2008/05/14

今ほしいもの②


先々月に出た宇多田ヒカルのアルバム。
これ、めっちゃほしー。
でも、例によってCDに3000円も出したくない(笑)。
なんとか半分ぐらいにまでできないものだろうか?
ミリオン突破したみたいだし、中古でもまだ2500円台。
需要がたっぷりあるから、そんなに値引きはされないだろーな。

洋楽専門ですが、いちおう邦楽も聞きます。
といっても、かなり範囲は限定されるんですが。
ですが、決して邦楽をないがしろにしているわけじゃない。
むしろ邦楽のほうが優れている部分も多くある。
個人的には、日本の女性シンガーソングライターは
海外の女性アーティストよりもはるかに上回ってると思ってる。

洋楽好きな人のなかで邦楽を見下してる人っているけれども、
そういうのはあんまり好きじゃないなー。
邦楽は洋楽の焼き回しだっていう人が多いけれども、
確かにそういう部分は多いのも否めないけれども、
オリジナリティあふれる音を作ってる人もたくさんいるわけで。
何でもかんでも否定するのはよくないと思ってます。

宇多田ヒカルはねえ、
わたしの中で日本三大女性アーティストの一人として名を連ねていまして、
残る二人は、椎名林檎と鬼束ちひろなんですけれども、
彼女のデビューはあらゆる意味ですごく衝撃的だった。

だってほとんど歌謡曲の匂いがないんだもん。
邦楽って、まあJ-popもそうなんですが、
どんなに今風の音を作っても、
絶対その根っこには『歌謡曲的なもの』があると思うんだよね。
これがあるからこそ、どんなに洋楽風な曲を作っても
J-popに聞こえてしまう。
マーティ・フリードマン(あのメガデスの元ギタリストね)が高く評価するのも、
そういう、どんなに西欧音楽の影響を受けようとも、
絶対変わることのない日本的精神の強靭さにあるのではないかと。

しかし、それはそれで日本の音楽を特徴付けるには十分役立っているとはいえるんだけれども、
逆にそのゆるぎない『歌謡曲』的構成のせいで、
時としてひどく単調に聞こえるというか。
前にも書いたんですが、曲の構成が聞く前からわかってしまうときが
時としてあるんですよ、少なくともわたしは分かってしまうことが多々あって。
それで、より即興的な作りをする洋楽へと移行したんですが。

でも、宇多田ヒカルはアメリカで生まれ育ってきたために、
邦楽の影響を(特に初期の彼女は)ほとんど受けなかったせいで、
極めて洋楽に近い音作りができたわけで。
それがすごくわたしには衝撃的だった。

特に衝撃を受けたのは、日本語の歌詞ののせ方。
『automatic』の最初の歌詞『七回目のベルで』の曲ののせ方がもう革命的にすごい。
ふつーのJ-popだったら、おそらく『七回目の/ベルで』で区切るか
または『七回目のベルで』をワンフレーズで歌いきってしまうか、どちらかなのに、
彼女はそれを『な/なないめのベ/ルで』と区切ってしまった。
これだったら、日本語として意味は伝わらないわけで。
当然歌謡曲ではこういう区切り方は絶対しないんだけれども、
彼女はそれをやっちゃった。
そうすることで、歌謡曲の呪縛を逃れたんですよ。
これは、本当にすごいことですよ。まさに画期的。

そういうこともあって、
邦楽もまだ捨てたもんじゃないじゃんって思って
宇多田ヒカルは今も聞いてます。
まあ、ちょっとプライベートなごたごたがあって(笑)、
一時期迷走の時期があったんだけれども、
また昔の彼女に戻ってきたかなーって感じです。
戻ってきたというよりも、アレンジメントの面で
今まで他人にプロデュースをしてもらっていたのを、
セルフプロデュースに切り替えてきたために起こった音の変化というのかな。
そのために、少し違和感を感じることがあったんだけれども、
さまざまな実験的な試みをおこなった結果、
はじめてセルフプロデュースの成果が出たのではないかと。

特に、今月シングルカットされる『prisoner of love』は秀逸。
すでにi-tune storeをはじめとする音楽ダウンロードでは
100万を超えているそうです。

↓↓↓↓ いい曲ですよ。