2008/03/23

この二大女優がすごい!

大学に入って間もない頃、これでようやく遊べる!と思って、
毎日のようにDVDを見まくっていた一時期がありました。
近所のゲオでは毎週のように
『旧作50円』だの『旧作98円』といったレンタル・セールがあったし、
また大学にもたくさんのミニシアター系のDVDがたくさんあったりして、
そういう周りの好環境にも助けられて、本当にたくさん見てました。

でも、ここ1~2年のあいだは勉強が忙しくてほとんど見れなくなっていたんですが、
無事大学院進学も決まり、今のあいだは学校もなく暇なので、
久しぶりにゲオに行ってDVDを借りました。

で、そのなかで特に印象に残った作品をここでいくつかあげたいと思います。

最初は、『クイーン』。
いうまでもなく、ヘレン・ミレンがオスカーを初めとする
数ある映画賞を総なめにした
ことで話題の作品。
実際に見て、オスカー受賞も納得の名演技にびっくり。

彼女のなりきりぶりといったら。
ヘレン・ミレンはエリザベス女王の役として出演しているんですが、
↓の写真にもあるように、本人とまさにそっくり。
でも、似てるのは容姿だけじゃない。
彼女のまとう雰囲気がまさに女王。
まるでエリザベス女王が彼女に乗り移ったかのよう
彼女はエリザベス女王が背負っているであろう
バックグラウンドまでもみごとに演じきっているんですよ。
女王としての威厳や誇りだけではなくて、
ヨーロッパで最も古くから存在する王家としての歴史だったり、
イギリスという国が持っている伝統だったりと、
そういう背景までもをきちんと演じているから、
物語にもリアリティが生まれる。

もちろん、ここに描かれていることのほとんどはフィクションだろうし、
実際に王家の人たちの心情など測りうるべくもないんだけれども、
でもここに登場してくる人たちのダイアナ妃の死と国民の反応に対する戸惑いは、
本当にそうだったかもしれないと思わせるもので、
ヘレン・ミレンのエリザベス女王としての戸惑いや威厳、誇りや迷いといったものが、
見ている側にも非常に伝わってくるというか。
実情はこんな風だったんだろうなーと、非常にリアリティを感じさせるものになってる。

それに王家の人たちの描写もおもしろい。
バッキンガム公爵は思っていたよりも保守的な人物に描かれ、
意外とチャールズは好人物に描かれていたり、
そして、王太后のセリフ、「本当に困るのは、あなたが亡くなってからのことなのよ」は、
決して笑い事で済まされることではないですよね。
事実、次期国王はチャールズではなく息子のウィリアムにという声が多いのですから。

それにしても、この映画、王家の人が見てどう思うんだろう? 
日本じゃ絶対に作れないですよね。こんなの。イギリスの懐の深さにも感心。




そして、次はこちら。『プラダを着た悪魔』。
これもすごい映画だった。特にメリル・ストリープが。
とても言葉では言い表せない。彼女のオーラというか、
彼女のまとっている雰囲気が本当にすごいの。
まさに伝説的な編集長って感じで。

彼女の映画は何本か見たことがあるんだけれども、
そのなかで最近見たのが、タイトルを忘れてしまったんですが、
ニューヨークの下町で子供たちにバイオリンを教える教師の役をしていた映画だったんですよ。
もちろん、その時の演技も非常に素晴らしくて、本当に『教師』って感じだったんだけれども、
『プラダを着た悪魔』のミランダとはちがって、すごく「おばさん」くさかったというか、
まあ、身持ちを崩してしまった元演奏者という役柄だったんで、
実際太っていて当たり前だったんだけれども、それだけじゃなくて、
全体をまとう雰囲気も「おばさん」だったんですよ。

それが、この『プラダを着た悪魔』では、そんな影を微塵も感じさせないほどの
スタイリッシュで、洗練された、隙のない
マンハッタンのやり手キャリア・ウーマンにみごとに変身してる。
そのなりきりぶりといったら、あっぱれと手をたたきたくなってしまうほど。

↓にも写真が出てますが、ファッションやルックスといった見た目のだけじゃなくて、
ファッション雑誌の編集長らしい気取ったしゃべり方だったり、
フラッシュを向けられているときに見せる虚栄心に満ちた態度や、
部下たちを震え上がらせる有無を言わせぬ雰囲気や、高慢な表情。
そして、鬼のような人物がふとした折に垣間見せる弱さ、もろさ。
そういう些細なところまでも、完璧に演じきっているんですよ。

見ていてずっと彼女に威圧されっぱなしというか。
映画自体は『社会に出たばかりの若者が鬼上司にしごかれて成長してゆく』という
ありがちな話なんですけれども、
メリル・ストリープの手にかかったら、
こんな単純な話もすごくおもしろく見えてくるから不思議。
彼女の演技を見るだけでも十分見ごたえあり。

実際この映画は日本でもけっこうヒットしたみたいなんで、
見た人も多いと思うんですが、DVDで見てもおもしろいですよ。



↑の二つの作品は、ストーリー自体はかなり単純なものだけれども、
二人の女優の名演がぐいぐい引っぱって、
最後まですんなりと見ることができちゃいます。
特に『クイーン』はかなり『大人の』映画です。
日本の皇室のことも考えさせられます。ぜひ見てみてください。

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