2009/04/18

2009 world team trophy~女子SP 浅田真央 感想~



国別対抗戦の浅田選手のSP、すばらしかったですね (ノω`*)
SPに3Aを投入するなど、いくら天才の浅田選手でもむずかしいのではと思いましたが、
さすがは天才、杞憂でした (^ω^;)

すばらしい3Aでした。以前は3Aが決まってもツーフットになることが多く、
あまり質の高い3Aとはいいがたかったのですが、
今シーズンの3Aはすばらしい。
以前よりもずっと高さがあり、軸もずっとしまって質の高いジャンプをするようになりました。
あとはもう少し飛距離が出るようになればさらに良くなると思います。

ただコンボにしてしまうとちょっと3Aの精度が落ちるのが難点かな。
単発のほうがずっとクリーンに降りていることを考えれば、
3Aのコンボはいつも4分の1ぎりぎりで降りてきているので、
もう少し精度を高めないといけません。
あと、セカンドジャンプの2Tも今回はぎりぎりだったので、
こちらも改善の必要性あり。

と同時に、やはりセカンドジャンプのTに対しては
かなり認定が甘いのかなと思ったりもしました。
loは来シーズンは回避して、3Tに変えるべきです。
たぶん浅田陣営もそうしてくると思います。

浅田選手は実は3Tが苦手なんですよね。
トーループは最も簡単なジャンプなのに。
たぶん簡単すぎてあまり練習しなかったのでしょう。

でも、3F-3Tのコンビネーションを必ずしも飛んでいないわけではなく、
前シーズンやジュニアの頃にも飛んでいたので、
たぶん練習すれば回転不足なく飛べるようになると思います。

ファンのなかにはなぜ今シーズンからセカンドの3Tを投入しなかったのかという批判がありますが、
私が思うに、3F-3Tを投入してもキム選手の3F-3TにはGOEの面で勝てないと踏んだためかと。
ルッツは矯正中で、高いGOEがつくわけでもないし、逆にeがついてしまう可能性さえある。
そんななか、キム選手に少しでも上を行くためには
セカンドジャンプにloをつけざるを得なかったというのが本心ではないでしょうか。。。

もし今季決まれば強力な武器になることは明らかですし、
どんなにキム選手のコンビネーションにGOEが高くついても、
基礎点が高い3F-3loの点数には勝てない。

しかし、誤算だったのは今季のセカンドジャンプのLoの回転不足を
より厳しくとられるようになっていたこと。

浅田選手のジャンプは去年よりもずっと精度が高くなっていると思うんです。
前よりもジャンプに高さが出てきたし、
おそらく成長も止まって身長も安定してきたこともあって、
よりジャンプが安定してくるようになった。

にもかかわらず、3F-3loが前シーズン以上に認定されなくなってしまったのは
浅田陣営にとってはひじょうに痛かったと思う。

結局、浅田選手は今年に入って3Loを2Loに変えることによって、
四大陸では認定されましたが、
フリーでキム選手より浅田選手のほうが点数が上回ってしまうことがわかったのか、
世界選手権のフリーでまたDG。
そして、今日の国別のフリーでもDGされています(※)。
本当にloに関しては非常に厳しいです。厳しすぎると思います。

(※訂正:いまさっきプロトコルをみてきました。loではなくて
3Fに<が刺さっていたんですね。 なぜ???)

安藤選手のSPもそうでしたよね、
どう見たって肉眼では完璧に回りきっているのにDG (-"-怒)
いったいあれ以上どうしろっていうのよ

おそらくセカンドジャンプの3Loは認定されないと思います。
今シーズンルールが改定されて、回転不足判定を緩やかにするといってますが、
結局はジャッジの裁量権が増しただけで、
より恣意的な判定が出ることは確か。

ここはきっちり3Tの習得に専念すべきです。
もちろん安藤選手も。
たぶん両陣営もそうしてくると思いますが。。。



それと、最後に。
すごく気になったのですが、
まあ、なんと浅田ファンのゲンキンなこと。
世界選手権のときは、『月の光』は地味でインパクトがないとかさんざん悪口をいっていたのに、
国別での演技を見て、やはりこの曲はいいとか賞賛しだして。。。

初めからわかっていたことではないですか。
このプログラムは非常に難度の高いプログラムだということを。
浅田選手自身も言っていますよ、
『自分自身で盛り上がりを作っていかないと、地味になってしまう』と。

このプログラムは、浅田選手の表現力を鍛え上げるためのプログラムなのであって、
『勝つ』ためのプログラムではありません。
そして、浅田選手のプログラムは
実は2006年シーズンから『挑戦的な』プログラムをやり続けている。

気づきませんでしたか?
シニアに上がってからの彼女のプログラムで使用する曲が
オペラなどの物語性の強い曲ではなくて、抽象的な曲が多いということを。
これもまた彼女の表現力を鍛えるためにあえてこういうタイプの曲を選んでいるんだと思います。

浅田選手はまだ18歳です。ひじょうに若い。
こういう若い選手が音楽を表現するのは非常に難しいことだと思います。
なので、たいていはオペラや映画のサントラなど物語性の強い曲を選んで
選手にその音楽に入り込ませやすいようにしてあるものです。
キム選手がいい例です。

しかし、浅田選手はそういう曲を選択していない。
みんな選曲がおかしいとかいっていますが、そうではなくて、
あえて抽象的な曲をやらせることで、
自分自身で想像力を膨らませ音を表現させる力をつけさせる。

浅田サイドは実はシニアに上がったときからすでにバンクーバーを意識してるんですよ。

なので、浅田選手の選曲がおかしいとか決め付けるのはやめましょう。
『浅田真央 16歳』にも書かれてあるのでしっかり読みましょうね。


仮面舞踏会もそうですが、これも浅田選手の表現力を鍛え上げるための曲です。
浅田選手といえばどちらかというと『陽』のタイプの選手で、
こういうダークで、退廃的な雰囲気の曲を表現するのは苦手なタイプだと思います。
しかし、タラソワがあえてこの曲を選んだのは、
浅田選手の新たな側面を引き出そうとしたからだと思います。
それが失敗したか、成功したかはファンの主観によるかと思いますが、
わたしは成功したと思っています。

彼女にこういう曲が表現できるとは正直思っていなかったので、
すごく新鮮に感じました。
もしかしたら、こういうタイプの曲はキム選手のほうがもっとうまいかもしれませんが。
それでも、どちらかというと華やかで天真爛漫なタイプの浅田選手が
こういうどろどろした世界観のある曲をそれなりに表現しようとしたということは、
いまは無駄かもしれないけれども、
これから先のスケート人生において非常に実りのあるものだったと思います。

また、これもひとつ、思うことなんですが、
どうしてもっと長い目で浅田選手を見れないのか。
彼女はまだ18歳ですよ。
バンクーバーだって初めてのオリンピックじゃないですか。
次のソチオリンピックに出たって、まだ24でしょう?
まだまだこれからの若い選手なんです。
それなのに、どうして目先の成果や勝利にとらわれてしまうのか。
たかがひとつの試合で、台落ちしたからって
浅田真央は終わったという風にいうのはまちがいだと思いますよ。
もっと長い目で、温かく見守っていくべきだと思います。
ファンがそのように煽ってしまうと、
浅田選手もまたがんばらなくてはとあせってしまい、
かえって怪我などにつながっていくと思います。
もっと気長に、あたたかい目で。

彼女が女子フィギュア選手としては稀に見る、
もしかしたら、『プルシェンコ』のような存在になれる選手かもしれないんです。

表現力がない、顔に表情がないといいますが、
プルシェンコだって浅田選手と同じ年のときは
『ミーシンの操り人形』だといわれていたんですよ。
コーチの言われたことしかできない機械のような選手だと。
ですが、彼の18歳の頃の動画を見てみてください。
どうして彼に『表現力がない』といえるでしょう。




キム選手が優れた『演技力』を持っているからといって、
浅田選手にも同等のものを求めるのは間違っているし的外れ。

表現力は成熟するについて自然と身についていくもの
それをファンをじっと見守っていくべきだと思います。

0 件のコメント: