2009/10/09

浅田真央 ジャパンオープン2009 『鐘』 考察 その2


《前回からの続き》

それと、スパイラルとスピンの短さにも若干気になりました。
たぶん最初の連続ジャンプが失敗して、
曲に余裕がなくなってしまったということもあるかと思いますが。
レベルが取れていないのが気になる。
この辺は、キム・ヨナ選手ならばきちんとレベル4を取りますから、
より細心の注意を払ってやらなければならない。

このスピン、スパイラルの短さは前から指摘されていたことです。
もう少し余裕を持ってやってもらいたいですよね。


最後に。
「鐘」の衣装がすごくいいと思いました。
紺のビロードがとても高貴な雰囲気を出していて、
浅田選手の育ちのよい上品さとよく合っていると思います。
それに、彼女の体のラインの美しさを強調しているのもいいかと。
少し大胆かもしれませんが。
でも、「大人になった」浅田真央を見てもらうにはいいかと。

新シーズンはまさに浅田選手にとって新たな幕開けという感じですよね。
「大人」の女性になった浅田真央というイメージをどこまで押し出せるか。
ここが勝負の鍵だと思います。
実際にもう「真央ちゃん」という風には呼べない雰囲気になってますよね。
「浅田選手」というひとりのアスリートになろうとしている。
それを応援できればなと。

曲が暗すぎる、地味で盛り上がりに欠ける。
もっと華やかで明るい曲がいい。
浅田選手には「春のお姫様」のような雰囲気が似合うという意見がありますが、
わたしはそういった意見はちょっとどうかなと思います。

確かに浅田選手は「ノクターン」のようなみずみずしい、
やわらかい雰囲気の曲が似合うことも知っています。
そちらのほうがより彼女らしいとも。
しかし、浅田選手ももう19歳。
いつまでも少女の頃のような表現をすることはできないと思います。
ましてや、才能のある選手ならば表現の領域を
もっと広げていきたいと思うのは当然のことです。
そして、浅田選手がそのことを誰よりも渇望しているということも。
ファンはそれをむしろ応援してあげるべきではないかなーと思います。

わたしたちは浅田選手を「春のお姫様」のようだからもっと華やかな曲が似合うといいますが、
それはわたしたちの願望なのであって、
浅田選手自身がそれを望んでいないのではないかと思うんです。
「浅田真央シリーズ」を読んでると、
「大人」の浅田真央を表現したいという浅田選手の本音がたびたび記されています。

わたしたちはむしろこの「春のお姫様」のイメージを
彼女に押し付けているのではないかと考えることがたびたびあるんです。
確かにそういう雰囲気のある彼女ですが、
それはわたしたちが勝手に考えるイメージであって、
そのイメージから外れることを何よりも恐れているのは
他ならぬわたしたちのほうではないかと。

そして、わたしたちがそのイメージを押し付けるあまり、
浅田選手が逆に苦しんでいるんだとしたら・・・・。

確かにオリンピック・シーズンですし、冒険するのはよくないと思いますが、
逆に既存のイメージをそのまま表現して、
果たしていい評価を得られるかどうかも疑問です。
どう考えても、キム・ヨナ選手のほうに地の利があることは明らかですし。

それならば、浅田選手の信じること、やりたいと思うことを
最後まできちんと見守って、応援していきたい。
わたしはそう思います。

彼女の鳴らす「鐘」がバンクーバーにも響き渡りますように。





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