2007/12/19

GOTHとは何か④~(ポジティヴ・パンクからゴシック・ロックへ:bauhausの登場)

更新遅れてしまってごめんなさい。
早く書こうと思っても、ほかに書きたいことがたくさん出てきてしまって、
なかなか書けなかったというか…。

前置きはこのくらいにして、GOTHの話を進めてまいります。

前回まではポジティヴ・パンクの登場についてお話しました。
今回は、bauhausとゴシック・ロックとのかかわりについてお話したいと思います。
ポジティヴ・パンクの定義は前回でも述べました。
そのなかでもメイクをして歌うというグラム・ロック的な要素は非常に重要です。
「batcave」という名のクラブの登場も、ポジティヴ・パンクの興隆を後押ししました。
皆さんもクラブに行くときはなんとなくクラブ仕様の格好をしようとするでしょう。それと同じです。
batocaveに出かける人たちもそのような装いをしていったのでしょう。
しかし、なぜそのファッションが『GOTH』でなければなかったのか。
別の格好をしても構わないのに、なぜ黒装束でなければいけなかったのか。
わたしはbauhausにそのヒントがあるように思います。

では、少しbauhausについてみていきましょう。
bauhausのバンドの成立等についてはここでは省きます。
offcial siteWikiもありますし、
詳しい情報を載せているサイトもありますので、
そちらを参照していただいただければと。
わたしの拙い文章を読むよりもずっと分かりやすいと思いますので。

ここではゴシック・ロックとの繋がりについてのみ述べさせていただきます。
↓はbauhausのメンバー写真です。


写真でもお分かりの通り、非常に分かりやすい格好をしています。
特に左二番目のpeter murphyはまさに1920年代映画の『ドラキュラ』の格好というか、
「ベラ・ルゴシ」を意識しているのは明らかです。
現に彼らの曲のなかにも「bella lugosi is dead」という名前の曲があります。
これですね。

正直、わたしもはじめてみたので驚きました。
マリマンなんかをイメージしている人には少し物足りないかもしれません。
同じゴシックでもマリマンのほうがグロテスクで、近未来的世界観を感じさせるのに対し、
bauhausのほうがもう少し古典的というか、
1920年代のサイレント・ムービーやクリストファー・リー主演のハマー・ムービーといった感じです。
B級ホラー映画を見るようないかがわしさというか。
よくゾンビみたいな映画ってあるじゃないですか。
今みたいにCGなんてあるわけじゃないから、特殊メイクとかを施して撮影するわけですが、
その特撮技術が今みたいに高くないために、すごく安っぽくて胡散臭くみえるという。
ああいった感じがぷんぷんただよってくる。
しかし、それが逆にゴシックな雰囲気を盛り上げているようにも見られる。
この当時、ゴシックというのはマリマンに代表されるようなショッキングで、意図的なものではなく、
もっとアンダーグラウンド的で、目立たないものだったように思います。

おそらく彼らもマリマンほどは狙ってやってはいなかったのではないでしょうか。
グラムの延長として、ボウイは宇宙人に扮したから、
自分達はベラ・ルゴシにしようみたいな軽い感覚で、
ゴスをやっていたのかもしれない。
少なくとも意図してやっていたという感覚は薄い気がする。
ところが、周囲は、少なくとも当時の若者はそのようにはとらえなかった。
彼らの黒装束を纏って、シアトリカルなパフォーマンスを繰り広げる姿は、
挫折した若者達の心を少なからずも捕らえるものがあったのでしょう。
以前も述べたとおり、ドラキュラは西洋社会では異端=反社会的存在としてみなされる。
ドラキュラに扮して歌うピーター・マーフィーは、
若者達には反社会を象徴するアンチ・ヒーローのように見えたのではないでしょうか。
社会が若者達にとって受け入れられない存在だとすると、必然的に反社会性を帯びる。
特にこの時代、イギリスは戦後最悪の不況で、若年失業率も高かったから、
若者達の疎外感は大変強いものだったに違いありません。
そんな時代の空気とうまく同調し、最も分かりやすい形で示したのが、
bauhausではなかったかとわたしは思うのです。

この白塗り・黒装束、つまりゴシックな格好をして歌うというスタイルは、
前述したポジティヴ・パンクの3要素に加えて
ゴシック・ロックという新たなスタイルを作り上げました。

しかしながら、残念なことにすぐにGOTHは廃れてしまいます。
80年代半ばまでには一部のバンドを除いて殆どが解散、
またはアンダーグラウンドでの活動を余儀なくされます。

ですが、完全に廃れたわけではありませんでした。
確かにイギリスでは廃れてしまうのですが、
GOTHは海を越えてアメリカ、及び欧州大陸へと渡り、果ては日本にまでやってきます。

bauhaus以降のGOTHの流れについては次回に。