2008/06/14

VHS or beta


以前、new wave revivalのバンドをいくつか紹介したときに、
このバンドは絶対に紹介せねば! と思ったのですが、
なぜか紹介しそびれてしまいました。

いま通学のときに聞いているのが↑のアルバム。
リリースされたときはかなり聞いていたんですけれども、
cureの新曲を聞いてたら、こちらも聞きたくなってしまって。
例によってCD格納庫から、引っ張り出して聞いてましたわ。

いいよね~~~。もう、最高! 
去年リリースしたニュー・アルバムはイマイチだったんだけれども、
このデビュー・アルバムは『永久名盤』にしたいぐらい(笑)。
といっても、たぶん、このアルバムはフツーの洋楽ファンには絶対分からない。
cureファンにしか、このアルバムの良さは分からないと思います。

前にも書きましたが、new wave revivalにはある傾向がありまして、
その大きな傾向のひとつとして、
cure meets ダンス・ミュージックというのがありました。
彼らは、まさにこれ。だってもろcureなんだもん。
もっといえば、daft punk meets cureなんだけれども、
ボーカルがね、そっくりなのよ、ロバスミ御大に。
シャウトのし方も、すごく苦しそうに高音を歌うとことなんかも、すげーそっくり。
しかもね、このバンドのボーカル。めちゃアジアンな顔なの。
たぶん中国系なんだろうけど。
こんなもろ東洋人みたいな顔のお兄さんが、ロバスミ声で歌うという衝撃がスゴくて。
もろハマってしまいましたわ。

それに、彼らはraptureと違ってcureにより近づこうとしているのがイイ。
しかも、それに失敗しちゃっているところもグゥ~~。
本当にね、頑張ってるって思うんだ、すごい努力してるのよ。
cureにね、少しでも近づこうと必死になって努力してるんだけれども、
まったくうまくいっていないのよ(爆)。

その典型的な例が『alive』という曲。
これは壮大な野望を持った曲で、
『the head on the door』期のcureに近づこうとして作った曲。
この時期のcureは、音楽的には初期のダーク路線から、
ポップ路線へと脱却し始めた時期。
ダークな要素とポップの要素が絶妙に絡み合う、
まさに彼らでしか作りえないような、cureの個性を確立した時期でもある。

しかし、このVHS or betaは無謀にもこの時期のcureに挑戦しようとしているんですね。
だいたい、cureに影響を受けてるバンドって
初期のダーク路線(the essenceなど)が、ほとんどではないですか。
答えは簡単。真似するのが簡単だからですよ。後期のcureは音楽的には非常に難解。
これはロバスミ御大の個性なくしては絶対に成り立たない音楽世界だから、難しいのよ。

それなのに、彼らは果敢にも挑んでいるんですわ。
その心意気はエラい!と思うよ。ほかのバンドはそんなことしないからね~。

で、『alive』は最初は初期cureのダークな曲調から始まる。
ミニマル・ミュージックに影響を受けた同じフレーズが続く感じの曲ね。
で、途中から転調して、Bメロ辺りから急にポップな曲に変わるんだけれども、
ポップな要素とダークな要素がぜんぜん融合されてなくて、
完全に切り離されちゃっているんだな。そのせいか、
この曲はひとつの曲でありながら、
二つの曲が存在するというすごく奇妙なことになっちゃっている。

たぶん、彼らの意図としては、
ダークなリズムのなかにポップなメロディを融合させたかったんだろうね。
だけど、その意図はみごとに崩れちゃった。

難しいよ、ポップ・ミュージックのcureを真似するのは。
本当にいくつも見てますもん、失敗例を。
カバー曲になると顕著。
ほかのバンドがね、cureの曲をカバーすると
ただのポップ・ミュージックになってしまって
個性とか、特徴とか、cureの曲を形作ってるいっさいのものが飛んじゃうの。
ロバスミ御大の個性がいかに大事か思い知らされるわけですよ。
曲の根幹をなしているものですからね~~~。

まあ、このバンドもこのアルバムでcureを真似するのが
いかに難しいかを思い知らされたのか、
セカンドでは思いっきりダフト・パンクにシフトしておりましたが。

でも、そういう失敗も含めてこのアルバムは好き。
そして、このアルバムを聞くたびに
cureってやっぱスゴいな~~って思い知らされたり(笑)。

おススメです。