2009/10/23

スゴすぐる…ガクブル((ノ)゚Д゚(ヽ))ガクブル 



とりあえず貼っておきます。

Evgeni Plushenko SP CoR 2009


あまりにもスゴすぐる・・・

ウソ━━━Σ(-`Д´-;)━━━ン!!

恐ろしいほど美しい4T-3Tに3A・・・
ルッツは失敗しちゃったけれども、
3年間の長いブランク明けの復帰試合としては上出来ではないでしょうか。
技術点がひとりだけ40点台って・・・
これでルッツが決まっていたらどんだけ~
小塚君も10点以上差がつかなかっただけラッキーと思わないと。

でも、思ったよりも演技・構成点が伸びていないのがちょっと懸念材料かな~
やっぱりつなぎとかその他の面で厳しいのかな。
しかし、これも来年までには調整してくるから問題なしかと。

また土曜日の夜あたりにでも詳しく考察いたしまする~
とりあえずうpしておきました

m(o´・ω・`o)mペコリン

2009/10/22

2009-2010シーズン到来 エリボン杯 女子FP 考察 その2




《前回からの続き》


では、次は浅田選手にまいりましょう。




なんど見てもすごいプログラムですよね。
なにもかもが荘厳で、荘重で。
見ている者を何かこう厳粛な気持ちにさせるというか。
ラフマニノフはもともとドラマティックな曲を作ることに長けた人ですが、
それにしても、ドラマティックすぎますよね。
なんといえばいいのかな、神の領域に触れたようなというか、
そういう神聖さを感じる。
そして、何よりもすごいのは、浅田選手がその音楽に負けず、
しっかり演じきっているということ。
19歳の、まだ大人にもなっていない女の子がですよ、
こういう魂の根源に触れたような表現をしているのが本当にすごくて・・・。

キム選手とは別の意味で言葉にならないというか・・・

わたしはこのプログラムが大好きなので、
変えるべきではないと思っていますが、
なかにはもっと浅田選手に似合う
華やかな曲にすべきだという人もいるようで・・・
特にカナダの人はそう思っているようですね。

でも、わたしは変えるべきではないと思う。
このプログラムは完成させたら、まさしくネ申プロになりますよ。
それに、もしオリンピックでネ申演技をしたらまさに「伝説」になると思う。
ソルトレークのヤグディンの「仮面の男」のように。
まさにタラソワ渾身のプログラムだと思います。
それほどまでにタラソワは浅田選手に全てを賭けている。

浅田選手のイメージにそぐわないというのであれば、
観客や解説者たちに文句を言わせないようにすればいいんですよ。
浅田真央は「春のお姫様」だけの選手だけではないと。
そうやって自分の実力でイメージを覆していけばいい。
そして、そうやって一辺倒のイメージでしか見れない人に
自分のほうが間違っていたといわせるようにすればいいだけです。

浅田選手はそういう実力をそなえているし、
現に少しずつではありますが、
プログラムを完成させてきているではないですか。

ステップもJOのときよりもずっと上手くなっていたし、
スピン・スパイラルも改善が見られました。
プログラム全体に流れができて、スムーズになったと感じます。

最初の3A-2Tのコンビネーションは完璧でした。
3Aの精度はすばらしいですね。
2Tをつけても危なげなく降りられるようになっている。
あとは確率を高めるだけ。試合では必ず成功させなければ。
これは今後の大きな課題だと思います。

以前も書きましたが、浅田選手の構成は少しいびつです。
アクセルに頼りすぎている。
個人的にはルッツや3F-3Tを入れてバランスを取るべきだと思いますが、
浅田選手がアクセルで行きたいと望んだそうですから、
アクセル主体の構成で行くならば、絶対に成功させなければならない。
実はここが浅田選手の現時点での弱点かと思います。
決まればすごいけれども、その分失敗も多い。
やはりプルシェンコのような絶対的な確率で跳ばなければ。

それと体力。
最後の2Aでの失敗は去年のGPFの3F失敗と重なりました。
3A2回は、今季の浅田選手を以ってしても
とてつもない体力がいるということです。
しかも、そのあとには45秒の怒涛のステップが待っている。
その体力の配分をどうするのか。
これも大きな問題です。

ジャンプの失敗は・・・、
ループに関してはかわいそうで見ていられませんでした。
単独のループはどう考えても回転不足には見えない。
あれで回転不足を取ったら、
キム選手のジャンプはもっと回転不足をとらなければならない。
ようするに今季採用されることとなった「見た目のいいジャンプへの積極評価」は
キム選手にしか適用されないということになる。
ループの厳格化は去年よりもひどくなった気がするのはわたしだけでしょうか。

これは無言の圧力ですよね、構成をキムヨナにしろという。
つまり、ルッツをいれ3F-3Tを投入しろといっているんだと思います。

ただ3F-2Lo-2Loに関しては若干の回転不足が見られました。
3Fの跳び方を変えたのでその影響かと思われます。
いっそのこと3F-2T-2Loにしたほうがいいのかもしれません。
浅田選手はセカンドジャンプにTをつけるのが苦手ですが、
アクセルにはつけれるので、2Tなら大丈夫ではないかと。

個人的にはFP・SPの両方とも構成を変えたほうがいいとは思っています。
3AはFP一回にすべきです。
浅田選手の今後の成功率にもかかってますが。
しかし、彼女へのダウングレードが(キム選手よりも)苛烈なのは、
やはり3Aを跳ぶからだと思います。
男子もそうですよね、
4回転を跳ぶ男子に対してのダウングレードが厳しいことを。
チャンのエッジエラーは見逃されても、
ジュベールのエッジエラーは見逃しません。
これは明らかに難度の高いジャンプを飛ぶ選手に対しては
厳格にジャッジするということを示唆している。
女子の浅田選手も例外ではないわけです。

ただ難度を下げたところで
キムヨナよりも高い点数が取れるのか、
という疑問がありますが

もしかしたら浅田選手はもはやバンクーバーでの
金メダルを捨てているのかもしれない。
誰かにすでに言われているのではないでしょうか。
バンクーバーでは金メダルはキムヨナに取らせるつもりでいると。
けっこうこういう話はあるようですよね。
前にも書きましたけれども。
カート・ブラウニングは選手時代、
次の世界選手権ではジャッジはペトレンコを優勝させるつもりでいるから、
負ける準備をしておきなさいといわれたことがあるそうですから。

浅田選手だってそういう話を聞かされていないとは限らない。
バンクーバーで金メダルを取れないというのであれば、
少なくとも『記録』という面では、
誰もが達成できないことをしたいと思っても不思議はないはず。
まあ、これはわたしの単なる想像ですが ( ^ω^;)

とにかく浅田選手がアクセル主体の構成で行くならば
かなりのリスクは覚悟しなければならないのは確かです。
プログラムの完成度は増してきているとはいえ、
ループなど前季では想像もつかなかった問題が発生しているのですから。

考えてみれば、安藤選手も4Sにこだわるあまり、
昨シーズンの前半は上手くいきませんでした。
しかし、4Sをあきらめて構成を下げた結果世界選手権で見事復活しました。

今のルールは全てがおかしなことばかりで、
構成を下げれば点数が高くなるという不可思議な採点システムです。

今後のロシア杯以降の点数の出方しだいでは
真剣にジャンプの構成を考え直さなければならないかもしれません。
浅田選手が本気でこの採点システムで
金メダルを取りたいと思っているのであれば、ですが。

2009/10/21

2009-2010シーズン到来 エリボン杯 女子FP 考察 その1



スイマセン m(o´・ω・`o)mペコリン
更新遅れてしまいました。

かなり日にちがたってしまいましたが、FPの感想・考察を・・・。

といっても、あまりにもばかばかしくて考察する気になれないのですが・・・

ま、とりあえず、キムヨナ選手から見ていきますか。

プログラム全体の感想はSPと一緒です。
まったく感動しないプログラム。
やってることは去年と一緒。
変わり映えのしないプログラムを音楽だけかえてやっている。
だが、要素はそれなりに満たしているのであの高得点。。。
プルシェンコだってあんな点数、出せないでしょうに。

点数のことはどうでもいいです。
もう勝手にやってくださいという感じです。
ですが、ジャッジとしてはもう引っ込みがつかないのでしょう。
もしキム選手の点数を下げれば、
ジャッジは自分の誤りを認めることになる。
彼らとしては絶対にそれだけはしたくないでしょう。
収拾がつかなくなりつつあるのを分かっているのに、
いまさら引っ込みがつかず、このまま突っ走ろうとしている。
それが思わぬ墓穴を掘ることにならなければいいのですが。

しかし、そもそもなぜこういう風にキム選手だけ点数が爆上げされるのか。
それは浅田選手の『進化』と深く関係があるのだと考えます。

つまり、浅田選手は昨シーズンから
3A2回投入という女子としては最も基礎点の高い構成にしました。
かたや、キム選手はこれ以上基礎点を上げれません。
もし浅田選手がすべてのジャンプを決めてしまえば
浅田選手の圧勝ということになり、
「キムヨナVS浅田真央」の構図は崩れてしまいます。
これはISU的にはまったく美味しくない。
ISUとしては韓国からもっとお金を引き出したいし、
日本からもお金が欲しいはず。
そのためには、興行としての「キムヨナVS浅田真央」が必要です。
だから、キム選手の点数を上げざるを得ない。
そうしなければ、基礎点の上で絶対的に負けてしまう
キム選手には圧倒的に不利です。
したがって、キム選手は『演技・構成点』または『GOE』で爆上げされることとなった。
特にGPF以降。浅田選手が3A2回を初めて成功させた以降と重なります。
4CC以降キム選手の点数は高止まりを知らずどんどん高くなっていきましたね。

そして、この爆上げは今シーズンでも続くということです。
浅田選手がプログラムを完璧に滑れば、
200点以上は確実に出るわけですからね。
(点数の操作をしなくてもという意味です)
そうなってしまったら、韓国側としては面白くないし、
ISUとしてもお金をたくさん払ってくれる韓国に対して
顔向けできないでしょうから。

ですが、キムヨナ選手の実力・技術を純粋に見た場合、
明らかに劣化してきていると思います。
びっくりしたのは2A-3Tのセカンドジャンプ。
肉眼で見てもはっきりと分かるグリ降り・・・。
あれはひどすぎる。
確かにイーグルからのコンビネーションなので
難度が高いことは認めますが、いくらなんでも、あれは・・・
また、最初の3Lz-3Tもセカンドジャンプもひどい回転不足でした。
ルッツだとフリップとは違って回転不足になりやすいんですよね、彼女の場合。
サルコウも微妙だったな・・・。
あれで認められるのなら、
浅田選手のループは認められてもいいんじゃないだろうか。

しかし、彼女のセカンドジャンプはなぜかいちども回転不足を取られない。
今季から採用されることになった「回転不足でも見た目のいいジャンプは評価する」
というのを、ISUは彼女にだけ採用することに決めたようです。

これも浅田対策でしょうね。
浅田選手は前季以上に3Aの精度を上げています。
3Aのコンビネーションジャンプは明らかに前季よりも精度が高いです。
決まれば回転不足なく飛べるということがエリボン杯で分かりました。
あとは成功率を高めるだけ。
彼女の弱点は3Aは決まれば美しいが、成功率は高くないこと。
もっと成功率を上げなければなりません。

ただ、どうなのでしょうね。
こういうキム選手への 爆上げをして
収拾がつかない状態になっているとは思うんですが、
オリンピックでもこの体制を維持していくつもりなのか。
別にバンクーバーはキム選手が金メダルでもかまいませんが、
でも、これではいくらなんでも日本人は面白くないでしょう。
ISUだとて日本人の機嫌は損ねたくないでしょう。
少なくともかなりの額のお金を落としてくれる国なのですから。
キム上げを維持し続ければ、日本人のファンは離れてしまいます。
彼らもその辺はそれなりに懸念してるとは思うんですけれどもね。
どうなることやら ε-(‐ω‐;)ハァ・・

そして、今週末からはじまるロステレコム杯での
プルシェンコの点数の出方にも注目ですよね。
彼の演技・構成点がどこまで出るのか。
これでキム選手以下の点数ならば
ISUはどのようにいいわけするつもりなのか。

最後に。
キム選手自身の懸念材料を。
キム選手はFPではもうフリップを飛べないかもしれないと思いました。
エッジの問題は、実は彼女も解決しきれていないのではないかと。
キム選手は何かがあって滑れなかったといっていますがそうではない。
単純に自信がなかったんだと思います。
キム選手だって馬鹿ではありません。
自分の回転不足、エッジの問題をそれなりに認識しているでしょう。
フリップに関してはエッジにかなりの不安を持っている。
飛べなかったらどうしよう。
だからできなかった。

SPでは見逃してもらえたけれども
FPでも見逃してくれるとは限りませんからね。
最初の試合は本人もかなり意識して跳びますから、
それなりにエッジは矯正されるでしょうが、
試合をこなしていくうちに
自然と自分の『くせ』がもどってしまうこともある。

ジャッジに大いに見逃してもらっているが、
キム選手にも大きな弱点があるということです。
そこがオリンピックという大舞台にどう響くか。
メンタルが強いといわれていますが、
キム選手は実はかなり打たれ弱い。
以前エッジエラーがついたとき、
次の試合では飛べなくなっていました。
あの時はかなり動揺したんだと思います。

《続く》

2009/10/18

2009-2010シーズン到来 エリボン杯 女子SP 考察 その2



《前回からの続き》

もしかしていまの浅田選手に最も必要なのは、「挫折」なのかもしれません。
キムヨナ選手はひそかにこの大きな「挫折」を経験してますよね。
なにかというと、3Aを試みたものの結局跳べなかったという挫折です。
韓国で浅田選手と比較されて、
自分も飛べると信じていた3Aが結局だめだったのですから。
オーサーのもとについたのも、最初の目的は3Aを跳べるようになるためだったはず。
しかし、その挫折が彼女を強くしたとも言える。

荒川静香さんだって、世界選手権を優勝して次の年落ちに落ちまくって、
オリンピックシーズンでも浮上できなくて、
最後の最後で起死回生!って感じで優勝したわけですから、
ひょっとしたら、浅田選手ももっと「苦しみ」が必要なのかもしれませんよね。

でも、冷静に考えてみても、
あの「天才」といわれたプルシェンコでも、
最初のオリンピックでは金メダルが取れなかったのですから。
しかし、逆にそのことが大きな挫折となって
プルシェンコは絶対的な強さを持つ史上最高の選手になったわけですから。
もしかしたら、浅田選手の本当の強さは
バンクーバー以降に発揮されるのかもしれない。

ものすごい勢いで進化し続けている浅田選手ですが、
やはりまだ彼女は「未完成の」天才なんですよね。
そこがプルシェンコと大きく違う。
プルシェンコはすでに自分が何者か知っている天才でした。
完全無欠だったわけです。
したがって、新採点システムに変わっても彼をつぶすことはできなかった。
彼の技術が突出していたため、回転不足を取ることができなかった。
しかし、浅田選手の場合、女子ゆえの弱点がいくつかあったわけです。
そこをルール改正で大きく付かれてしまった。

もっと前にエッジを矯正していれば・・・と思います。
いまさらテクニカルなコーチを呼んで、1~2年という短い期間で
エッジを矯正しようとしても無理だと思います。
山田コーチについていたときに矯正すべき問題だったと思います。
これは日本のスケ連に大きな問題がある。
こういうルール改正の動きを読めず、
また、強豪選手となった日本選手をつぶそうとする
動きを読むことができず、彼女たちを守ろうとさえしなかった。

タラソワ以外のコーチについても同じだったと思いますよ。
今、盛んにタラソワはもうだめだとか言ってますが。
現にこちらに来られる方の中には、
「タラソワはもうだめ」というワードで検索していらっしゃる方もいます。
では、カナダ人のコーチにつけば
キムヨナ以上の点数がついて勝つことができたのか。
それは大いなる疑問です。


まあ、いろんなことをいっていますが、
まだシーズンは始まったばかり。
これからいろいろと調整もあるだろうし、
長い目で、穏やかな気持ちで見守っていきたいと思ってます。


で、次はキムヨナ選手ですが・・・




「・・・」
正直、何も感じませんでした。
こんなに感動しなかったプログラムはありません。
何の感慨もない。
確かにジャンプは正確で、完璧だし、
エッジの矯正もできている。
スピン、スパイラルのレベル取りもOK  
ステップも要素は満たしている。
でも、ただそれだけ。
去年とまったくかわり映えしない振り付けがそこに存在している。
シェヘラとまったく同じじゃんステップ。
こんなに人を馬鹿にしたプログラムってあるでしょうか。
わたしは見ていて怒りがこみ上げてきました。
音楽だけが違って、中身は全部以前と一緒。
それで76点が出るという。
これが現在の新採点システムなのでしょう。

しかし、もしこれが未来のフィギュアのあるべき姿であるというのなら、
わたしは一生フィギュアスケートを見ないし、ファンにもならない。
これはもはやフィギュアスケートではないとさえ思う。

キムヨナ選手の演技は完璧です。でも、感動はできない。
しかし、同じ「完璧」をもったプルシェンコはなぜ感動できるのか。
そこには人間を超越した技を機械のように正確無比に
繰り出す天才のあるべき姿を垣間見ることができるからです。
彼は決してSPに3-3を入れるような愚を犯さなかった。
いつでもどんなときでも、怪我をしているときでさえ、
そして、いま満身創痍で復帰をしようとしているときでさえ
男子最高の4-3を入れようとしている。
そして、それを誰よりも完璧にこなす。

しかし、誰もができるであろう技を完璧にやってみたところで、
果たしてそれは「美しい」と感じるのか。
体操の冨田洋之がそうだったじゃないか、
どうして「完璧」を追及するキムヨナが批判されて、
冨田洋之が批判されないのかという方がいますが。
冨田氏は決して「難度」を軽視してはおりませんでした。
高い難度を維持しつつも、その技を究極にまで高めるということをしていたのです。
だからこそ、日本人は彼を高く支持したわけです。

かたや、キムヨナはだれもができるであろう2Aを「完璧」に跳ぶわけです。
ジュニアの子ができる技を。「完璧」な2Aだとかいって。尊敬などできません。

キムヨナ選手を見ていると、
『ガラスの仮面』という漫画の姫川亜弓の「ヘレン・ケラーの演技」を思い出します。
完璧な演技なのだけれども、あまりにも型にはまりすぎて、何の面白みもないという。
結局姫川亜弓の演技は高く評価されたものの、賞を受賞するまでにはいたらず
北島マヤが受賞することになるのですが。
わたしはそういう印象をキムヨナ選手に抱きます。
確かに韓国のメディアが評するように「教科書」のようなのでしょう。
しかし、そこには個性も、面白みも、進化も何もないわけです。
もっと言えばキムヨナの演技に
浅田選手のようなプログラムを完成させようとする情熱がまるで感じられないのです。
与えられたことをただ「教科書どおりに」こなせばいいと思っているだけ。

その演技をすれば確かにいまの採点システムでは認められるのでしょう。
キムヨナ選手は明らかにいまの採点システムが作り上げた最強の選手です。

浅田選手というのはISUにとって
おそらく昔の伊藤みどりさんのような存在なのでしょう。
そして、その亡霊がふたたび日本に登場したことを心から恐れている。
浅田選手も伊藤みどりさんも、
彼らにとっては「異端」であり、排除すべき存在なのです。
技術ひとつ取ってみても、その体力や、表現力を見たって
浅田真央のような選手は現れたことがなかったのですから。
もし彼女がアメリカ人やヨーロッパ人だったら歓迎されたでしょうが、
くしくも伊藤さんと同じ国の人間だったことがいまの浅田選手を苦しめている。
そして、キムヨナは逆に浅田選手の当て馬的存在として、
ISUからの強い支持を受けることとなり、一気に脚光を浴びた。


新採点システム推進派ISU=キムヨナVS浅田真央=旧採点システム復活派

という対立軸がはっきりと見えます。

でも、本当の天才というものは常に叩かれるものですし、
むしろそういうバッシングにあっても、それを乗り越えていかなければならない。
前にも書きましたが、
浅田選手がこのシステムと真っ向から対峙していきたいのならば、
「真の強さ」を身に着けなければ。
つまり、プルシェンコのように
3Aやセカンド3Tのコンビネーションを有無を言わさず完璧に跳べる技術と
他人と圧倒するような表現力を身につけること。
やはりジャッジに付け入る隙を与えないような選手にならなければ。

もしいまのプログラムを浅田選手が維持していくのであれば。

浅田選手の戦いというのは、
オリンピックで金メダルを取るという戦いではなく、
システムとの戦いという最も困難な側面を多分に含んでいる。
もし彼女が新採点システム的なプログラムを
あくまで拒否したいのであればですが。

この戦いに勝てば浅田選手は、ある意味、
プルシェンコのように誰も手をつけられないような絶対的な存在となり得、
しかし、負けてしまったときは、もはやキムヨナだけではなく、
二番手・三番手の選手の足元にも及ばなくなるような
選手になってしまう可能性すらある。
(つまり、完膚なきまでにISUにつぶされてしまう)

わたしたちが考えている以上に、
浅田選手は難しい選択をしたのだと思います。

わたしたちファンは黙って見守っていくしかないとは思いますが。

2009/10/17

2009-2010シーズン到来 エリボン杯 女子SP 考察 その1



いよいよはじまりましたね、GPS。
といっても、まだ全部見ていないんですが。
特に男子。なんか波乱の幕開けだったようで・・・
でも、今シーズンはオリンピックという大舞台が控えていますからね。
昨シーズン以上に調整試合的な意味合いが強いはず。
たとえジュベールが不調でもそれほど気にすることのほどでもないのでは?
と思っております。
といっても、まだジュベールのSPを見ていないんでなんともいえないんですが。

パトリック・チャンがロステレコムを辞退したそうですが、
彼も当にGPSは捨ててますよね。
完全に照準をオリンピックに合わせています。
わたしもそれでいいと思います。
GPSのような金目的の試合の結果に
いちいち反応しているようでは身が持たないですよ。
いかにオリンピックで最高の演技をするのか。
それがいちばんの見所だと思っています。


で、早速女子のショートの感想を。
といいたいところですが、まだ全員のを見ていない・・・orz
なるべく今日中に見ようと思いますが、
いちおう主要選手、というか皆さんが最も関心のある
浅田選手、キムヨナ両選手の感想を。

まずは浅田選手のSPから。




浅田選手にしてはそこそこいい出足だったのではないでしょうか。
確かに最初のアクセルは失敗しましたが、
セカンドジャンプをいちおうつけて飛べていたし、
ほかのジャンプは失敗がなかったのですから、こんなものかと。
去年のエリボン杯に比べたらぜんぜんましでしょう。
むしろ、わたしは浅田選手の欠点よりも彼女の進化のほうに目を見張りました。

まず、ステップ。
去年のFPではいっぱいいっぱいで、
とちゅうで体力が持たずにへろへろになっていたステップが
今シーズンでは格段に改善されているところ。
とても体が動くようになって、すごくキレがいい。
生き生きとして、躍動感にあふれている。
2005年以来ではないでしょうか、
浅田選手があんなに生き生きとステップを踏んでいたのは。
浅田選手の体の調子はとてもいいと思います。
昨シーズン以上のキレのよさ、充実を感じる。

それに、スピード。
去年以上にスピードがよく出ていて、
停滞した部分が少なかったのもよかった点でした。
去年の課題がきちんと改善されていて、
改めて、浅田選手の努力には敬服しました。

ジャンプに関しては、わたしは別になにも感じなかったな。
なんかもう2ちゃん辺りでは嵐になってますが、
でも、去年のエリボン杯なんてもっとひどかったじゃないですか。
去年に比べたら、今年のエリボンはぜんぜんましですよ。
最初のアクセル以外は、きちんと飛べているんですから。
(回転不足その他は別にして、きちんと着氷できているという意味)

たしかに3Aは失敗してしまいましたが、
でも、コンビネーションをはずさなかっただけ立派。
去年の彼女なら絶対にコンビネーションもつけられてなかった。
浅田選手は失敗をしても、
それを最小限に抑えようと努力しているのが本当によくわかります。


曲に関しても取り立てて悪いとは思いませんでしたし、気になりませんでした。
去年とはまったく同じでしたけれども。
でも、去年とは違ってからだのキレもよかったし、
スパイラルやスピンも悪くはなかった。
逆にとてもスピードが出ていてよかったです。
全体的にスピード、躍動感という点で改善があるんですよね。
これはやはり去年からやっているプログラムだということもあるかと思います。
あとはジャンプの精度を高めていけば問題はないと思いますね。

ただ、若干気になった点を上げれば、
いつものようにスパイラルやスピンのレベルが取れていなかったこと。
スパイラルに関しては、
これはJOのときから気になっていたんですが、
チェンジエッジが見られないんですよね。
たぶんやっていると思うんですが、
なんというか、素人目にははっきりわからないというか。
その辺がレベルを取りこぼしてしまった要因かなと。

これは今年の世界選手権から
けっこう厳しくチェックされているみたいで、
このあたりのレベルの取りこぼしが痛いかな~。
オリンピックシーズンなので、きちんとレベルを取っていかないと。
これは今回のSPでは悪い部分かなと。
ですが、ロステレコムで調整されるでしょう。

あとは、ジャンプ。
わたしは3Aがすごく気になります。
昨日でしたか。彼女の練習を見ていたんですが、
アクセルを失敗していて、それがJOのときとまったくおんなじ失敗の仕方だったんですよね。
なんか、軸がぐにゃっと曲がってしまったような落ち方をしていて。
ジャンプの調子があんまりよくないような気がします。
3Fの着氷もよくなかったし。
もしかして怪我をしているんじゃないでしょうかね。
なんか足をかばっているような感じがするんですが。
浅田選手は怪我をしても絶対にそれを周囲には漏らさない人です。
ですが、今年はオリンピックを控えた大事なシーズン。
あまり無理をしてほしくないというのが正直な感想です。

それと、やはり構成が少しいびつすぎますよね。
アクセルに頼りすぎている。
残念ながら浅田選手のアクセル成功率はそれほど高くはありません。
練習で7回跳んで4回成功させたという記事を見ましたが、
この成功率では正直、試合で投入したときもっと低くなるでしょう。
やはり練習の上でも百発百中でなければ。
それでも、本番では失敗することがあるのですから。

厳しい見方をしてしまえば、
浅田選手の考えは少し甘すぎるところがある。
確かに試合に出てやってみなければわからないところがあるのですが、
プルシェンコを見れば一目瞭然ですが、
彼が4回転や3Aを失敗することはまれです。
失敗したときは、彼の調子が悪いときだけ。
やはり高難度のジャンプを跳ぶからには、絶対的な精度がなければ・・・。

それと、精神的な面もちょっと・・・。
批判というわけではないのですが、
浅田選手は良くも悪くも器用な選手なんです。
なんでもよくできてしまう。だから3Aもすぐにできてしまった。
しかし、問題はその精度なんです。
ツーフット、回転不足等。
技術面がとても低い。というか、未完成。
少なくとも新採点法に対応できていない。
もちろんこのシステムの裏には浅田選手(というより日本の女子選手)を
つぶそうというもくろみがあってのシステムなので、
浅田選手の強さをことごとく剥ぎ取られてしまったのですが、
問題なのはそのあと。
浅田選手はそれを克服できると信じ込んでしまったこと。

キムヨナ選手と浅田選手のちがいは何か。
それは「限界を知っている」ということだと思います。
正直、キムヨナ選手は浅田選手ほど才能はありません。
アクセルはまったくだめだし、ループもだめ。
飛べるジャンプがあまりにも少ない。
しかし、自分の限界を知っているからこそ、
その限られた技で、最大限の成果を出そうとしている。
技を磨いて完成度を高めようとしている。
そのことが、新採点システムにぴたりと当てはまった。
そして、それが彼女を最強の選手にした。

かたや、浅田選手はどうか。
彼女は天才ゆえの「万能感」を持っている。
これは同時に彼女の弱点にもなって、
なんでも努力すればできると信じ込んでしまっている。
アクセルも練習すれば、ルッツの矯正も努力すれば・・・・。
しかし、凡人なら誰でもわかることですが、
いつかは自分の限界に気づかなければならない。
まあ、それに気づいてしまったら、もはや天才ではなくなるのですが。
でも、少なくとも努力をしてもできないことはあることを認めなければ。
要するに取捨選択ですよね。これができないと。
こういう子どもっぽい「万能感」が
彼女の才能を今ひとつ開花できずにいる一要因の気がします。

そういう欠点も含めて、浅田選手が好きなんですが。

浅田選手のプログラムは、良くも悪くも
旧採点的なんですよね。
すごく印象的で、心に残るプログラムなんだけれども
その一方で、技術面では大雑把というか、
スピン・スパイラルのレベルの取りこぼしが多かったり、
ジャンプでの回転不足が目立ったり等するという。
その間逆を行くのが、キムヨナ選手なのでしょうが。

ですが、わたしはキムヨナ選手のプログラムと浅田選手のプログラムと
どちらが好きかといわれたら、
有無をいわず、浅田選手と答えると思います。
浅田選手の演じようという強い気持ちがとても伝わってきたからです。
それがとても深く印象に残りました。

元来フィギュアスケートというものは、そういう競技だったのではないでしょうか。
技術的には確かに不足はあるけれども、
全体の印象のすばらしさや感動、そういったもので点数をつけていたはず。

しかし、新採点システムになって
確かにジャッジは判定が楽になったけれども、
その分観客にとっては見ていて面白いプログラムがなくなってしまった。

もしかしたら浅田選手は旧採点システムの最後の異形なのかもしれない。
また、新採点システムへのアンチテーゼを唱えようとしているのかも。

《続く》

2009/10/11

劇的すぐる! 祝・復活プルシェンコ ☆★おめでとぅ♪(祝'3`d)★☆


来週からいよいよグランプリシリーズが始まりますね。
もういまから真央VSヨナの対決を煽ってますが(By 朝日新聞)、
今年のシリーズはまさにオリンピックの前哨戦ともなる重要な試合。
なるべく周囲の雑音等に惑わされることなく
選手にはがんばってもらいたいんですが・・・。

それよりもGPSって浅田選手のほかにも安藤選手や中野選手、
高橋選手など国内の有力選手がたくさん出場するのに、
どうしてこの二人の対決ばかりに焦点を絞るのか・・・。
もっと見所あるでしょ?

それに、GPSなんていわばオリンピックの様子見的なものなんだから、
選手たちを煽って本気にさせて、
怪我という最悪の事態に
招いてしまうなんてことのないようにしてもらいたいですよね。
もっとマスコミも考えて報道して欲しい。
個人的には、浅田選手をはじめ有力選手は
こんな金目当ての大会になんて出ないで、
じっくり調整して欲しいって思いますもん。
でも、スポンサーとかISUとかの関係とかで
どうしても出場しなければならない。
もっと日本スケ連も選手をサポートしてあげないと。
しっかりしてくださいよ!


ながーい前置きはさておき、
高橋選手のことを少し触れましたが、
今年の男子シングルはめちゃくちゃ面白いことになってます。
まずランビエールや高橋選手の復活組の活躍がどうなるか。
高橋選手は好調のようですよね。
フィンランディア杯ですか、SP1位通過ということで
完全復活をアピールしてます。


そして、何よりもわれらがプルシェンコ!
劇的な復活です!
まずは下の動画をご覧ください。
 



これはテストスケートのSPなんですが・・・。
4-3に、3Aに、ステップからの3Lz・・・。
近年こんな鬼構成、見たことなかったなぁ・・・(遠い目)
しかも数年のブランクなどものともせずに、軽々と・・・(´-∀-`;)

ジェーニャ、はっきりいってスマン ( ゚┌・・ ゚)
わたしはあなたという人間を見くびっておりました。
やっぱりあなたは宇宙人。
凡人とははるかかなたにいる天才だということがよーくわかりました。
そもそも凡人が天才を分析するなんてあまりにもおこがましい。
天才は凡人の想像を超える存在なんですから。

いやー、それにしてもすごいですよね。
ロシア杯までにここまで戻してくるとは。。。。

とちゅうけっこうグダグダな展開もあったりして、
正直無理かなーと思っていたんですが、
さすが宇宙人。その名に恥じないことで。

4-3のコンビネーションの4回転を着氷したあとの
若干の乱れは気になりますが、
それ以外のジャンプはほぼ完璧。
4-3にしてもオリンピック本番までには完璧に仕上げてくるでしょうね。

スピン、ステップは発展段階かな。
たぶん大会を重ねていくにつれ改良すると思います。
現に2006年のときはオリンピック直前まで
曲を変えたりといろいろとやってましたから。

あと若干雑な動きも気になりますが、
テストスケートということを考慮すれば、
別にたいしたことではないかと・・・。

SPの曲を変えたのは、個人的には正解だと思います。
以前はショパンの『遺作』でしたが、
もとは映画『戦場のピアニスト』で使用されていた曲。
これは北米開催のオリンピックにはまったく不似合いな曲。
日本では『戦場~』は評価の高い映画でしたが、
北米圏ではそれほど人気はなく、むしろ不評だった映画でした。

それに、監督のロマン・ポランスキーは、
最近スイスで拘束されましたが、
淫行疑惑でアメリカ当局から目をつけられている監督ですからね。
これだけ北米に印象の悪い映画のサントラ曲を使用するのは
さすがに戦略上まずいかと・・・。

そういう意味で、『アランフェス~』にしたのは正解だったと思います。
北米系の選手って『アランフェス~』好きですしね。
また、プルシェンコ自身ジュニアの頃のプログラムでこの曲を使ったことがあるはず。
世界選手権初出場の時のプログラム曲じゃなかったでしたっけ?
プルシェンコにとっても験のよい曲だと思うんですが。


プルシェンコの復活は明らかに男子のメダル予想図を大きく変えることになりますよね。
プルシェンコがここまで復調してくると、
男子は当然4回転を入れざるを得なくなる。
なにしろ、プルシェンコが相手ですからねぇ。
彼の強みは回転不足がまったくないこと。
完全に回りきってから降りることのできる驚異のジャンプ精度がありますから。
それに軸がぶれても、しっかりと修正して着氷できる能力も備えている。
このテストスケートでも、若干3Lzが軸ブレを起こしているのに、
何の問題なく着氷できてますからね。
この場合、ほとんど減点されることはないでしょうから、
彼のミスを期待することはほとんどできない。

カナダ勢は戦略的に相当苦戦を強いられるのではないか。
チャンがどんなにジャンプの『質』で加点を稼いでも、
基礎点がまったく違うプルシェンコと戦うのは容易ではないでしょう。
4-3は基礎点13点ぐらいでしたか、
それに比べほかの男子の選手はせいぜい3-3しかやらないので、
最大の加点がついても11.5ぐらいですよね。
3A-3Tを入れるなら別ですが。
でも、チャンは3Aのコンビネーションは苦手。
これはひじょうに不利だと思いますね。
チャンに限らずどの選手もです。
高橋選手や小塚選手もしかり。

しかも、プルシェンコはジャンプの『質』という点でもそれほど悪くはないですから。
トリノのときでも3Aで1点か2点ぐらいの加点をもらっていたはず。
あの頃は積極加点ではなかったですから、
そのときであの加点ですから
本当にどうなるかはわかりません。

現に数日前に行われたCup of Russia II Rostelecom Perm では
SPで97点をたたき出してますから、
もちろん地元ロシアで行われた大会ということもあって、
ロシアの英雄であることを考慮して爆アゲ点を与えたものだったとしても、
本番のロステレコム杯での点数を考えた場合、
やはり地の利を考えれば、90点以上は出るのではないでしょうか。
そのとき、チャン陣営はどう出るのか。
これはかなりの見ものですよね。
またジュベールのときのように批判をして心理作戦に出るのか。

確かにチャンはスケーティングはプルシェンコよりも若干上ですが、
(というよりも、北米好みのスケートをする)
それぞれに長所短所があり、
チャンはディープエッジの使い方が上手いが、
幾分動きが単調になりがちなのに対し、
プルシェンコはディープエッジがやや浅いが、
エッジの浅さをむしろ生かして、
細かい動きをふんだんに取り入れることができる長所がある。
これをジャッジがどう評価するのか。
これも今後大きな見所となってきますよね。

プルシェンコの予想外の復活は明らかに
『質』重視だったジャンプの構成を激変させるものになるかもしれない。
『難度』もかなり考慮されてくるようになってくるような気がする。
ふたたび男子4回転時代が復活するのではないか。

これからがすごく楽しみになってくるかと思います。
そのときに、われらが日本選手たちがどう立ち向かっていくのかも興味ありますしね。

とりあえずは、来週以降のGPSを見ていきたいと思います。

2009/10/09

浅田真央 ジャパンオープン2009 『鐘』 考察 その2


《前回からの続き》

それと、スパイラルとスピンの短さにも若干気になりました。
たぶん最初の連続ジャンプが失敗して、
曲に余裕がなくなってしまったということもあるかと思いますが。
レベルが取れていないのが気になる。
この辺は、キム・ヨナ選手ならばきちんとレベル4を取りますから、
より細心の注意を払ってやらなければならない。

このスピン、スパイラルの短さは前から指摘されていたことです。
もう少し余裕を持ってやってもらいたいですよね。


最後に。
「鐘」の衣装がすごくいいと思いました。
紺のビロードがとても高貴な雰囲気を出していて、
浅田選手の育ちのよい上品さとよく合っていると思います。
それに、彼女の体のラインの美しさを強調しているのもいいかと。
少し大胆かもしれませんが。
でも、「大人になった」浅田真央を見てもらうにはいいかと。

新シーズンはまさに浅田選手にとって新たな幕開けという感じですよね。
「大人」の女性になった浅田真央というイメージをどこまで押し出せるか。
ここが勝負の鍵だと思います。
実際にもう「真央ちゃん」という風には呼べない雰囲気になってますよね。
「浅田選手」というひとりのアスリートになろうとしている。
それを応援できればなと。

曲が暗すぎる、地味で盛り上がりに欠ける。
もっと華やかで明るい曲がいい。
浅田選手には「春のお姫様」のような雰囲気が似合うという意見がありますが、
わたしはそういった意見はちょっとどうかなと思います。

確かに浅田選手は「ノクターン」のようなみずみずしい、
やわらかい雰囲気の曲が似合うことも知っています。
そちらのほうがより彼女らしいとも。
しかし、浅田選手ももう19歳。
いつまでも少女の頃のような表現をすることはできないと思います。
ましてや、才能のある選手ならば表現の領域を
もっと広げていきたいと思うのは当然のことです。
そして、浅田選手がそのことを誰よりも渇望しているということも。
ファンはそれをむしろ応援してあげるべきではないかなーと思います。

わたしたちは浅田選手を「春のお姫様」のようだからもっと華やかな曲が似合うといいますが、
それはわたしたちの願望なのであって、
浅田選手自身がそれを望んでいないのではないかと思うんです。
「浅田真央シリーズ」を読んでると、
「大人」の浅田真央を表現したいという浅田選手の本音がたびたび記されています。

わたしたちはむしろこの「春のお姫様」のイメージを
彼女に押し付けているのではないかと考えることがたびたびあるんです。
確かにそういう雰囲気のある彼女ですが、
それはわたしたちが勝手に考えるイメージであって、
そのイメージから外れることを何よりも恐れているのは
他ならぬわたしたちのほうではないかと。

そして、わたしたちがそのイメージを押し付けるあまり、
浅田選手が逆に苦しんでいるんだとしたら・・・・。

確かにオリンピック・シーズンですし、冒険するのはよくないと思いますが、
逆に既存のイメージをそのまま表現して、
果たしていい評価を得られるかどうかも疑問です。
どう考えても、キム・ヨナ選手のほうに地の利があることは明らかですし。

それならば、浅田選手の信じること、やりたいと思うことを
最後まできちんと見守って、応援していきたい。
わたしはそう思います。

彼女の鳴らす「鐘」がバンクーバーにも響き渡りますように。





2009/10/08

浅田真央 ジャパンオープン2009 『鐘』 考察 その1


すっかりご無沙汰してしまいました m(o´・ω・`o)mペコリン

前回の更新が8月ですか…。

プルシェンコの特集をやるやるといいながら、まったく更新せず…
まさに「やるやる詐欺」…

実はですね、新ブログのほうではチョコチョコと更新していたんですよね。
もともとこのブログは洋楽のアーティストを紹介するブログでして
フィギュア関係は副産物というか、
少し本業に戻らせていただいたというか。
最近ハマってしまったバンドがありまして、
そちらのほうの特集に全力を尽くしていたというか…(´-∀-`;)
本当に申し訳ありません。
けっこうコメントなんかもいただいていたのに、返すこともしないで…。
いったいなんて無礼なやつなんだ、わたしは……( ̄。 ̄;)

実はこっちのブログ、ここ最近見てもいなかったのです。
ですが、10月にもはいりましたことですし、
まさにフュギュアスケートの新シーズンの幕開け!
 ということで、こちらのブログでも更新を行っていきたいと思っております。
 私見だらけ、間違いだらけの拙いブログですが、
もしよろしければお付き合いくださいませ。

ではでは、早速ジャパンオープンで初披露となった浅田選手の「鐘」を見てみましょう。





すっごい鳥肌…

いったい浅田選手はどこまで進化するんでしょうか。
空恐ろしいとしか言いようがない。
19歳の女の子がここまでこの重厚な音楽を表現するとは、
タラソワってホントすごいコーチなんだなーと感心させられてしまいます。

このFSにはいろいろと批判ががあるのは知っていますが、
個人的にはこのプログラムは大━゚+。(〃▽人)。+゚━好きです。

というより、この難プロを見て、
タラソワは浅田選手をプルシェンコにしたいんだなというのがよくわかるというか。
前々から思っていたことなんですが、
タラソワの振り付けを見ていると、
時々これはプルシェンコにしかできないいんじゃないか
と思わせるような振り付けがあったりして、
彼女のなかで、自分のかなえることのできなかった
「夢」を浅田選手でかなえようとしているんだなと思っているのかなと。

どういうことかというと、

タラソワといえばたくさんの金メダリストを育てている名コーチとして有名ですが、
ですが、あまたいる弟子のなかで
真の「天才」という選手はいなかったと思うんですよ。
みな才能ある選手でしたが、「天才」はいなかった。

ヤグディンがいるじゃんとおっしゃる方もいるでしょう。
ですが、ヤグディンは才能ある選手ですが、
「天才」とはいいがたいと思います。
むしろ「秀才」といったほうがいい。
それに、彼には「恨み」とかそういう怒りのパワーが強かった人だと思うし。

タラソワ自身もたぶんヤグディンのことを天才だとは思っていないと思う。
数年前のインタビューで、わたしがあれッと思ったことがあって、
「天才だと思う選手は誰ですか?」とタラソワにきいたときに、
彼女は「プルシェンコ」と答えたんですよね。
わたし、このとき意外だなーと思ったんです。
わたしは絶対に「ヤグディン」と答えると思っていましたから。

タラソワはやはり腐ってもコーチで、
確かにヤグプル時代にはヤグディンをかばって
プルシェンコを下げるような発言をしていましたが、
その一方では、ひじょうに冷静な目で二人の才能の差を見ていたんですよね。
プルシェンコのほうがヤグディンよりも上だということを彼女は知っていた。
だからこそ、こういう発言が出てくるのだろうと。

ヤグディンにとっては非常にショックな発言ですが、
でも、やっぱりコーチという存在は才能ある選手が近くにいれば、
その選手を育ててみたいという欲望があると思うんですよね。
特にライバルでもあったミーシンが手に入れている「天才」を
タラソワは手に入れることができなかったのですから、
浅田選手に「天才性」を見出し、
その天才を心ゆくまで育ててみたいという気持ちがあっても不思議ではない。
むしろコーチの性のようなものさえ感じる。

タラソワと浅田選手はそういう意味でまさに理想の組み合わせなのでしょう。

タラソワの浅田選手の入れ込みようは、
この「鐘」というプログラムにもよく現れている。
これはまさに「女王のプログラム」であって、
その辺のフィギュアスケーターが滑れるプログラムではない。
キム・ヨナ選手のほうが雰囲気的にもあっているという意見もありますが、
個人的には、キム選手には無理だと思う。
確かにこの曲のダークさという点ではキム選手にはあってますが、
この曲は暗さだけでは表現しきれないたくさんのものが含まれている。
「荘厳さ」「神々しさ」といったものも表現できなければ。

しかし、浅田選手は見事にこの「荘厳さ」「神々しさ」を表現してるんですよね。
特に最後にステップはすごすぎる。
わたしはこのステップを見て
初めて浅田選手に「畏怖」を感じました。
こういう神の領域に達するような表現を
19歳の女の子がすることができるというのは
本当に浅田選手の努力には敬服です。
カプリースのときから表現力がアップしたなと感じていましたが、
はじめて、わたしは浅田選手を見て、「凄絶さ」を感じました。

ジャンプの失敗に関しては、
本人の体調不良もあったことですし、あまり気にするべきではないかと。
しかも、こんなお披露目試合、誰が本気で滑ったりしますか。
まだまだみんな調整中でしょう?
小塚選手だってジャンプミスしてたし、
本当にこれから。
何よりも本番のオリンピックでどれだけ完成させられるかですから
それほど心配するほどでもない。

あと、ジャンプ構成が去年と同じだったという批判がありますが、
わたしは、このシーズンに、逆に違った構成で行うのはよくないと思います。
タラソワもすでに織り込み済みでしょう。
浅田選手に足りないのは「安定感」です。
なかなかジャンプを完璧に(特に回転不足なしで)飛ぶことができない。
SPを「仮面舞踏会」にしたものも、
ここ最近出遅れがちになっていたSPを慣れ親しんだ曲で行うことによって、
少しでもSPに慣れてもらうようにとのタラソワの配慮でしょう。
このジャンプの安定感を確実なものにするためには
やはり去年と慣れ親しんだ構成で行くのがベストだと思います。
かのプルシェンコだって、あれだけ完璧にジャンプを飛べたのは
ステップなどの細かな構成を変えても、
ジャンプ構成などの大まかな構成を変えなかったというのも大きいと思います。
彼のプログラムをすべて分析してみても、
ジャンプやステップの大まかな構成はなにひとつ変わっていない。
難度の高いジャンプを最初に持ってきて、
最後にステップという構成は彼の長いキャリアのなかでほぼ変わらなかった。
タラソワもそういうことを考えて、
あえて浅田選手のやりやすい構成できたのだと思います。

ただ個人的に思うのは、サルコウはいらないかなーと。
果たしてあのジャンプをやるメリットはどこにあるのか。
それほどGOEも稼げるわけじゃないし。
あそこはループでいいんじゃないかな。
あと、3Tからの2Aですが、
なぜ2A-3Tにしなかったのか。
きっとまだセカンドの3Tが完璧なものではないかもしれないですよね。
ルッツを入れなかったのもまだまだ完成度が低いのかも。
練習では入れていると思うんですが、
実際の試合で、通しでルッツをやると、つなぎ等の関係から
あまり上手くいかないのかなーと思ったり。
場数を踏んで、慣れなくてはいけないのですが…。
ルッツはあきらめたほうがいいのかな。
本当に憎っくき新採点ルール…(^ω^;)

それとも、最初の試合ということを考慮して、
あえて去年と同じ構成にしたのかもしれませんしね。
緊張しやすい浅田選手を少しでもリラックスしてもらおうと
構成を同じにしたのかもしれないし。

たぶん試合を重ねてゆくにつれ、
ジャンプ構成を若干変えるかもしれませんよね。

またはセカンドの3TはSPのみという可能性もあるし。
今回のお披露目で回転不足が多かったことを考えても、
まだまだ厳しい部分があるのかな~。

あと心配なのは、最初の3Aに入るときがちょっと・・・。
つなぎを多く入れないとならないので、
どうしても助走が短くなってしまう。
前の仮面のときは助走が長すぎるという批判がありましたが、
実はあれぐらいの助走がなければ
浅田選手の場合は3Aを飛べないのではないか。
たぶん練習では上手くいっていると思うので
大丈夫だと思いますが。
難度の高いジャンプをやるからにはそれなりのリスクは覚悟しなければなりません。
果たして短い助走で3Aのコンビネーションはできるのか。


《続く》