思うし、
もっと評価されても良かったと思う。

どうしてもっと若いバンドで、でも確実に成長しているバンドを1位とかにしないのかな?
アーケイド・ファイアを1位にしろっていってるわけじゃないですよ。
確かに彼らはすごいけれども。でもさ、やっぱり彼らにしても、
なんていうのかな「反米」を露骨に表現したから、高く評価されたという部分もあるわけよ。
でも、アメリカ(正式にはカナダだけれども、アメリカ人メンバーも在籍)のバンドが自己批判としての
「反米」を掲げたという上で評価されたのは分かりますけれども。

それよりももっと気になったのは、粉川しのと古川某の対談。
なにあれ?
もっとアメリカのバンドって評価されてもいいと思うけれどもって、
あんたたちロキノンがフツーに取り上げないだけの話だろ?
イギリスのわけの分からん新人バンドばかり持ち上げて、
アメリカの前衛的なバンドなんて思いっきり無視するくせに。
去年の12月号で初めて「USインディ・ロックバンド」を特集したくせに。
なんで他人のせいにするんだ、お前ら? 
さもわたし達リスナーのほうが関心を持たないような書き方をして。
あのね、10代の若い子はみんなお前らの記事を見て、洋楽聞くんだよ!
お前らがUKバンドばかり特集するから、UKのバンドしか聞かなくなるんじゃん!
自分たちのことを棚に上げて人のせいにするな、ロキノン!

あー、ホント、ロキノンって読むと腹立つことばっかりなのよ。
もう読むのやめようって思うんだけれども、なんか読んじゃうのよね。
そして、馬鹿みたいに怒り狂うと(笑)。
十分不毛なことをしてるって分かるんですけれども。なんか止められないんですよね。
自分も十分バカです。

2008/01/11

decemberunderground

せっかくなので冬にちなんだアルバムを紹介します。
↑はアメリカのバンド、AFIの最新アルバム『decemberunderground』。
タイトルに『12月』がついていることもあり、安直ですが冬におススメするにはいいかなーと。
このAFI、残念ながら日本ではあまり有名ではないのですが、
本国アメリカではすでにキャリア10年以上というベテランのバンド。
ジャンルとしてはどうでしょうか。いちおうgoth emoというジャンル
(マイケミと同じ部類ね)でくくられているんですが、
ハードコアやパンク、ポップ、ゴスなんかもあり、けっこうごちゃごちゃ。
むしろそういう彼らの雑食性が好きだったりもするんですが。

このアルバムは、ハードコア色の強かった前作、前々作に比べて、
よりポップになっているので、ハードコアな苦手なヒトでも十分聞きやすい作品に仕上がってます。
特にシングルカットされたtrack3とtrack6はおススメ。
ポップとハードコアの加減が絶妙な『miss murder』。
エレポップ風な『love like winter』とnew wave風のtrack8などもあり、
単なるgoth emoには終わっていないところが良い。
fall out boyとはまた違う路線でemoを乗り越えたかな。
もちろんきちんとハードコアな曲もあって、特にtrack2の曲はハードコア好きにはたまらない曲。
ちなみに日本盤にはNINの『head like a hole』が収録。こちらも佳曲に仕上がってます。

彼らはこの最新アルバムで初の全米NO.1を獲得し、
シングル『miss.murder』のPVはレッチリの『dani california』を見事押さえて、
MTVアワォードを獲得しました。
賞を取るに恥じない素晴らしいPVです。こちらで見れます。
本国ではボーカルのDavey Havokのエキセントリックな風貌が話題に。

↓の写真、左から二番目の化粧の濃いヒトです。
このヒト、歌うとき妙なしなを作って歌うというか、
すごくおネエっぽいんですが、ゲイなんでしょうか? 
知っているヒトがいたら教えてください。


ちなみにこのバンド、the cureの『just like heaven』のカバーもしております。
けっこうしょうもないカバーです。カバーというよりも殆どロバスミの歌マネ。
deftonesもそうだけれども、cureをカバーするとみんなただの歌マネになっちゃう。
ロバスミの強すぎる個性に負けちゃうんだな。
やっぱ『just like heaven』のカバーはDinosaur Jr.に適わないなあと思ったしだい。

2008/01/10

やっと聞けた~in rainbows~

ようやく『in rainbows』聞けました。
年末から新年にかけてバイトで忙しく殆ど休みがなくて、まったくCDが聞けずにいました。
見たいDVDだってたくさんあるのに。ガッコーだって始まってしまったし。
忙しくてもうくたくたです。早く休みが欲しい。

で、そんななかやっとレディへを聞くことができたので感想をUPしたいと思います。

まず全体的な感想として一言、「よくできている」。これに尽きるかと思います。
アルバム全体を通して聞くとよく分かります。
track1からtrack10までの曲の配置が見事。
はじめの15STEPから3曲目辺りを聞いたときは正直ピンと来なかったんですが、
5曲目のALL I NEED辺りからイイ感じの流れになって、
最後のVIDEOTAPEで流麗に終わると。その流れがすごくいいです。
前作の『hail to theif』が、ちょっと無理してるっぽかったところがあっただけに、
このアルバムは逆にすごくしっくりくる。
ほどよく肩の力が抜けて、リラックスした状態の中で作ったというのかな。
ヘンな力みがないのがいい。聞いているこちらも安心して聞ける。
個人的にはどの曲が特に秀逸というのはないんですが、
『ALL I NEED』がすごく好きです。なんかレディへにはあまりなかったタイプの曲のような…。
ラブソングですよね? これ。
ただ若干欠点を言わせてもらえば、最初の15STEPから4曲目までがちょっとインパクトが弱いかなー。
特にtrack1は、ライブ・ヴァージョンを聞いたときから感じていたんだけれども、
white stripsに似てるような気が…。
track2もレディへらしくない平凡な曲。
悪くはないんだけれども、どこかで聞いたことがあるという感じは否めない。
少なくとも私のイメージするレディへとは違う。
私が好きなレディへというのは、他のバンドとはまったく違った曲の構成をしているということ。
アレンジメントとかそういう意味ではなくて、他のバンドと展開の仕方が違っているというか…。
そういう点から見たら平凡すぎるかと。
だけれども、ロキノンやQ誌みたいにこのアルバムが星★★★★★かといわれたら、
それは過大評価しすぎかなーと思う。せいぜい★★★★でしょ。
『ok computer』と比較してみても分かると思うんだけれども。
あれを上回ったとはとうてい思えないもの。でも、『hail to theif』よりも断然好き。
もっかヘヴィロテ中。でも、PCだと音響が悪いので、CDで聞いてます。

2008/01/02

あけおめ

あけましておめでとうございます。
今年もがんがん更新していきますよ~。

で、お正月早々購入した本がこちら。
                           ↓↓↓↓↓
すっごい味気ない表紙でしょ?
実はこれ洋書なんです。
洋書は結構好きで買って読んだりしてます。
英語はそれほど得意というわけではないんですが。
それでも、翻訳では分からない微妙なニュアンスとかそういったものを知りたいときには
原書のほうがずっといいんで。
本当に好きな作品はなるべく原書で読むようにしてます。英語限定ですが。

ちなみになんの本かというとsylvia plathというひとのarielという詩集。
彼女、作者は女性なんですが、sylvia plath―シルヴィア・プラス―はアメリカ出身の詩人で、
30歳のときにガスオーブンに頭を突っ込んで自殺をした、英米文学では知らぬものはない超有名人。
近年グウィネス・パルトロウが映画『シルヴィア』で彼女を演じたことでも話題になりました。
映画好きの方は、すでに知っていたかもしれませんね。
わたくし、実は彼女の詩が大好きで、たくさん邦訳を持っているんですが
原書まで手が出せなくて。詩の原書ってすごく難しいでしょ?
詩独特の文法や、韻律があったりして、なかなか読みづらいというか。
でも、最近イェーツの原書を読んだらけっこう読めたので、
詩も原書でいけるのではないかと思い、思い切って買ってみました。

やはりシルヴィアの詩はさすがに一筋縄ではいきませんね。
すごく難しいです。言葉も多いし。
日本語訳を思い出しながら、ちびちびと読んでいる毎日。
詩の訳って、小説よりもずっと難しいと思うんです。
英詩独特の言い回しや韻律も表さなきゃいけないし、
更には日本語として成立する文章にもしなければならない。
訳詩を読んでもけっこう納得いかない部分も多くて
原書で読んではじめて分かるということも多いんだけれども
シルヴィアの詩は原書で読んでも分かりづらい。
基本、英書でもそれなりに読むことができるんですが。
これはニュアンスや訳もあまりとれない。もっと格闘する必要があるようです。

追記
プラスの日本語サイトがありましたので、のせておきますね。
こちらに行くと彼女の原詩と日本語訳を見れますよ。