2009/08/19

プルシェンコ最新映像 Super Class on Ice



大変お待たせして申し訳ありません。

16日にやるとかいっておいて…
やるやる詐欺になってしまいましたが。

今日は本当にやりたいと思います。

夜に。

まずはじめに最新映像を見ながら、近況の分析・考察をしていきましょう。



これは今月2日にソウルで行われたアイスショーでの
今シーズンで行う予定の新プログラムです。

考察といっても、あまり書くことはないのですが。
とにかくがんばってねとしか…

なんか投げやりになってきたな…(;´Д`A ```


練習中に怪我をしてしまったそうですが、
やはり相当無理をしているみたいですね。

前にも書きましたが、いくら天才・プルシェンコでも
3年半のブランクを取り戻すということは容易ではないと思います。

ファンの方は楽観的に
プルシェンコだったらすぐに遅れを取り戻せるといってますが。

その『遅れ』を取り戻すための課題は山積されたままです。

まず、体重問題。
だいぶやせたとはいえ、黒の衣装を着てやっとなんとかやせて見える程度ですから。
最近2002年の映像を見返していたんですが、
あの頃と比べたらまだまだ太いです。

あの当時は相当細かったとは思いますが、
しかし、トリノの頃でもけっこう細かったと思いますよ。
絶対70㎏はなかったと思います。
今この映像を見る限りでは、まだ70はあるかと。

それと、ルッツの問題。
3回転のルッツがなかなか決まらない。
いままでだったらアイスショーでも軽々と決まっていたのに。
リンクが狭いから、
怪我をしているからというのは理由にはならないと思いますよ。
トリノ以前だったらリンクが狭くてもルッツはきちんと飛べてましたから。
ルッツの成功率が確実に落ちてきている。
プルシェンコはルッツの得意な選手でした。
わたしが見る限り、試合でルッツをすっぽ抜かしたりしたことはなかったと思います。
ジュニアの頃はわかりませんが、
少なくともシニアになってルッツを失敗したところは見たことがない。

それが、復帰してからだんだんルッツができなくなってきている。
フリップのエッジがだんだんアウトになってきていて、
リップになってきていることと関係があるのかなぁ。
エッジの矯正云々ということではなく。
おそらく矯正はしていないと思うんですよね。
この期に及んで、エッジを矯正しても。
どうせオリンピックシーズン期間限定の復帰だと思いますから、
いまさらエッジを矯正するとは考えにくい。
だとすると、もしかしてジャンプ自体の精度が下がってきているのかも。
劣化しはじめているということですよね。
厳しい言い方ですけど。

プルシェンコはネ申のようなスケーターですが、
彼だとて年齢には打ち勝てません。
年齢に伴う体力の低下がジャンプの精度を下げてしまっても
それは仕方がない。
むしろどこまで劣化と戦い、それに抗うかにかかっている。
スケーターって男子であれ、女子であれ、
常に劣化との戦いだと思うんですよね。

プルシェンコもスケーターとしては当に盛りを過ぎていますし、
けっこう厳しいところがあるのではないかと。
必死にそういう部分とも戦っているというのはわかるのですが。
だからこそ、無理をして足を痛めてしまうんでしょうし。

トリプルアクセルは完全に取り戻してきていると思いますが。
ただね、いちども見たことがないんですよね、コンビネーション・ジャンプを。
もちろんアイスショーだからということもあるんでしょうが。

しかし、個人的に思うことなんですが、
3Tをつけられないでいるんじゃないかという気がしてならないんですね。
いちおう単発では戻してはいるけれども、
コンビネーションがつけられるレベルではない。
もしできているのなら、アイスショーでも披露すると思うんですよ。
プルシェンコの場合。
昔は、ひどい怪我をしていたときでさえ、
バンバンとコンビネーションジャンプを跳んでましたからね。
でも、跳んでいないということは、できないということではないかと。

もちろん練習ではしきりに跳んでいるのは知っていますよ。
でも、こういう公の場所で跳ぶのと、練習で跳ぶのとでは違うでしょう。
彼の場合練習のほうがもっとすごいジャンプを飛んでいるんですから(4-4とか)。

そういうことを考えても、ちょっと厳しいんじゃないかと。


なんかね、ミーシンも最近あきらめてきているんじゃないかなと思うんですよね。
こういう記事を読んでいると、
たぶんミーシンのなかで復帰は間に合わないと思っているんじゃないかと。
「プルシェンコの熱意には感謝している」って、
競技の復帰を断念してしまった選手に対してかけてあげる言葉であって、
これから復帰しようとしている選手に対してのものではないでしょう。

まだいろんなことが滞っている感じがして悪寒です。

個人的には、いまも復帰には反対ですが、
でも、彼ががんばるといった以上は応援するつもりでいます。

ですが、プルシェンコにとって「復帰」というのは、
ただ試合に出場するということではなく、
試合に「勝つ」ということだと思うんですよ。

もちろん彼は表立っては何もいってはいません。
試合に出場できれば満足だと発言しています。
しかし、あれだけ負けず嫌いの彼が
競技復帰だけで満足できるわけがない。
どうにかして優勝、または最低でも表彰台を目指しているはず。

そういう強い激しい思いがなければ、
試合になんて出れないと思うんですよ。
競技の厳しさはプルシェンコ本人が誰よりも知っているはずです。
あのヤグディンと壮絶な死闘を繰り広げてきたのですから。
ああいう戦いをしてきた人が、
いいかげんな気持ちで競技に復帰しようなんて考えていないはずですよ。
心のなかでは絶対に優勝を狙っているはずです。

逆に、そうでなければ試合になんて出ちゃいけない。
刺激を得られるから試合に出るんだなんて
いいかげんな気持ちで復帰されたら、
優勝を目指しているほかの現役の選手たちに対して失礼です。

わたしは、その点ではほかのファンの方たちの楽観論には賛同しかねます。
もちろんファンの方はわたしなんかよりも、
ずっと心のなかで彼の優勝を願っていることは知っていますが。


ただね、こういう写真を見てね、
気になっちゃったんですよ。
本当にプルシェンコは復帰を望んでいるのかと。
ここまで緩みきってしまったプルシェンコを見てしまうとね。

もちろん怪我ということもあるでしょうし、
時差ボケで眠たかったというのもあるだろうし、
そばに最愛の恋人がいたから、
自然と「素」の自分が出てしまったということもあるでしょう。

しかし、それでも以前のプルシェンコが
アイスショーの時でさえも、こういう姿を見せたことがあったかどうか。

わたしはニワカファンなので、リアルタイムではわかりませんが。
ですが、ファンの撮影した写真等で見る限りは、
たとえアイスショーであっても彼にはどこか近寄りがたい何かがありました。
氷帝としてのオーラだけではなく、
どこか「緊張感」が彼の周りを取り巻いていたように思うんです。

それがね、あんまり見えてこないんですよね。
たぶんね、ミーシンもそのことをわかってると思います。
周りの人もね。
だけど、いえないんでしょうね、本人に。
キム・ヨナとはまたべつのケースでしょうけど。

プルシェンコという人は、ご存知の通り、
子供のころ大変苦労した人です。
生まれも育ちもよくなくて、いつも貧乏で、
しかも、最悪なことに子どものときにソ連崩壊とぶつかってしまったから、
余計辛酸をなめたというか。
そういう彼が苦労して、血のにじむような努力をして
「国の英雄」にまで成り上がったのですから、
そういう彼の不幸な生い立ちを考えたら、
厳しいことをいうのはあまりにもかわいそうだろうと思って、
何もいえなくなって、結局みんな甘やかしてしまう。
それはかえってよくないと思うんですがね。
しかし、むずかしいんでしょうね。
両親ですら何もいえないんですからねぇ。

でもね、絶対いつかは誰かがいわなくちゃいけないと思いますよ。
「いまのままではだめだ」と。
かろうじてあの恋人ができるかですね。
どういう思惑があるにせよ、競技復帰を促した人ですからね。
がんばって厳しいことを言えればいいんですが。

彼は猫みたいな人だから、
ほめて甘やかさないとだめなタイプといいますが、
でも、どんな猫でも「しつけ」は大事ですからね。
絶対誰かがしかるべきときにきちんとしかってあげないとね。

自分の乏しい経験からいっても大事なことですよ。