2007/09/06

日本の洋楽雑誌について思うこと。


今年フジロックに参戦したこともあり、ここ数ヶ月日本の洋楽雑誌を買いまくっている。
日本の雑誌はめったに買わない当方。洋楽についての情報はほとんど海外の雑誌やサイトから得ているのだが、こうやってたまに日本の雑誌を買うと、首をひねりたくなるようなことばかりが書かれていて辟易する。
もともと日本の洋楽雑誌を信じるほうではない。
ロキノンにいたっては、「お前はNMEの回し者か!!!!」といいたくなるほど、NMEの受け売り、垂れ流しに驚く。
ロキノンが必死になって宣伝するUKバンドはほとんどといっていいほど、NME辺りがプッシュしているものばかり。
昨今、UKバンドがブームらしいが、それはロキノンがNMEに偏っているから。
イギリスの音楽状況しか伝えられず、アメリカで数年前から起きていた音楽ブームは完全に忘れ去られ、逆に1年以上経ってから伝えられるという信じられない状況。
the killersなんてイギリスでもブームになっていたにもかかわらず、なぜか見落とされ、
彼らが向こうで話題となってから1年も過ぎてようやく記事に載るっていったい…。
emoブームに関してはもうあきれるばかり。
アメリカ本国だけでのブームということもあるんだろうけれども、記事にされるどころか、
いまごろになってようやくemoのミュージシャンを取り上げたりして、本当に頭が痛くなる。
マイケミが奇跡的に日本で取り上げられたのは、
それこそイギリスの音楽雑誌がこぞって彼らをプッシュしていたから。
自主性も、主体性の欠片もない、イギリスで流行っている音楽はすべて正しいと思って取り上げている、妄信にも似た馬鹿っぷり。
ロキノンっていつからNME東京支部になったんだ? もとからそうなのか?
と思って、昔のロキノンを引っ張り出して読んでみたんだけれども、
確かに眼を覆いたくなるようなヒドイ記事ばかり。
ブリット・ポップは完全にNME辺りから引っ張ってきてるでしょう、あれ。
しかも、堂々と雑誌にNMEの表紙載せたりしてるものねえ。
オアシスVSブラーって。何も一緒になって対決を煽らなくても…。
「be here now」が史上最高の傑作って何よ? オアシスに匹敵できるのはもはやビートルズしかないって何? いったい何考えてんだ?
そうやって一生懸命西の田舎の島国の音楽シーンを追っている合間にも、太平洋の向こう側では別な音楽シーンが活況を呈していたにもかかわらず、まともに取り上げられることもなくて。
そもそもスマパンの「mellon collie~」が日本でまったく売れなかったのだって、
ロキノンやクロスビート辺りが無視したからでしょう。
faith no moreとか取り上げられたことってあったの? レイジやリンプが取り上げられたのもずいぶん遅くになってからだったような…。

日本の音楽雑誌が一番悪いなと思うところは、特にロキノンに感じることなんだけれども、
自分たちで音楽を開拓できないところ。
イギリスの音楽シーンを至上のものと捉えすぎて、イギリスの今を伝えれば、
自分たちの役割を果たせていると考えている。
でも、それって正しいことなのかな? 
ドイツやフランスの音楽雑誌なんか見ていると、そういうことはあまりなくて純粋に好きなもの、
自分たちの耳に合うものを取り上げたりして、
ブームとか無縁のところでしっかりと洋楽を見つめているような気がする。
ここでこんなことを書くのはどうかと思うけれども、ドイツで日本のdir en greyが非常に高く評価されているのも、単なるブームとしてではなく、ドイツ人にとって合う音楽として認知されているからじゃないの? 
日本だって昔は海外の雑誌の垂れ流しじゃなかったはず。
少なくともLAメタルに関しては、独自の耳を持って音楽を開拓していたこともあったのでは?
ボンジョビやMR.BIGなんかは日本発のブレイクでしょう? 
私はLAメタルは大っ嫌いだけれども、少なくともロキノンの馬鹿イギリス至上主義者よりかはBURRN!!のライターたちのほうを高く買うね。
日本のオルタナ系のライターだってもう少しそういうことをしてもいいんじゃないだろうか。
じゃないといつか日本の洋楽シーンは飽きられてしまうと思う。
自分と同世代の若い子が、単なる流行として洋楽を聴くのであれば問題はないけれども、本当の洋楽愛好家がこの先育ってゆくかはどうかと思う。
こんな音楽の伝え方をしていたのであれば、洋楽シーン自体も衰退し、果ては自分たちの雑誌の売り上げまで下がってしまうのではないだろうか。
この先若年層の人口はどんどん少なくなってゆくのに、30代40代の成熟した洋楽ファンを取り込んでゆかないと、先がないような・・・。
それよりもグッシャーのマッデン兄弟を可愛いとかいっている後輩の先行きが不安なんですけれども・・・(いや、あれはきっと80年代のロバスミ御大と一緒の感覚なのかも)。

9 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私が若かりし頃(80年代)は『Music Life』『音楽専科』『Viva!Rock』といった洋楽雑誌を愛好しておりましたが、これらの雑誌は当の昔に廃刊になっているんですねぇ・・・ 小難しい評論はほとんど無く、編集者が好き勝手にかっこいい男を選ぶ座談会とか、ロック・アーティストを登場させたマンガがあったりとか、肩肘張らずにものすごくミーハー的に楽しく読んでいたことを覚えています。
インディーズ系の『Fool's Mate』なんて今よりずっと洋楽の割合が大きかったし、キュアーも度々表紙や記事になっていましたっけ。

邦楽が未だ発展途上であった70年代、80年代には今よりもっとたくさんの雑誌で洋楽が紹介されていたように思います。

匿名 さんのコメント...

juneさん、音楽専科、懐かしすぎ!
8ビートギャグ、復刊されるらしいですよー。思わず復刊された場合は購入っていう予約みたいなのをしてしまいました(汗)。
あ、Rock Showもお忘れなくー。

ロキノン、気がついたらUK偏重がひどくなってましたね。多分増井さんが編集長になってストーンローゼズが出てきたあたりからではないかと思われます。
NMEに掲載されたインタビューがよく載ってるので、契約結んでるのかも、

イギリスって、ブームを作るのは簡単なんですよ。国が小さいから。ちょっとこれは面白そうだっていう新人を見つけたらガンガン取り上げる。
次にまた違う新人が出てきたら今度はそっちを持ち上げる。
何度Next big oneっていうのを押し付けられたことか。
ツアーだって日本と大して面積が変わらない島国なので、そんなに長期ツアーすることもなく簡単に新人さんが来日してしまうのですね。
それを又日本の洋楽誌が持ち上げる、と。

アメリカはそう簡単に売ろうと思って売れるものではないらしいです。
あの広大な国中をそれこそ1年くらいかけてツアーしてようやくちゃんとファンがつくらしいです。
なので、アメリカで売れてるバンドっていうのは好き嫌いは別として、ライブはちゃんとしてると友人が言ってました。払ったお金に見合うだけのことは最低でもしないと生き残れないって。
アメリカをツアーするのって本当に大変らしい。
ブラーもアメリカで売り出そうとしてツアーやって、精神的にボロボロになったと聞きました。
事実、イギリスの若手バンドがアメリカツアーでボロボロになって解散っていうのはよくある話みたいです。

あ、雑誌の話から逸れてしまった。
ロキノンが悪いっていうか、音楽も「産業」なんだよなあーと思ってしまう今日この頃。
ずっと同じバンドばっかり載せてるわけにもいかん、ここで何か新しいもんをどっかーんと出さなくては、ってね。
お金がからむところ、どこも一緒なんですよね。
悲しいけれど。

NMEもQも私はあまり信用してません。
ブーム作り出そうっていうのが見え見えなんで。
記事よりやはり耳で聴いて自分がよいと思ったものが一番なんじゃないかなあ。
BBCの6 musicやradio 1は結構よいDJがいておすすめですよ。

hender(mako) さんのコメント...

sheelaさん。
いつも思うのですが、アメバンっていい意味でもすごく見せ方がうまいというか、プロ意識がUKバンドとは違う気がします。
あれだけ国土が広いと、音楽的傾向もさまざまな人が集まってくるから、やっぱりいろんな人を楽しませなければという意識が自然と身につくのかもしれません。
そして、cureがアメリカで受けるのもやはり苗場でも体験した通りのライブバンドとしての質の高さなんでしょうね。
cureはアメリカをきちんと回れて、ブラーがアメリカを回れなかったという話ですよね。要は。ブラー、大好きなんですが(笑)。

音楽が産業って最近とみにそう思います。日本の外タレ・バブルを見ても、とりあえず売っとけみたいな雰囲気がありありと見えて。
NMEは自分的にももううんざりというか、読むたびに次の新人はこれだああとか書いてあって、その変わり身の早さにビビリ。
でも、唯一救いだったのが『BUZZ』で多くのイギリス人アーティストが苗場でcureを見て素晴らしいといっていたこと。ashやリリー・アレンその他。イギリスではcureは冷たいといわれていますが、見ている人はちゃんと見ているんですね。

BBCの6 musicやradio 1ですね。ありがとうございます。今度聞いてみますね。


juneさん。
今は洋楽を聞く若い子自体も少ないんです。
洋楽の市場自体が狭まっているように感じます。

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
いつも楽しく拝読させていただいています。
今回初コメントを失礼します。

ロキノン、ここ10年以上「読む価値なし」と決め込み、立ち読みしても話半分で読み流しています(いきなり毒舌スミマセン!)

大昔は「オレが好きなアーティストだけをオレが好きなように書いて載せる」というスタンスだったように思います(渋谷さんが)。それはそれでどうかなぁと思ってはいたのですが。
今ではhenderさんをはじめ、みなさんが書かれてるような現状なんですねぇ(溜息)

メタル誌『BURRN!』も、雑誌のあり方について一時期編集者たちと読者たちが誌上で激論を戦わせてた頃もありましたが(苦笑)

情報に偏りはあっても、昔はそれでも指示されていたのは、各誌とも「個性」があったからなのでは、思っています。
でも今は雑誌という媒体すら存続が危うい時代、その中で勝ち残ってきただけに、その内情は妙なことになってしまってるのでしょうか。

今の若者の(自分も若者だと思っていたいけど…現実は30代…)不思議なUKロック傾倒ぶり、すごく疑問に感じていたのですが、こちらのブログで、その要因の一部も理解できたように思えました。

長々とごめんなさい!
不適用でしたら削除してくださいませね。
これからもステキなブログ、楽しみにしています♪

匿名 さんのコメント...

そうそう、私が言いたかったのは「プロ意識」、それです!
もう最近脳細胞が萎縮してるので、自分が言いたいことにぴったりな言葉が出てこないー(涙)。
まだ9月ですが、今年観たライブでcure@naebaを除けばベストアクトは5月のNINかな。
前回のNKホールはちょっと???だったのですが、今年はすごかったです。
最初から飛ばす、飛ばす。
ヘナチョコ英国若手バンドに慣れきっていた私なぞは「こんなに飛ばすと最後までもたんぞ」と心配したのですが、まったく無用の心配でしたねー。
ダレる時間など1秒もなし。最初から最後まで全力疾走。アメバン、恐るべし。

イギリスバンドがアメリカ行っておかしくなるのは、とにかく国が広大で、そこを地道にバンで移動して、毎晩ギグやって、っていうのをやってると自分が今どこにいるのかとか今日は何月何日なのかっていうのが分からなくなってしまう→クスリとアルコールにはまるっていうのが多いみたいですよ。
Blurはさっさとアメリカ進出に見切りをつけたので生き残れたのではないかと。
後年、song2とかが売れてびっくりしましたが。

キュアは楽曲の素晴らしさもさることながら、ライブがしっかりしているっていうのもアメリカで売れた要因ではないかと思います。

それにしても今月のBUZZの表紙、あれは一体何なんだ?
ロバスミの写真は♡でしたが、あの表紙はひどすぎる。北極サルのみにしたクロスビートの方がまだマシだ。
ロキノンは昔から誌面デザインには力入れてたはずなのにー。

BBCは個人的にはradio 1のZane Loweと6 musicでは[
永遠のインディー小僧」Steve Lamaqが好きです。
一応BBCのプレイリストに載ってる曲からみんなかけてるんだけど、それぞれ個性があって面白いですよ。
スタジオライブとか、電話インタビューとかもあるし、
BBCだからなのか、英語も非常に聞き取り易い。
フェスの音源やビデオもOAから1週間は聴いたり観たりできるので、おすすめでーす。

hender(mako) さんのコメント...

わあ、うれしいです、知らない方からのコメントをいただけるの。匿名さん、ありがとうございます。

ロキノン、読む価値なしですか(^-^;
私もそう思います。私もめったに最新号は買いませんし。で、BOOK・OFFで100円になったら買って、なんじゃこりゃあと憤ると。いつもこんな感じです。

メタル誌『BURRN!』も内部でいろいろあったんですね。情報ありがとうございます。それでも、『BURRN!』はよくやっているほうだと思います。ロキノンよりかはマシ。ロキノンのイギリス偏重ぶりにはもう。現編集長の粉川しのも学生の頃ブリット・ポップにかなり傾倒していたみたいなので、イギリス偏重は続くのではないかと。

>今は雑誌という媒体すら存続が危うい時代、その中で勝ち残ってきただけに、その内情は妙なことになってしまってるのでしょうか。

だから雑誌とレコ会社が一緒になって、へんてこりんなブームを作り出すんですね。
音楽が、文化自体が衰退していっているような気がします(-_-;

匿名さん、また気軽に遊びに来てくださいね。素敵なコメントお待ちしてます。

hender(mako) さんのコメント...

sheelaさん、こんにちわ。

>ベストアクトは5月のNINかな。
やっぱ、いいですか。NIN。私も見に行きたかったんですよ~。

>ダレる時間など1秒もなし。最初から最後まで全力疾走。
トレントの肉体改造もそういうところに現れているんですかね。羨ましいです。とれんとぉ。

NINってトレントの内向的なイメージが強くて、ひ弱そうな感じがするのに、あらゆる点で戦略がしっかりしているというか、すごく自分たちを売り込むのがうまいと思います。したたかなんでしょうね。ライブにもそれが現れているのかも。まさに、プロ意識ですよね。

UKバンドってビックマウスの癖に、案外ひ弱なんですね(^^;
オアシスがドラックでだめになったのはアメリカツアーの疲弊のせいなんでしょうか?
アメリカで一旗上げたいバンドは多いでしょうに、国土の広さにやられてしまう当たりが非常に島国的でいいですね(笑)
それに比べ、cureはタフなんでしょうね。なんか御大ってすごく繊細なイメージが強いんですが、強靭な意志を感じます。

私も思いました、BUZZの表紙。
なにあれ?って。どうせあんな表紙にするならcureにしてくれって心の中で思いましたよ。
ロキノン系の雑誌ってどんどんいいかげんになってゆくような気が…。

Steve Lamaqですね。名前チェックしました。英語の発音がきれいっていうのはポイント高いです。イギリス英語の発音にいつも四苦八苦しているので。

匿名 さんのコメント...

NINはほんとすごかったです。誘ってくれた友人に感謝!
トレントってすごく頭良い人なんだなっていつも思う。
インタビューはあまりにまともすぎてつまらないが(笑)。
あの肉体改造ぶりはすごい。ロバも見習ってほしい。
でもイギリス人だからなあ・・・
努力して自分の身体をどうこうしようっていう意識はゼロの国民ですから。
肥ってて人に迷惑かけるわけじゃなし、っていう開き直りがまかり通りますから。

あ、一番言いたかったことはですね、キュアというかロバートは音楽に対してほんとうに誠実な人だなあ、と。
その音楽へ対する真摯な姿勢が結局はファンに誠実ってことになるのかなあ。
音楽が一番大事っていうのが、あのきついアメリカツアーをちゃんとこなして、あちらでブレイクすることになったんだろうな、って思います。

昨日は友人たちとTrilogy鑑賞しましたよー。
FUJI参戦せず、初来日も見逃してる友人はCureってライブバンドなんだーと感心してました。
ふふふ、これで3名とりあえず次回作は買う!というファンをゲットいたしましたわ。
次に狙ってるのは美容院のアシさんです。来週あたり行って布教してこよっと。

hender(mako) さんのコメント...

sheelaさん、
御大もトレントを見習って欲しい。
イギリス人ってなんかすごくストイックなイメージがあるんですが、自分の肉体に対してはそうじゃないんですね。
太って人に迷惑かけるじゃなしって、だからお嫁さんと一緒になって肥大化しちゃったのかなあ…。
お嫁さんは自分よりもものすごい量の食事をするんだけれども、彼女は太らないんだと御大は昔の雑誌でそう語っていたんですが…。やはり油断は禁物ということで。
でもロックスターとして最低限のことはして欲しいですよ。少なくともビジュアルは大事なんですから。日本の若いファンを獲得するためにもぜひそうして欲しいです。
ボウイを尊敬しているんだったら、ビジュアルの面でも見習えばいいのに。御大、頼みます。

3人ゲットですか…。羨ましい。
私も友人を洗脳中ですが、みんな反応が鈍くて…。やっぱ20代でcureを聞くのは厳しいんでしょうかね。ベスト盤聞かせてもいまいちピンと来ないみたいです。
うーん、何がいけないんだろう?
やっぱPV集とか見せたほうがいいんですかね? でも、trilogyとかはだめだろうな。暗いのだめっぽいし…。難しいところです。