ずっと欲しいと思っていた本をとうとう手に入れました。
どんな本かというと、こちら↓
意外に思った方も多いでしょう。先日文学とはなんぞやと大口きっていた奴が
なんでこんな子供が読む童話をのどから手が出るほど欲しがるかとお思いでしょう。
確かに仰るとおりなんですが、わたしが欲しかったのは作品うんぬんというよりも、
この本に書かれているイラストがずっと見たかったんです。
イラストレーターの名前はハリー・クラーク。
いったい誰? と思われた方は多いのではないでしょうか?
しかし、創元推理文庫の『ポオ小説全集』を読んだことがある方は
少なからずも彼のイラストを見たことがあるのではないでしょうか?

この絵を見てビアズリーを思い浮かべた方も多いでしょう。
そうです。このハリー・クラークはビアズリーとほぼ同時期に活躍したイラストレーターで
彼の影響は色濃いです。しかし、ビアズリーとは違ってクラークのほうがもう少しクラシカルというか、
彼はもともとアイルランドでステンドグラスの作家として活躍していたので、
ビアズリーよりも古典的で、ゴシックな趣が強いんです。
そこが私的にはツボといいますか、ポオの猟奇的で、耽美的な作品世界に
すごくあっているというか。
実際、クラークはポオ作品のイラストを手がけ、名を上げたことですし。
で、ずっと欲しい欲しいと思っていたのですが、
まあ、試験などもありいろいろと忙しくて買う暇もなく、
またお金もなかったというか。
今月バイト料が入ったということもあり、思い切って買っちゃいました。
カラーイラストなんかも入っていてすごくいいです。大満足。
しかし、やはり初期の作品というだけあってまだビアズリーの影響が強いです。
クラークのあの奇怪な、ともすると露悪的になりがちな過剰な装飾はまだあまり見られない。
まだ描線も細くて、すごくビアズリー的。でも、クラークの個性はすでに出始めている。人物の表情とか。
ビアズリーだと人物はわりと平坦というか、表情をつけないで描くことが多いのですが、
クラークは細かに表情を書く。その表情がまたすごく奇怪でいいんです。
この童話集は、そんなクラークの非凡の片鱗が垣間見ることができます。
ゴスとか、または夢野久作や江戸川乱歩などが好きな人にはおススメです。
実はゴシック・ロックに絡めて取り上げたかったのですが、ちょっとここで取り上げてみました。
彼のイラスト集は残念ながら日本では発売がありません。
外国でも絶版になっているものが多いようです。
わたしは偶然学校の図書館で『エドガー・A・ポウと世紀末のイラストレーション 内田市五郎(1986.11.20/岩崎美術社)』というイラスト集のなかで見ることができたのですが、
この本もAmazonでは売ってはいますが、絶版ということもありすごく高価です。復刊を希望します。