2009/11/22

プルシェンコ復活で変わる!? 4回転時代の再来か?



《前回からの続き》

最後に。
フリーの衣装、とてもいいですね。
いまの彼に似合っていると思います。
肌襦袢のところがタトゥーみたいになっていて、すごくセクシーというか。
それに比べ、SPは個人的にはあまり好きな衣装じゃないな。
FPと似たような感じだし。変えたほうがいいような・・・
でも、トリノのときもSPの衣装はあまりよくなかったし、
逆にそっちのほうがいいのかな。
トリノの再現ということで、金メダルを取りやすいかもwww


とにかく、これでプルシェンコの現役復帰は果たされました。
あとはどうバンクーバーまでつないでいくか。
本人としてもそれなりに満足の行く試合になったのでは?
確かに点数は4年前に比べたら低いですが、
この4年間まったく試合に出ずに、持ち点もない状態で
これだけのスコアを叩き出せたということはかなりすごいことだと思います。
逆に、ほかの選手たちに大きなプレッシャーを与えたことは間違いない。

誰もがこれほどまでに完璧に彼が復活するとは考えていなかったわけですから。

これは明らかにこれからの競技に大きな影響を与えるでしょう。

まずは、4回転持ちの選手は大いに勇気付けられたはず。
ここ数シーズン、4回転ジャンパーたちは不遇の時代を過ごしていました。
特にジュベールは受難そのものだったような・・・
なまじ4回転が飛べるだけに、
ほかのジャンプでは過酷なまでのエラーを取られたり、
回転不足を指摘されたりしてました。
まあ、それでもジュベールはあの通りの性格の人ですからw
(俺のフリップはルッ(ry )
少々のことではへこたれてはいないとは思いますが、
それでも、今年の世界選手権のミスといい、彼にとってはつらい時期だったでしょうね。

しかし、プルシェンコの復活によりジュベールもかなり奮起したはず。
NHK杯での彼の演技にはそれが顕著に現れていました。
実際には実現はしませんでしたが、FPで4回転を三回入れると宣言したのも、
プルシェンコのあの4-3を見てのことだったと思います。

やはりジュベールにとっての最大のライバルはプルシェンコなのでしょうね。
個人的にはどうかとは思いますがwww
ですが、まがりなりにも2004年の欧州選手権ではプルに勝利しているわけですからね。
その後も、プルシェンコに挑発的な発言をして、彼を煽っていたこともあるし。
プルシェンコあってこそのジュベールなのでしょう。

ジュベールのプルシェンコを倒したいという強い気持ちが
ここ数シーズン折れかけていた彼の心に火をつけたのではないでしょうか。





このSPは本当にすばらしいですよね。
4-3もすごくクリーンに決まって。3Aもヤグディン並みに豪快でいいし。


このプログラム、本当にいいプログラムですよね。彼に合ってる。
前シーズンからのプログラムですが。
ステップだってすごく躍れてるし、スピンもいいし。
個人的に、ジュベールはジャンプだけの選手という印象が強かったのですが、
こうしてプログラム全体を通してみると、ステップも上手いし、
ほかの要素でもかなりの努力をしているのだなということが分かります。
トリノからさまざまな部分でかなり成長してきていますよね。
ジュベールはわたしと同じ年なので、個人的にはがんばって欲しいです。


反対に、4回転を持たない選手には不利になったかと思います。
特にカナダのパトリック・チャン選手。
チャンはスケーティングが恐ろしいほど上手いが、いかんせん、ジャンプが苦手。
もちろん決まれば、すばらしく質の高いジャンプなので
加点がてんこ盛りにつきますが、なにぶん成功率が高くない。
調子が悪いと3-3ですらまともにとべなくなってしまう。
先日のスケカナでも、3-3ができなくて、3-2となってしまいました。
3-2って、女子か!



今シーズンに入ってからは、3Aがまともに飛べなくなってきているような・・・
単発でもようやく飛べている感じなのに、
コンボにしたら余計飛べなくなってしまうような・・・
てか、チャンって3A-3T、成功させたことありましたっけ?
それとも、もともと3A-3Tにしていないのかな?
でも、3A-2Tもまともに飛べていないような・・・。
少なくとも、昨シーズンで成功させたところを見たことがない ャバィ・・(-ω-;)

それでも、彼の点数が相対的にほかの選手よりも高めなのは、
プログラムの『つなぎ』の部分が優れているからです。
実は、去年のシーズンからつなぎの濃いプログラムを滑る選手には
PCSをほかの選手よりも高くつけるよう、ジャッジに要請されているそうです。

そういうわけで、ジャンプやほかの要素がグダグダでも、
チャンには高い点数が出るようになっているわけで。
PCS的にはチャンは五輪の金メダル候補といえそうですが、
ジャンプではプルシェンコにかなりの後れを取ってしまったことは確か。

前にも書きましたが、
チャンは加点が2点、または時には3点が付くほどの
『質の高い』3-3のジャンプを飛びます。
しかし、どれだけ質の高いジャンプを飛んでも、4-3の基礎点には勝てません。
ましてや、プルシェンコの4-3にはかなりの加点が付きます。
仮にチャンの3F-3Tに3点の加点が付くとしましょう。それで、合計12.5点。
しかし、プルシェンコの4T-3Tは、たとえ加点が1点だったとしても、14.8点になるのです。
その時点で2.3点の差が付いてしまいます。
ましてや、プルシェンコの場合、加点が1点だけということはないでしょうから、
さらなる差がついてしまうでしょう。
基礎点という時点でチャンはすでに負けているのです。

それに、質の高いジャンプやらTRというものは
素人にはひじょうに分かりにくい。というか、良さを判断しにくい。
オリンピックともなれば、コアなフィギュアファンだけではなく、
フィギュアのルールも知らない、普通の一般人の多くが観戦することとなる。
そのときに、ジャッジはどう判断するのか。
もし五輪で、チャンとプルシェンコの両方がネ申演技をしたとしましょう。
そのときに、チャンのほうが『つなぎ』がよかったからと
プルシェンコよりも点数が高くついてしまったら、果たして観客は納得するでしょうか。

プルシェンコのほうが明らかに難度の高いジャンプを飛んでいるのに、
チャンは、素人の判断できない『つなぎ』やら『質の高さ』やらが
プルシェンコよりも上だからと、点数が高くついてしまったら・・・。
カナダ人は満足するでしょうが、ほかの観客は首を傾げてしまうでしょう。

いまの採点システムの最大の問題点は、ここにあると思います。
素人が見て感じる選手たちの演技のできの良さと
ジャッジの判断する点数が乖離しすぎているのです。
こういうことが五輪本番で起きたら、
ソルトレークの再演となってしまいかねない。
いや、塩湖のときよりもよりいっそう深い怨恨を残してしまう。

カナダは自国の選手を勝たせたいあまり、
ルールを改変させるという暴挙に出ていますが、
実はこの方法は、巧妙でうまくいっているように見えて、
ひじょうに危うい点も多いのです。

まず、誰もが公平だと思わなくなってしまうという点。
八百長があるのではという疑いが激しくなってしまう点があります。
そうでしょう。観客がその選手の演技が上手いと思っても
点数には反映されないのですから。

そして、第二に技術が退化してしまう点。
難度の高いジャンプを飛んでも加点が付きにくければ、
みな無難なジャンプを飛んで、高い加点をもらおうとするでしょう。

また、スピンやステップのレベルが細かく決まっているため、
高いレベルを取るために、誰もが同じ要素を取り入れてしまう。
そのため、選手の個性がなくなり、みな同じような演技となってしまう。
その結果、面白みがなくなり、観客はいっそうフィギュアから離れてしまう。

最後には、フィギュアスケートという競技自体が衰退してしまうという最悪の結果をもたらし、
最終的には、カナダ自身が自分の首を絞めていたということに気づかされると。

カナダ人の悲願はよくわかります。
エルヴィス・ストイコ、カート・ブラウニングといった優れた選手を
数多く輩出してきたにもかかわらず、
オリンピックでは不幸にも不遇だったことを考えれば、
彼らが、自国で開催するオリンピックで、
ぜひとも金メダルを取りたいという気持ちは分からないわけでもありません。

しかし、何事にもやりすぎてはいけません。
それはかえって自らの首を絞めてしまうのです。
その証拠に、プルシェンコが復活してしまいました。
プルの復活はカナダが最も想定していなかった事態でしょう。
しかも、単純な復活ではありません。
金メダルを狙えるレベルでの復活なのです。

カナダもプルシェンコに対してはどうすることもできません。
小手先のルールを変えても、プルシェンコを貶めることはできないのですから。
回転不足も取ることができないし、エッジエラーも取れない。
ジャッジだとて、フィギュアスケートの歴史を変えてきたこの天才に、
いまさらいちゃもんをつけることなどできないはずです。
彼こそが男子のフィギュアスケートの歴史そのものなのですから。

天才というものは、いつでもルールや時代を超越してしまうものです。

カナダはプルシェンコにすっかり恐れをなしてしまっているようで、
チャンを使ってプルシェンコを非難するという暴挙に出ています。


やはり『つなぎ』のなさをいろいろといっていますよね。
ロステレコムでの挑発的なパフォーマンスにも怒っているようです。

しかし、それは逆にカナダ陣営の焦りを暴露してしまっているようにしか見えません。

チャンは優れた選手ですが、プルシェンコのライバルとしては役不足。
凡人はどうあがいても天才には勝てません。
天才に勝つためには、自らを犠牲にしなければならない。
ヤグディンはプルシェンコに勝ちましたが、
その代わり、自らの健康を失ってしまうという大きな代償を払いました。
あのヤグディンでさえもそうだったのですから、
カナダもプルシェンコに勝つためにはそれなりの代償を支払うべきです。
だから、チャンも、小手先の『つなぎ』の濃さなどではなく、
正々堂々と、
自分の身を賭して4回転を飛ぶんだぞという意気込みで闘わなければ。
しかし、その代償がフィギュアスケートという競技全体の衰退だとしたら、
わたしは一生カナダを許さないけど。

どんなに『つなぎ』が優れていても、
人間、見た目の派手さ・すごさには勝てないのです。
最後には難度の高さ、誰もがやったことのない技に
惜しみない賞賛を送るものです。

プルシェンコの復活が、
フィギュアスケートという競技を正常化してくれる
何らかの手立てになってくれることを願ってやみません。