2009/03/28

2009世界フィギュア 女子 感想 その2~浅田真央はキムヨナにもう勝てないのか~

じゃあ、浅田真央選手はもうキムヨナ選手に勝てないの???

いやいや、そうではありません。

今季は勝てないというだけです。

今季は明らかにキムヨナ選手のほうが調子がよかった。
おそらく彼女のピークが今年だったんだと思います。

それに彼女には明らかな目標があった、
世界選手権を優勝するという。

対して、浅田選手はもうすでにタイトルを持っている。
やはりタイトルを一度獲得してしまうと、どこか気が緩んでしまうもの。
しかも来年にオリンピックが控えているのであれば、
なにが何でも二連覇しなければという気持ちにはならないはず。

それ以上に、彼女には克服しなければならない課題がたくさんあった。
だから、今年はある意味捨てて、課題を克服するのを優先させただけ。

決して負けたわけではないし、真央選手がキム選手に
能力の上で劣るようになったというわけではない。

目指す目標や課題がちがっただけのことだと思います。

今年はキムヨナ選手の年。
それぐらいに思っておけば良いのではないでしょうか。

そして、これはわたしの直感なんですが、来シーズンはキム選手の調子が落ちる気がする。

すっごい似てるんですよね、今の状況。
まさに2000~2001年のプルシェンコに。

彼も世界選手権の優勝をなんども期待されながら、
実際にタイトルを取るまで4年かかっている。
史上最年少で世界選手権のメダルを取っておきながらですよ。

だから、オリンピックのプレシーズンの
世界選手権にかける彼の意気込みはハンパなかった。
まさにいまのキムヨナ選手と同じ状況ですよ。
なにが何でもとってやるという。

実際、このシーズン、彼は神がかってました。
出場した試合はすべて優勝していたし、
成長期が終わって身長がとまってこともあって
ジャンプが安定し始め、怪我もなく、からだの調子もすごく良かった。

天才が覚醒したならば、もうどんな選手でも勝てない。
たとえ相手がヤグディン選手であっても。

ついに彼は悲願の世優勝を果たし
対して、ヤグディンはもう終わったとささやかれ始めた。

ところがですよ、神様っていうのはとんでもないことをしでかすんですよね。

オリンピックのシーズンは二人は正反対の結果になってしまったんです。

金メダルは、すでに終わった選手といわれていたヤグディンが取り、
プルシェンコは銀メダルに終わってしまったわけです。

おそらく、プルシェンコは人生ではじめての挫折を味わったと思います。

もちろん、プルシェンコが負けた原因はいろいろあります。
オリンピックシーズンのプログラムがあまりよくなかったことや、
世界選手権優勝に浮かれていたのか、
よせばいいのに、4lzを練習しすぎて怪我をしてしまったこと、
大会中ののインフルエンザ罹患など、たくさんあるでしょう。

でも、最大の敗因はピークを前年に持ってきてしまったことだとわたしは思う。

残念ながら、わたしはリアルタイムでソルトレークシティを見ていなかったので、
you tubeの動画でしか見ることはできないけれども、
全体的に見ても、
ヤグディンの演技がプルシェンコの演技よりも
すばらしかったことは確か。

というよりも、このとき、ヤグディンには神が光臨していた。
顔つきさえもが変わっていました。
あのオリンピック・シーズンのヤグディン選手の容姿は
異常なまでにカッコよかった。モデルのようでした。


人間、そう何度もピークは訪れない。
まして寿命の短いフィギュア選手ならば、
そのピークはたった一度しか訪れないかもしれない。

大事なのは、そのピークをどこにもっていくかということ。

残念ながら、キム選手はそのピークを今年に持ってきてしまっているような気がする。

それどころか、この好調っぷりが逆に怖い。
好調期を過ぎると、フィギュアの選手ってガタガタって崩れてきますからね
特に女子選手は。

それに、キム選手は、めったにないことながらも3Fのエッジに問題を抱えている。
しかも、そのエッジが年々ひどくなって来ているような気がするんですよ。
いまは大してとられていませんが、おそらくこのまま何も矯正しないままでいくと
来期にはエッジエラーを取られてしまう可能性が高くなるわけで…。

そうなると、いちばん苦しくなるのはヨナ選手。

オリンピック・シーズンにエッジエラーをとられると、
もう3Fは捨てなければならなくなる。
そうなると彼女の最大の武器であった3F-3Tは使い物にならなくなる。

対して、前のシーズンに苦しんだ浅田選手は、エッジの矯正を終了させているわけですから
それほど負担ではなくなるし、今季3F-3loが認定されたのであれば、
浅田選手のほうが断然有利になる。

それに彼女はすでに不調を経験しているだけに、
もうこれ以上下に沈むわけではないですから、
気分的にも楽にオリンピックに望めると思います。

だから、今年の世界選手権、キム選手が優勝しても、
浅田選手がもうだめだとは思わないほうがいいと思います。

ほんと来シーズンはどうなるか、わからない。

絶対に金メダルを取るといわれていたプルシェンコだって、
結局銀メダルに終わっているわけだから。

キム選手が今年優勝したからといって、
オリンピックまで好調が続くとは限らない。

プルシェンコのほうがキム選手よりも数百倍も才能があるわけですからね。
タラソワだって、ヤグディンのコーチをしていたときは、
プルシェンコのことを批判しまくっていたのに、
ヤグディンが引退したあとは、「百年に一度の選手」と褒め称えているのですから。
その彼でさえも最初のオリンピックは、金メダルを取れなかったんですからね。

本当の勝負はオリンピック。
その勝負に勝てたとき、真の勝者なるんです。

わたしはそう思っています。

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